2003年12月16日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2413
発行:〒656-0011兵庫県洲本市炬口1-3-19 東亜天文学会速報部 郵便振替口座:00980-8-189107 加入者名:東亜天文学会速報部 購読料1部130円 |
Published by the Department of Yamamoto
Circular, Oriental Astronomical Association P. O. Box No.32, Sumoto, Hyogo-Ken, 656-8691 JAPANe-Mail address: (Subscription) URL: http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/yc.htm |
編集:中野 主一 ☎ 0799-22-3747
Fax: 23-1104 e-Mail address: Editor: Syuichi Nakano, 3-19, Takenokuchi 1 Chome, Sumoto, Hyogo-Ken, 656-0011 JAPAN |
|
LONEOS新周期彗星 P/2003 UD16 (LONEOS)
LONEOSサ−ベイで2003年10月16日に
くじら座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に18等級の小惑星 2003 UD16の発見が報告された.この天体は,小惑星としては,ごく普通の平凡な動きをもつ小惑星であった.しかし,11月30日にハ−ゲンロ−ザ(C. W. Hergenrother)がマウント・ホプキンスの1.2-m反射で行なった観測で,天体には,集光した11"のコマが認められ,彗星であることが判明した(IAUC
8248).
2003 UT
α
(2000) δ Mag.
Oct. 16.39886 2h
59m 44s.23 + 7゚ 21' 24".7 18.8
OAA計算課では,2003年10月16日から12月12日までに行なわれた40個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が14年ほどの新周期彗星であった.
T = 2004
Mar. 3.1636 TT
。
ω = 5.0146
e = 0.380909
Ω = 55.1625 (2000.0) a = 5.896710 AU
i = 23.4184
n゚= 0.0688318
q = 3.650597 AU
P = 14.3 年
2003/2004
α (2000) δ △ r Elong.
Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
Dec. 17 02
22.02 +10 05.0 2.945 3.676 131.9
11.5 18.0
27 02 20.02 +10 53.5 3.058 3.670
121.6 13.2 18.1
Jan. 6 02 19.91 +11 48.3 3.185 3.664
111.7 14.4 18.2
16 02 21.66 +12 48.3 3.323 3.660 102.2 15.2
18.2
26 02 25.16 +13 52.9 3.467 3.656 93.2
15.6 18.3
Feb. 5 02 30.27 +15 01.2 3.613 3.654 84.6
15.6 18.4
m1 = 10.0 + 5 log △ + 10.0 log r
アポロ型特異小惑星 ヘルメス
(69230) Hermes
山本速報YC 2408でその再発見を紹介したこの小惑星は,過去,2001年と2002年に2回の衝の観測が見つかり,MPO
50815で上記の番号で番号登録され,MPC 50255で,正式にヘルメスと命名された.プラベク(P. Pravec et al.)等の研究グル−プは,2003年10月16日から26日までの光度観測を分析した結果,この小惑星の変光周期は,13.892±0.006時間で,変光曲線からヘルメスは連星系であると考えられるという(IAUC
8233).このことは,ASOのシェロ−ド(P. C. Sherrod)も,10月23日から25日の自身の観測からすでに指摘していた.
OAA小惑星課では1937年から2003年11月7日までに行なわれた836個の観測から,次の軌道を計算した.加重平均残差は0".57.小惑星は1937年10月30.7日に地球に0.0049
AU,30.9日に月に0.0066 AU,1942年4月26.8日に地球に0.0042 AU(63万Km),26.9日に月に0.0024 AU(36万Km)まで接近していた.これらの接近以外にも,地球には1954年に0.02
AU,1974年に0.04 AU,1986年に0.05 AU,2003年に0.05 AUまで接近していた.
T = 1937 Dec.
18.8821 TT Epoch = 1937 Dec.
13.0 TT T = 2003 Dec.
23.1229 TT Epoch = 2003 Dec.
27.0 TT
。
。
ω = 90.4853
e = 0.623459 ω = 92.3950
e = 0.624160
Ω = 35.9633 (2000.0) a = 1.643428 AU Ω = 34.5169
(2000.0)
a = 1.654883 AU
i = 6.1356
n゚= 0.4678194
i = 6.0681
n゚= 0.4629704
q = 0.618818 AU
P = 2.11 年 q
= 0.621970 AU
P = 2.13 年
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2413
|
104P/コワル第2彗星 104P/Kowal 2 = Boethin's Comet in 1973
約30年前,フィリッピンのボ−シン(L. Boethin)から,1973年1月に20-cm反射望遠鏡で,コップ座の次の位置に10等級の新彗星を発見したことが報告された.なお,観測につけられた残差は,下の連結軌道から計算されたもの.発見時,彗星は,拡散しており,コマの視直径は8'ほどであったという.
1973 UT
α
(2000) δ
O - C
h m s 。 , , ,
Jan. 11.833 11 40 52 -20 29 -0.2 -1.4
12.833
11 41 01 -20 37 -0.2 -0.2
13.833
11 41 10 -20 45 +0.3
+0.8
発見報告後に,この彗星は,眼視観測者によって捜索されたが,赤経が11hから12h,赤緯が+3゚から-30゚の範囲には,彗星は確認されなかったという.1973年2月になって,ボ−シンから届いた手紙では,彼は1月14日にもこの彗星を観測していたことがわかった.しかし,そのとき,彗星は,すでに,12等〜13等級に減光していたという.1980年代になって,ボ−シンからこの彗星の発見を聞いたクロンク(G. Kronk)は,最近になって1973年のこの彗星は,104P/コワル第2彗星の出現であることを指摘した(IAUC
8255).この彗星は,1979年に発見された彗星で,1985年の回帰時には見失われたが,1991年の回帰時に我が国の観測者によって検出された.1973年発見時の彗星の予報光度は,現在,使用されている近日点通過後の光度式から16等級(近日点通過前の光度式からは15等級)となる.従って,ボ−シンの発見時には,彗星は,通常の光度より6等級ほど明るく,バ−ストを起こしたあと,急速に暗くなっていったものと思われる.
OAA計算課では,1973年のボ−シンの3個の発見観測と1979年と1991年から1992年までに行なわれた106個の観測から,次の連結軌道を計算した.加重平均残差は2".01.軌道は,3個の発見観測を上のとおり,ほぼ,1'以内に表現しており,この同定は正しいことになる.なお,これで,この彗星は1972年,1979年,1991年,1998年,2004年と5回の出現を記録したことになる.(NK
1023; http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1023.htm)
T = 1972 Aug. 4.8847 TT Epoch = 1972 July 22.0 TT
。
ω = 189.2618
e = 0.559151 A1
= -2.70
Ω = 247.9430 (2000.0) a = 3.465189 AU A2 = +0.1298
i =
15.7744
n゚= 0.1527966
q =
1.527625 AU P = 6.45 年
変光星 うしかい座UZ
ダイニック天文台の高橋進氏(S. Takahashi)からの連絡によると,うしかい座UZ(UZ Boo)の増光がデュボスク(P. A. Dubovsk)のアイオワ大学の37-cm望遠鏡による観測で12月5日に認められた.この変光星の増光は,これまでに1978年と1994年に観測され,増光がまれなWZ
Sge型激変星の1つであると考えられているが,詳しいことは,まだ,よくわかっていないという.なお,この変光星は,今後,数週間かけて17等以下まで,減光していくものと思われる.
LINEAR周期彗星 P/2003 U1 (LINEAR)
山本速報YC2409で発見を紹介したこの彗星は,周期が110年ほどの新周期彗星であった.OAA計算課では,2003年10月19日から12月12日までに行なわれた164個の観測から次の軌道を決定した.CCD全光度は,久万の中村彰正氏(A. Nakamura)が,11月23日に16.9等と報告している.
T = 2003
Nov. 3.3983 TT
。
ω =
278.3838
e = 0.921629
Ω =
322.7629 (2000.0) a = 22.91318 AU
i =
164.4745
n゚= 0.0089862
q = 1.795720 AU
P = 110 年
LINEAR彗星 C/2002 O7 (LINEAR)
豪州のマチアゾ(M. Mattiazzo)の2003年9月27日の観測によると,彗星の形状は,太陽方向に拡散した残骸状となり,この彗星が崩壊したことが報告された.12月3日に行なわれた欧州南天文台の2.2-m反射と3.6-m反射を使用した観測でも,予報位置上の30'x30'の範囲には,20.5等級より明るい天体は見つからず,彗星は,すでに消滅したものと思われる.なお,このときの彗星の予報光度は10等級であった(IAUC
8250).