2004年2月11日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2417
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LINEAR・カテリナ新周期彗星 P/2003 WC7 (LINEAR・Catalina)
LINEARサ−ベイから2003年11月18日に
ちょうこくしつ座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.この天体には2003 WC7の仮符号が与えられ,小惑星として登録された.しかし,報告された観測は,発見観測の2夜の観測のみで,その後の追跡観測は1月末になっても報告されなかった.1月31日になって,この小惑星は,カテリナ・スカイサ−ベイで独立に発見された.このとき,小惑星は,くじら座の次の位置まで北上していた.さらに,彼らは,2003年12月16日のサ−ベイフレ−ム上にこの天体の発見前の観測を見つけ,その測定位置が報告された.2月1日,この天体を観測したテ−ブル・マウンテンのヤング(J. Young),サイデング・スプリングのガラッド(G. J. Garradd)とマックノ−ト(R. H. McNaught)は,天体には数秒のコマがあること,ヤングからは,さらに,北北西に細い10"ほどの尾が見られることが報告され,この小惑星は彗星であることが判明した(IAUC 8280).
Date
UT
α
(2000) δ
Mag. Observer
h m s
。 , "
2003 Nov. 18.14403
1 01 07.41 -27
43 24.9 19.6 LINEAR
2004 Jan. 31.13554
2 13 16.76 + 3
58 40.8 17.6 Catalina
OAA計算課では,2003年11月18日から2004年2月1日までに行なわれた32個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".53.彗星は,周期が約12年の新周期彗星であった.なお,今後,明るくはならない.
T = 2004
Feb. 5.7460 TT
Epoch = 2004 Feb. 5.0 TT
。
ω = 341.0569
e = 0.680737
Ω = 89.8895 (2000.0) a = 5.183363 AU
i = 21.2192
n゚= 0.0835193
q = 1.654855 AU
P = 11.8 年
2004/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Feb. 5 02
22.90 +06 12.0 1.509 1.655 80.1
35.9 18.1
10 02 33.23
+08 25.9 1.546 1.656 78.2
35.7 18.1
15 02 44.00
+10 36.0 1.585 1.658 76.3
35.4 18.2
20 02 55.19
+12 41.9 1.626 1.662 74.5
35.0 18.3
25
03 06.80 +14 42.9 1.668 1.668 72.7
34.5 18.3
Mar. 1 03
18.78 +16 38.5 1.713 1.676 71.0
34.0 18.4
6 03 31.13
+18 28.4 1.758 1.686 69.3
33.4 18.5
11 03 43.82
+20 12.1 1.806 1.697 67.6
32.8 18.6
16 03 56.83
+21 49.4 1.855 1.710 65.9
32.1 18.7
21 04 10.14
+23 19.9 1.905 1.725 64.3
31.4 18.8
26 04 23.72
+24 43.4 1.957 1.741 62.6
30.6 18.9
31 04 37.54
+25 59.8 2.010 1.758
61.0 29.8 19.0
Apr. 5 04
51.56 +27 08.8 2.064 1.777 59.4
29.0 19.1
10 05 05.74
+28 10.6 2.119 1.797 57.8
28.1 19.2
15 05 20.06
+29 05.0 2.176 1.819 56.1
27.3 19.3
20 05 34.47
+29 52.1
2.233 1.841 54.5 26.4 19.4
25 05 48.93
+30 32.1 2.291 1.865 52.9
25.5 19.5
m1 = 15.0 + 5 log △ + 10.0 log r
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2417
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LINEAR新彗星 C/2004 B1 (LINEAR)
LINEARサ−ベイで2004年1月29日にオリオン座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体は,31日のテ−ブル・マウンテンのヤング(J. Young)の観測で,天体には,3"ほどのコマと北東に広がる4"ほどの尾が認められ,この天体は彗星であることが判明した.発見前の1月28日の観測がハレアカラNEATサ−ベイから報告された(IAUC
8279).
2004 UT α (2000) δ Mag.
Jan. 29.15539 5h
12m 54s.24 + 0゚ 59' 16".2 19.1
OAA計算課では,2004年1月28日から2月10日までに行なわれた37個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測は,久万の中村彰正氏(A. Nakamura)によるもので,氏のCCD全光度は18.7等であった.なお,彗星は,2年後の2006年5月頃には,わし座ふきんで10等級まで明るくなるだろう.
。
T = 2006 Feb. 10.846 TT ω = 327.840
Ω = 272.889
(2000.0)
q =
1.61328 AU i =
114.326
2004/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Feb. 5 05
10.07 +01 00.6 7.164 7.686 118.6 6.5
18.9
15 05 06.68
+01 05.8 7.235 7.607 108.6 7.1
18.9
25 05 04.24
+01 13.9 7.316 7.529 98.7 7.5
18.9
Mar. 6 05
02.75 +01 24.1 7.401 7.450 89.0 7.7
18.9
16 05 02.21
+01 35.4 7.486 7.371 79.6 7.6
18.9
26 05 02.57
+01 47.0 7.565
7.292 70.4 7.4 18.9
Apr. 5 05
03.76 +01 57.9 7.634 7.212 61.6 7.0
18.8
m1 = 8.0 + 5 log △ + 7.5 log r
串田天体 Object Kushida
八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏(Yoshio Kushida)は,同天文台で行なっている300-mm f/2.8 広角パトロ−ルカメラ+ CCD(写野 7゚.5 x 1゚.75)で1月31日に捜索したフレ−ム上の次の位置に11等級の高速移動天体が写っていることを報告した.天体の移動像は,拡散状で,西南西に約2'の尾のような形状が見られた.なお,この広角パトロ−ルカメラは,地球に近づく小さな天体(大気層に降りそそいでいるといわれる氷状物質を含め)の発見を目的に設置されたもので,その極限等級は16等級である.串田氏は,同天文台で行なっている全天パトロ−ルカメラ+CCDの捜索フレ−ム(極限等級8等級)を調べたが,そこには,この移動天体は写っていなかった.
2004 UT
α
(2000) δ Mag. Observer
h m s 。 , "
Jan. 31.76105 15 19 51.0 - 5 18 34 11.5 Kushida
31.76170 15 21 17.3
- 5 22 25
"
31.76237 15 22 06.3
- 5 24 28
"
31.76328 15 23 31.4
- 5 28 25
"
31.76397 15 24 18.2
- 5 30 29
"
上の観測から推定される移動量は,約4分半で東に約1゜ほどと静止軌道上にある天体の日々運動と同じ動きを示した.このため,この天体は,人工衛星である可能性が考えられたが,OAA計算課による人工衛星の軌道決定では,その解が得られなかった.一方,決定された日心軌道からは,この天体は,地球表面から1000Km以下の近距離を移動していることが推定された.しかし,天体は,発見翌日には,すでに25等級以下となり,確認が行なえなかった.
ランダウ減衰 (Landou Damping)
八ヶ岳南麓天文台で行なっている電離層電波観測で,昨年3月以来,約1年ぶりとなるランダウ減衰が2004年2月5日01時10分から01時22分にかけて捕らえられたことが,串田嘉男氏(Yoshio Kushida)から報告された(cf.
YC 2384, YC 2388).なお,最近の数年間,1月末から2月にかけては,このランダウ減衰とともに,多くの火球も見られている.このため,この時期に火球群が活動していることも考えられる.今後の火球の出現や微小天体の発見に充分注意をすべきである.
2004
February 11
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Syuichi Nakano