2003年5月13日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2394
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いて座新星 2003
V4745 SAGITTARII
愛知県岡崎市の山本稔氏(Minoru Yamamoto)は,4月26日に200-mm f/4.0レンズでいて座を撮影したT-Max
400フィルム(+PO0フィルタ−)上のα=18h40m08s.2,δ=-33°26’37"(2000.0;概測)の位置に,光度9.6等の新星を発見した.氏の調査では,2000年4月28日から2003年4月3日までに撮影した極限等級が9.5等〜10.5等級の多数の捜索フィルム上には,その姿が見られなかったという.また,発見位置近くにある変光星V2377
Sgrも,同氏が撮影したフィルム上には,見られなかった.翌27日の八ヶ岳南麓天文台の串田麗樹さんの確認観測によると,CCDフレ−ム上には,新星(9.3等)と変光星V2377(11.3等)がともに写っていた.また,上尾の門田健一氏も,同日,この新星(9.3等)を確認した.この発見は,OAA計算課から天文電報中央局に報告された(OAA計算課,新天体発見情報
60).
この超新星は,1日前の4月25日に豪州のブラウン(Nicholas
J. Brown)によっても,独立発見されていたことがわかった.彼の発見光度は,8.9等(T-Max 400フィルム)であった(IAUC 8123).さらに,マウント・ジョンでも,27日にこの新星の確認観測が行なわれ,スペクトル確認もなされた.各地で測定された新星と変光星V2377の位置は次のとおり.なお,八ヶ岳の測定は,串田嘉男氏による.
α (2000) δ 光度 観測地
Object 2003 UT h m
s 。 ,
" 等
Nova Apr. 27 18
40 02.55 -33 26 55.6 9.4 Mount John
"
27.67708 18 40 02.54 -33 26 55.1 9.3 Yatsugatake
"
27.68762 18 40 02.57 -33 26 55.5 9.3 Ageo
V2377
27.67708 18 40 00.73 -33 27 49.6 11.3 Yatsugatake
チリのリラ−(W. Liller)によると,彼のTechnical Film(+オレンジ・フィルタ−)上に写っていたこの新星のR光度は,4月19日に7.8等,23日に8.3等,27日に8.1等であったという(IAUC
8126).なお,発見後,5月上旬の各地での眼視光度観測が約9等級で報告されている.
NEAT新彗星 C/2003 H3 (NEAT)
ハレアカラNEATサ−ベイで4月30日にいて座を撮影したフレ−ム上の次の位置に光度17等級の新彗星が発見された.発見当時,彗星には,約14"のコマがあったという.翌5月1日に,彗星は各地で追跡観測された.CCD全光度が15等級という報告もあった(IAUC
8126).
2003 UT
α
(2000) δ m1
Apr. 30.45200 19h 43m 46s.25 -14゚ 40' 20".7 17.2
OAA計算課では,2003年4月30日から5月10日までに行なわれた76個の観測から,次の軌道を決定した.5月の CCD全光度が1日に16.1等(上尾;門田健一),2日に16.8等(シェロ−ド),16.2等(豊中;江崎裕介),3日に16.1等,9日に16.5等(門田)と報告されている.
。
T = 2003 Apr. 23.557 TT ω =
6.290
Ω = 269.404
(2000.0)
q = 2.90025 AU i
= 42.782
2003/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT
h m 。 , AU AU 。 。 等
May 1 19 43.98
-14 31.2 2.476 2.901 104.8
19.6 16.1
11
19 46.62 -11 39.8 2.357 2.906 113.1
18.6 16.0
21
19 46.92 -08 41.2 2.253 2.913 121.6
17.2 15.9
31
19 44.88 -05 38.4 2.166 2.925 130.2
15.4 15.8
June 10 19 40.60 -02 36.5 2.102 2.939
138.4 13.2 15.8
20
19 34.43 +00 18.4 2.062 2.958 145.7
11.2 15.8
30
19 26.88 +02 59.3 2.050 2.979 150.8 9.6
15.8
m1 = 9.5 + 5 log △ + 10.0
log r
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2394
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新周期彗星 P/2003 H4
LINEARサ−ベイで4月29日にさそり座を撮影したフレ−ム上の次の位置に19等級の新彗星の発見が報告された.発見当時,彗星には西に尾が見られたという.5月2日のマクドナルドの観測では,彗星の
CCD全光度は17.7等〜18.0等で,南西に20"ほどの尾が見られたとのこと(IAUC 8127).
2003 UT
α
(2000) δ m1
Apr. 29.32742 16h 06m 33s.56 -19゚ 09' 49".0 19.0
OAA計算課では,2003年4月29日から5月10日までに行なわれた74個の観測から,次の軌道を決定した.彗星は,周期が6年ほどの新周期彗星であった.この軌道からは,彗星は,過去に木星にきわめて接近したことがあるものと思われる.
T = 2003 May 14.399 TT
。
ω = 10.496 e = 0.49021
Ω = 226.798
(2000.0) a = 3.34148 AU
i = 18.159
n゚= 0.161360
q = 1.70344 AU
P = 6.11 年
2003/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT
h m 。 , AU AU 。 。 等
May 11 16 06.77
-14 16.8 0.707 1.704 165.9 8.3
17.6
16
16 06.02 -12 06.7 0.700 1.704 168.8 6.6
17.5
21
16 04.98 -09 58.8 0.700 1.705 169.2 6.4
17.5
26
16 03.83 -07 56.4 0.705 1.707 166.9 7.8
17.6
31
16 02.75 -06 02.9 0.715 1.710 162.9
10.0 17.6
June 5 16 01.91
-04 20.6 0.730 1.715 158.4
12.6 17.7
10
16 01.46 -02 51.5 0.751 1.721 153.8
15.1 17.7
15
16 01.51 -01 36.2 0.775 1.728 149.2
17.5 17.8
20
16 02.12 -00 35.0 0.804 1.736 144.8
19.7 17.9
25
16 03.34 +00 12.7 0.837 1.746 140.6
21.7 18.0
30
16 05.21 +00 47.5 0.873 1.756 136.6
23.4 18.2
July 5 16 07.73
+01 10.6 0.912 1.768 132.8
24.9 18.3
m1 = 16.0 + 5 log △ + 10.0 log r
超新星 SN 2003ed IN NGC5303A
山形市の板垣公一氏(Koichi Itagaki)は,3月21日に超新星2003cg(YC2389)を発見したのに続いて,5月3日21時JST頃,30cm反射+CCDを使用して,りょうけん座にある系外銀河NGC
5303を撮影したフレ−ム上に15等級の別の超新星を発見した.超新星は,銀河核から北東8"の位置に出現している.発見位置には,同氏が昨年2002年3月と6月にこの銀河を捜索したとき,そして,今年4月9日と27日に捜索したときは,19等級より明るい天体は,存在していなかった.八ヶ岳南麓天文台の串田麗樹さんと上尾の門田健一氏は,発見同夜にこの超新星の出現を確認した.さらに,板垣氏は,翌4日にこの超新星の出現を確認した.RNGCカタログによると,この銀河は,NGC
5303A(13.0等)と5303B(15.5等)で構成される複合銀河で,この超新星は5303Aに出現しているという.なお,5303Bは,5303Aより南3'ほどの位置にある.超新星の出現位置は,次のとおり.なお,八ヶ岳の測定は,串田嘉男氏による.この発見は,OAA計算課から天文情報中央局に報告された.5月5日のマウント・ホプキンスでのスペクトル観測によると,この超新星は,爆発まもないタイプUの超新星であるという(OAA計算課,新天体発見情報 61,CBET 14,IAUC 8129).
α (2000) δ 光度 観測地
2003 UT
h m s 。 ,
"
等
May
3.52569
13 47 45.36 +38 18
20.3 15.2 Yamagata
3.60417 13 47 45.38 +38 18 20.2 15.3 Yatsugatake
3.61733 13 47 45.39 +38 18 20.8 15.2 Ageo
超新星 No SN 2003ec in NGC 5990
台湾から系外銀河NGC 5990に出現した超新星(光度16.4等)の発見がIAUC 8128に報告された.しかし,この超新星は,山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki)が過去に撮影していたサ−ベイ・フレ−ムに写っていたため,その出現が否定された.この星は,同氏の昨年2002年5月3日と13日に撮影された捜索フレ−ム上に,はっきりとその姿が写っており,その測定位置も,IAUC 8128で報告された位置と全く同じであった.なお,このことは,OAA計算課から天文電報中央局に報告された.また,ラス・カンパナス天文台でのスペクトル観測でも,その出現が否定された(IAUC
8130).
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