2003年3月16日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2386
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OAA速報部・計算課・小惑星課 中野 主一
LINEAR-NEAT新周期彗星 P/2003 CP7 (LINEAR-NEAT)
パロマ−NEATサ−ベイで3月10日にしし座を撮影したフレ−ム上に17等級の新彗星が発見された.彗星には,7"の集光した核と西に8"ほどの尾が見られたという.小惑星センタ−では,この彗星が2月1日と4日にLINEARサ−ベイで発見されていた19等級の小惑星2003
CP7(MPS73383-73384)と同一天体であることをみつけた(IAUC8092).
2003 /UT α (2000) δ 光度 観測地
Feb. 1.39231 11h 27m 24s.65
+11°10' 53".4
19.0 N
New Mexico
Mar. 10.35520 11 10 16.06 +15 50 08.0 17.7 T Palomar
彗星の発見前のイメ−ジが,2月3日のLONEOSサ−ベイ,28日のLINEARサ−ベイの1夜の観測群からも見つかった.OAA計算課では2003年2月1日から3月13日までに行なわれた45個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,小惑星ヒルダ族に似た軌道を運行している.なお,彗星は周期が8年ほどの新周期彗星であったが,今後,明るくはならない.
T = 2003 Apr. 29.121 TT
ω = 42.553
e = 0.24875
Ω = 133.140
(2000.0) a = 4.01719 AU
i = 12.346
n゚= 0.122411
q = 3.01790 AU P
= 8.05 年
2003/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Mar. 12 11 09.28 +16 01.5 2.051 3.027
166.8 4.3 17.4
22 11 03.56
+17 02.8 2.081 3.024
157.2 7.3 17.4
Apr. 1 10
58.83 +17 47.8 2.136 3.021 146.7
10.5 17.4
11 10 55.68
+18 14.5 2.213 3.019 136.4
13.2 17.5
21 10 54.45
+18 22.8 2.309 3.018 126.6
15.5 17.6
May 1 10
55.26 +18 13.9 2.419 3.018 117.4
17.2 17.7
11 10 58.07
+17 49.8 2.540 3.018 108.7
18.5 17.8
21 11 02.73
+17 12.4 2.668 3.020 100.5
19.2 17.9
31 11 09.02
+16 23.9 2.799 3.022 92.7
19.6 18.0
June 10 11 16.76 +15 25.8 2.933 3.025 85.4
19.5 18.1
m1 = 11.0 + 5 log △ + 10.0 log r
NEAT新彗星 C/2003 E1 (NEAT)
同じくパロマ−NEATサ−ベイで3月9日にかみのけ座を撮影したフレ−ム上に19等級の新彗星が発見された.同所で3月11日に撮影されたイメ−ジでは,彗星には8"ほどの尾が南南西に広がっていたという(IAUC8092).
2003 /UT α (2000) δ 光度 観測地
Mar. 9.50577 12h 25m 51s.32
+27°07' 41".1
19.7 T
Palomar
OAA計算課では,2003年3月9日から13日までに行なわれた27個の観測から次の軌道を計算した.彗星の近日点通過は,来年年初であるが,太陽の向こう側を動き,地球との位置関係が悪く,明るくならない(その頃,観測できない).
T = 2004 Jan. 29.052 TT ω = 113.761
Ω = 135.616
(2000.0)
q = 2.79039 AU i
= 32.635
2003/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Mar. 12 12 24.87 +27 29.9 3.328 4.233
152.4 6.3 18.9
22 12 20.44
+28 53.0 3.269 4.165 150.5 6.8
18.8
Apr. 1 12
15.58 +30 02.6 3.236 4.096 145.2 8.0
18.7
11 12 10.82
+30 55.0 3.228 4.029 138.0 9.6
18.6
21 12 06.66
+31 28.1 3.242 3.962 129.9
11.2 18.5
May 1
12 03.57 +31 41.3 3.273 3.896 121.5
12.7 18.5
11 12 01.89
+31 35.6 3.318
3.831 113.2 14.0 18.4
21 12 01.84
+31 12.6 3.373 3.766 105.2
15.0 18.4
31 12 03.51
+30 34.5 3.433 3.703 97.4
15.8 18.4
June 10 12 06.91 +29 43.5 3.496 3.641 90.0
16.2 18.3
20 12 11.97
+28 41.6
3.559 3.580 83.0 16.4 18.3
m1 = 10.0 + 5 log △ + 10.0 log r
ブラッドフィ−ルド彗星からの流星群 (Possible Meteors from C/1976 D1)
E. LyytinenとP. Jenniskensによると,1976年に近日点を通過したこの彗星(1976 D1)からの1公転前に放出されたダストの帯が2003年3月1.912日UTに地球軌道の内側0.00008
AUを通過するという.この頃,この帯からの流星の出現が輻射点α= 13゚,δ=-64゚(対地速度Vg= 42/Km/s)から,1時間平均にして,300個ほどの流星の出現が期待されるという(IAUC8079).神戸の長谷川一郎氏(Ichiro Hasegawa)によると,この彗星からの流星群の出現は以前から指摘されていて,氏によると,その輻射点は3月上旬にα=
13゚,δ=-63゚(Vg= 33Km/s)であるという.この彗星は,1976年に約3カ月の期間観測されている.その接触周期は,1450年±50年ほどで,決定された軌道をそのまま,過去に戻すと,彗星は計算上,1058年11月に近日点を通過していたことになる.
OAA計算課では,古在理論(Proc.
Japan Academy, 78B, 84-60 (2002))に基づいて,前回の彗星の近日点で放出速度1.965 m/sで放出された粒子の軌道と地球の軌道が今年3月1.914日UTに流星雨が出現する条件,0.0008 AUまで接近することを確かめた.参考までに,そのときの粒子の軌道は,T=
2003 Mar. 30.665 TT, q= 0.83624, e= 0.99173, ω= 313.452, Ω=
160.864, i= 47.111, a= 101.08 AU(P= 1016年), Epoch= 2003 Mar. 22となる.なお,流星が見られたという情報は公表されていない.
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