2003年11月21日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2411
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LINEAR新彗星 C/2003 W1 (LINEAR)
LINEARサ−ベイで2003年11月16日にりゅう座を撮影したフレ−ム上の次の位置に発見された18等級の小惑星状天体は,翌17日の追跡観測の結果,天体の光度は17等級で,8"ほどのコマと北東に50"の淡い尾が認められ,天体は,彗星であることが判明した(IAUC
8239).
2003 UT
α
(2000) δ Mag.
Nov. 16.08352 17h
19m 24s.46 +61゚ 31' 38".2 18.5
OAA計算課では,2003年11月16日から20日までに行なわれた24個の観測から次の軌道を計算した.軌道改良に使用した最終観測は,ASOのシェロ−ド(P. C. Sherrod)によるもので,氏の核光度は17.4等であった.
。
T = 2003
Nov. 11.936 TT ω =
114.649
Ω = 256.161
(2000.0)
q = 1.66897 AU i
= 78.564
2003/2004
α (2000) δ △ r Elong.
Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
Nov. 22 17
51.72 +63 27.1 1.407 1.674 86.9
36.1 17.5
27 18 26.10 +64 58.7 1.362 1.681 89.9
36.0 17.4
Dec. 2 19 08.02 +66 11.9 1.323 1.690 92.9
35.6 17.4
7 19 57.29 +66 50.4 1.292 1.702 95.8
35.2 17.4
12 20 51.49 +66 37.2 1.269 1.716 98.4
34.6 17.4
17 21 46.08 +65 21.9 1.257 1.733
100.5 33.9 17.4
22 22 36.38 +63 06.0 1.258 1.751
102.1 33.3 17.4
27 23 19.78 +60 01.8 1.272 1.772
102.9 32.7 17.5
Jan. 1 23 55.91 +56 26.5 1.299 1.796
102.9 32.3 17.6
m1 = 14.5 + 5 log △ + 10.0 log r
2P/エンケ周期彗星 2P/Encke
2003年12月末に近日点を通るこの彗星が明るく観測されている.眼視全光度が10月24日に9.8等(バス;オランダ),11月9日に8.5等(グランズロ;ノルウェイ),11日に8.4等(ガジク;ポ−ランド),12日に8.2等(ホルノフ;チェコ),14日に7.8等(スカルマト;イタリ−),16日に7.7等(グリ−ン;米),17日に7.3等(モ−リス;米)と報告された(IAUC
8239).天文ガイド2003年12月号(= HICQ 2003)にある予報光度より約1等級暗いが,ほぼ,予報どおり明るくなっている.なお,これらの予報光度は,m1=
9.8+5 log △ + 2.5 (r1.8 − 1)による.
OAA計算課では,1995年から2003年までに行なわれた505個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".62.この期間,彗星の非重力効果がほとんど0となる.この彗星の非重力効果の係数,特にA2は,彗星核の歳差運動とみられる影響で,長期間にわたって滑らかに変化していることが知られている.A2は,1800年代中期に負の最大値(-0.0400)となったあと,以後,常に増加してきた.ただし,これは,まだ,暫定的な軌道である.
T = 2003
Dec. 29.8783 TT Epoch
= 2003 Dec. 27.0 TT
。
ω =
186.4990
e = 0.847339
A1 = +0.01
Ω =
334.5872 (2000.0) a = 2.217081 AU A2 = -0.0006
i = 11.7696
n゚= 0.2985600
q = 0.338462 AU
P = 3.30 年
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2411
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オリオン座流星群 Orionids in 2003
神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko Mameta)は,三田市母子で10月18/19日,23/24日,25/26日の3夜,この流星群を観測した.氏によると,例年の極大は10月19日から21日日頃(計算課の予報では10月21日23時JST頃)で,氏の報告によると,例年並か,やや低調で,暗い流星が多く,もっとも明るいもので1等級であったという.氏の観測は,10月18/19日,観測時間25時〜27時JST,全流星25個,オリオン群4個,最微光星4.8等,以下,同順で,23/24日,26時〜28時,42個,7個,5.8等,25/26日,26時〜28時,39個,5個,5.8等であった.
LINEAR新周期彗星 P/2002 LZ11 (LINEAR)
LINEARサ−ベイで2002年6月5日にへび座を撮影したフレ−ム上の次の位置に発見された18等級の小惑星2002
LZ11は,同サ−ベイの2002年7月と2003年7月から11月までに撮影されたフレ−ム上に多数のイメ−ジが偶然見つかった.さらに2003年10月16日のLONEOSサ−ベイの1夜の観測群中にも写っていることが判明し,その連結軌道が計算された.
2003 UT
α
(2000) δ Mag.
June 5.29966 17h
47m 23s.52 -14゚ 14' 39".8 18.1
この小惑星は,2003年10月29日に行なわれたカテリナ・スカイサ−ベイでも,偶然観測された.アリゾナ大学のクリステンセン(E. Christensen)は,この小惑星が彗星状に写っていることに気づいた.そのCCD全光度は16.7等であった.11月17日に,同所で,さらに天体を追跡した結果,天体は彗星であることが判明した.天文電報中央局の依頼により,テ−ブル・マウンテンのヤング(J. Young)が11月18日にこの天体を追跡した結果,天体には,7"ほどのコマと15"〜20"の扇形の尾が西南に広がって見られ,この小惑星は彗星であることが判明した(IAUC
8240).
OAA計算課では,2002年6月5日から2003年11月2日までに行なわれた69個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".67.彗星は,周期が7年ほどの新周期彗星であった.
T = 2003 Mar. 15.6629 TT Epoch = 2003 Mar. 22.0 TT
。
ω = 107.9740
e = 0.351722
Ω = 231.1424 (2000.0) a = 3.656583 AU
i =
11.5194
n゚= 0.1409584
q =
2.370483 AU P = 6.99 年
2003/2004 α
(2000) δ
△ r Elong.
Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Nov. 17 02 43.58
+17 05.0 1.855 2.833 169.5 3.6
16.9
27 02 37.47
+15 54.3 1.927 2.865 157.7 7.5
17.0
Dec. 7 02
33.19 +14 54.6 2.025 2.897 146.3
10.9 17.2
17 02 31.06
+14 09.0 2.146 2.929 135.4
13.6 17.3
27 02 31.19
+13 38.6
2.286 2.962 125.1 15.8
17.5
Jan. 6 02
33.50 +13 23.0 2.440 2.995 115.3
17.3 17.7
16 02 37.80
+13 20.5 2.604 3.028 106.1
18.2 17.9
26 02 43.86
+13 29.0 2.775 3.062 97.4
18.6 18.1
Feb. 5 02
51.46 +13 46.2 2.950 3.095 89.1
18.6 18.3
m1 = 11.0 + 5 log △ + 10.0 log r
しし座流星群 Leonids in 2003
神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko Mameta)は,神戸市八多町で11月12/13日,13/14日,16/17日,17/18日の4夜にわたり,この流星群の観測を行なった.氏の報告によると,13/14日の観測は,月光があって,さらに気象条件が悪く,3等級より暗い流星の出現は捕らえられない条件で行なった.しかし,11月13/14日の14回帰前のダスト・トレイル(天文ガイド11月号,121p)から観測可能な明るい流星は出現しなかったという.氏の観測は,11月12/13日,観測時間27:40〜29:00
JST,全流星12個,しし群1個,おうし群0個,最微光星4.6等,以下,同順に,13/14日,24:00〜29:00,78個,8個,7個,4.7等,16/17日,28:00〜29:30,35個,しし群5個,5.0等,17/18日,28:00〜29:30,42個,11個,5.4等であった.氏の報告によると,最後の夜のしし座流星群の光度分布は,1等級が2個,2等級が3個,3等級が5個,4等級が1個で,暗い流星の出現があった可能性もある.なお,計算課による通常のしし座流星群の極大予報は,11月18日14時JSTであった.
Editorial Notice: お伝えしたい情報が他にもたくさんある.原稿もすでに作成済み.しかし,1度に3号発行するのは体力的にもつらい.さらに,他にやらなければならない仕事もたくさんあるので,すべてカットする.