2003年12月10日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2412
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2P/エンケ周期彗星 2P/Encke
明るくなったこの彗星の眼視全光度観測が11月17日に7.3等,コマの視直径22'(モ−リス;米国),18日に6.9等,25'(バス;オランダ),21日に7.3等,12'(グジック;ポ−ランド),24日に7.2等,15'(モ−リス),26日に6.8等,11'(カメ−ラ;ドイツ),12月3日に6.7等,8'(モ−リス),6.2等,8'(ボ−トル;米国),7日に6.0等(ホルノフ;チェコ),6.2等(バス)と報告された(IAUC
8249).彗星は,予報どおり6等級となった.これらの眼視光度は,山本速報YC 2411の光度予報式(=HICQ 2003,天文ガイド2003年12月号)から計算された予報光度に良くあっている.
158P/コワル・LINEAR新周期彗星 P/2001 RG100
(LINEAR) = C/1979 O1 (Kowal)
グリソン(A. E. Gleason)は,2003年11月26日にキットピ−クの91-cmスペ−スウォッチ望遠鏡で,小惑星
2001 RG100の観測を行なった.氏は,このとき,この小惑星には中央集光をもった6"の核と西に18"の尾が見られ,天体は明らかに彗星であることに気づいた.テーブル・マウンテンのヤング(J. Young)による11月27日の確認観測でも,小惑星には,4"のコマと西に淡く広がった12"の尾が認められ,小惑星は彗星であることが判明した.この小惑星は,LINEARサ−ベイで2001年9月12日に
みずがめ座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に発見された19等級のトロヤ群に近い軌道をもった小惑星で,2001年,2002年,2003年11月24日までの観測が報告されていたが,小惑星が彗星であるという報告はなかった.なお,2001年8月15日の発見前の観測がLINEARサ−ベイの1夜の観測群にも見つかっている(MPS
36374,IAUC 8244).その後,彗星の1回帰前の観測がサイディング・スプリング(1990年9月)とパロマ−(1993年11月)の観測群から見つかり報告された.
2001 UT
α
(2000) δ Mag.
Sept.12.26331 22h
45m 31s.47 -12゚ 12' 40".2 19.1
OAA計算課では,これらの観測と久万の中村彰正氏(A. Nakamura)による12月1日の観測から新たな連結軌道を計算し,過去の彗星との同定を調べた.その結果,この彗星は,1979年にコワル(C. T. Kowal)によって,パロマ−の1.2-m オ−スチン・シュミットで
いて座を撮影したプレ−ト上の次の位置に発見されていた19等級の彗星(C/1979 O1 (Kowal))と同一彗星であることが判明した.この彗星には,7月24日から27日まで3夜の観測が報告されていた.発見時,天体は拡散していたが,集光も尾も見られなかったという(IAUC 3395,
IAUC 3397).3夜の観測から,放物線軌道(T= 1978 Aug. 23.28, q= 2.2828 AU, ω= 61.14, Ω= 146.89, i=
5.71)が計算されていた.軌道がまったく異なるが,これらの彗星は,同一天体である.
1979 UT
α
(2000) δ Mag.
July 24.21076 19h
28m 21s.16 -17゚ 42' 03".8 19
OAA計算課では,C/1979 O1の観測を含め,1979年から2003年までに行なわれた80個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".70.過去の彗星の近日点通過は,1981年9月14日,1992年2月29日であった(NK
955, HICQ 2004; http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk955.htm).中村氏の観測では,12月1日のCCD全光度は18.9等であった.過去3回の出現が確認され,彗星には,登録番号158が与えられ,新たな周期彗星として登録された.
なお,最近,多くの小惑星がその後の追跡観測で彗星と判明するケ−スが続出しているが,この同定は,これらの小惑星が過去にも彗星として観測されていたことを実証する貴重なものとなる.
T = 2002 July 25.6435 TT Epoch = 2002 July 25.0 TT
。
ω = 235.5754
e = 0.028871
Ω = 137.3135 (2000.0) a = 4.731592 AU
i =
7.9031
n゚= 0.0957620
q =
4.594986 AU
P = 10.29 年
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2412
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2003/2004 α
(2000) δ
△ r Elong.
Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
Dec. 17 03 55.73
+10 46.8
3.745 4.643 153.0 5.5
18.5
27 03 51.36
+10 48.2 3.828 4.645 142.3
7.4 18.6
Jan. 6 03
48.20 +10 56.1 3.934 4.647 131.7 9.1
18.6
16 03 46.43
+11 10.2 4.060 4.648 121.4
10.4 18.7
26 03 46.13
+11 30.0 4.200 4.650 111.4
11.4 18.8
Feb. 5 03
47.30 +11 54.5 4.351 4.652 101.7
12.0 18.9
15 03 49.89
+12 22.9 4.507 4.654 92.4
12.2 18.9
25 03 53.78
+12 54.0 4.664 4.656 83.4
12.2 19.0
m1 = 9.0 + 5 log △ + 10.0
log r
LINEAR彗星 C/2003 S3 (LINEAR) = 2002 XM113
久万の中村彰正氏(Akimasa Nakamura)によって2003年10月19日と23日の観測が行なわれた.氏の観測は,山本速報YC
2406の軌道(9月27日〜10月5日)から10月19日の観測は26",23日の観測は39"と大きなずれを示した.
OAA計算課では,新たにパロマ−NEATサ−ベイから報告された2001年12月23日の発見2年前の観測を含めて軌道改良を行ない,過去の観測を調べた結果,この彗星は,その発見1年前の2002年12月7日と11日にLINEARサ−ベイから報告された新しい小惑星
2002 XM113と同一天体であることが判明した(MPC
50321).次の軌道は,これらの観測を含め,2003年11月26日までに行なわれた105個の観測から計算されたもの.平均残差は0".67.中村氏(A. Nakamura)によると,氏のCCD全光度は10月19日に19.2等,23日に19.1等,11月17日に19.0等,23日に19.3等であった.(NK
1022, HICQ 2004; http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1022.htm).
Epoch
= 2003 Mar. 22.0 TT 。
T = 2003 Apr. 10.2393 TT ω = 154.5530
e =
1.001410
Ω = 226.3891
(2000.0)
q =
8.129419 AU i =
151.4969
2003/2004 α
(2000) δ
△ r Elong.
Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
Dec. 17 03 11.99
+23 38.5
7.426 8.269 147.0 3.7
19.0
27 03 05.74
+22 50.2 7.551 8.280 135.4 4.8
19.1
Jan. 6 03
00.47 +22 04.7 7.703 8.291 123.9 5.6
19.1
16 02 56.23
+21 23.0 7.875 8.303 112.6 6.3
19.2
26 02 53.04
+20 45.9 8.061 8.316 101.6 6.7
19.2
Feb. 5 02
50.87 +20 13.8 8.256 8.329 90.8 6.8
19.3
15 02 49.65
+19 46.8 8.451 8.342 80.3 6.7
19.3
25 02 49.29
+19 24.5 8.641 8.356 70.1 6.4
19.4
m1 = 5.5 + 5 log △ + 10.0
log r
アモ−ル型特異小惑星2003 EH1 = 四分儀座流星群?
セチ研究所のジェニスケンス(P. Jenniskens)は,2003年3月に発見されたアモ−ル型の小惑星
2003 EH1と1月上旬に出現する四分儀座流星群と軌道が良く似ていることを指摘した(IAUC
8252).この流星群については,本会会長の長谷川一郎氏(Ichiro Hasegawa)が1490年に出現が記録されている彗星C/1490 Y1の下記の放物線軌道を決定した際,この彗星がこの流星群の母彗星である可能性があることを指摘している.2003 EH1の観測が3月6日から4月23日まで1カ月半の期間しかないため,周期が不確かで,この彗星との同定を直接確かめられないが,小惑星の軌道は,約94公転ほどで1488年〜1494年に戻る.これらの軌道は下記のとおり,良く似ている.今後の観測で2003
EH1の軌道の確定とその形状確認が望まれる.
C/1490 Y1 四分儀流星群 2003 EH1(現在) 2003 EH1(1490年頃)
T= 1491 Jan. 8.9 (1995年) 2003 Feb. 24.47 1488 July 9.9 TT
。
。
。
。
ω= 164.9
171.2 171.37
162.2
Ω= 280.2
283.3 282.94
285.9 (2000.0)
i= 73.4
71.0
70.80
65.8
q= 0.761
0.979
1.1924
0.775 AU
e= 1.0
0.69
0.6185
0.756
P= -.-
5.6
5.5
5.7 年