2004年3月3日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2419
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ラ−ゼン新周期彗星 P/2004 C1 (Larsen)
月惑星研究所のラ−ゼン(J. A. Larsen)は,2月12日にキットピ−クの91-cm反射望遠鏡で しし座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に20等級の微光の新彗星を発見した.2月13日に行なわれたテ−ブル・マウンテンのヤング(J. Young)による確認観測では,彗星のCCD全光度は18.0等で,6"のコマと西に短く太い14"の尾が見られたという.また,同日のツ−ソンのマックガハ(J. McGaha)による観測では,東に5"の扇形の尾が見られたと報告されている(IAUC
8286).
2004 UT
α
(2000) δ Mag.
Feb. 12.42045 10h
16m 47s.43 + 9゚ 41' 55".1 20.2
OAA計算課では,1月23日から2月21日までに行なわれた52個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が40年ほどの新周期彗星であった.久万の中村彰正氏(A. Nakamura)は,彗星のCCD全光度を2月15日と18日に19.2等と観測している.なお,彗星の初期軌道は,MPEC
C52(2004 Feb. 14),MPEC D25(Feb. 21)に続けて公表された.しかし,最初の軌道が1日足らずの観測期間から決定されたこともあって,引き続き計算された軌道も,まったく事実と異なった軌道となってしまった.これは,中央局の軌道解ミス.続けて2度,ミスが続くことも珍しいが,この彗星の軌道は,ほぼ,初期の段階から下の正しい軌道解が得られる.OAA/CS
EMES(2004 Feb. 19,Feb. 22)に正しい初期軌道決定の経過がある.これらは,http://www.oaa.gr.jp/~muramatu/comet/c2004c1.htmで参照できる.なお,2月下旬になって,1月23日の発見前の観測がLONEOSサ−ベイから報告された.
T = 2003
Mar. 20.1139 TT
。
ω = 316.0092
e = 0.624944
Ω =
151.9565 (2000.0) a = 11.587131 AU
i = 28.7824
n゚= 0.0249885
q = 4.345824 AU
P = 39.4 年
2004/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
Mar. 6 10
07.59 +12 09.8 3.936 4.896 163.9 3.2
19.4
16 10 04.17
+13 08.9 4.020 4.925 152.7 5.3
19.4
26 10 01.60
+14 00.8 4.131 4.955 141.9 7.1
19.5
Apr. 5 10
00.09 +14 44.0 4.266 4.985 131.4 8.7
19.6
15 09 59.76
+15 17.9 4.419 5.015 121.4 9.8
19.7
25 10 00.65
+15 42.4 4.587 5.046 111.7
10.7 19.8
May 5
10 02.73 +15 58.0 4.765 5.077 102.3
11.2 19.9
m1 = 9.5 + 5 log △ + 10.0
log r
串田天体 Object Kushida
八ヶ岳南麓天文台の串田嘉男氏(Yoshio Kushida)から報告のあった氏の広角パトロ−ルカメラに写った天体(cf. YC 2417)は,サイディング・スプリング天文台のマックノ−ト(R. McNaught)からの同定依頼を受けたベレスフォ−ド(T. Beresford)とグレイ(B. J. Gray)によって,この天体は,コムサット・ス−パ−バ−ド1A(NORADナンバ−20040U,国際標識89041A)であることがわかった.ベレスフォ−ドによると,この衛星は,大西洋上空で,03時30分UT頃に太陽光を反射して,約20分の間,閃光することが良く知られており,その際,3等〜4等級となり,眼視でも観測できるという.また,今年1月12日には,テキサスで22.4秒間隔で閃光するのが観測されている.しかし,衛星が静止軌道を離れたために,現在は,太平洋上空で,その閃光が見られるという.なお,美星の橋本就安氏(N. Hashimoto)は,同所で行なわれているデブリ・サ−ベイで記録された2003年12月以後の人工天体の観測群中を調べたが,同天体は見つからなかったという.
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2419
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オリオン座M78近傍の新しい星雲
IRAS 05436-0007
米国ケンタッキ−州のマックネイル(J. W. McNeil)は,1月23日に7.6-cm屈折+CCDで,オリオン座のLynds
1630領域を撮影したフレ−ム上のα= 5h
46m 14s,δ= -00゚05'.8 (2000.0)の位置に,CCD全光度が15等級〜16等級の新しい星雲が出現していることに気づいた.この星雲は,IRAS
05436-0007天体として,これまでも知られていたが,光学的にこの天体が捕らえられたのは,これが初めてのことで,Digital Sky Survey(DSS)にある1951年から1991年までの7枚のイメ−ジにも,その姿が写っていない.ハワイ大学のライプルス(B. Reipurth)によると,この現象は,同IRAS天体の淡い可視光領域が増光して,大きな散光星雲に成長して起こったもので,これは,非常に希な現象で,IRAS
05380-0728天体ふきんで見られた現象に似ているという(IAUC 8284).ホルノフ(K. Hornoch)の2月11日の観測では,星雲は,赤経方向に65",赤緯方向に80"に広がり,そのR全光度は13.21等であった(IAUC
8287).
八ヶ岳の串田嘉男氏(Yoshio Kushida)は,0.40-m f/10.0シュミット・カセグレイン+CCDを使用して,2月16日に星雲全体のCCD全光度が14.5等,南側の恒星の光度が16.4等であることを報告している.氏は,その後の2月19日,23日,27日と観測しているが,いずれも,それぞれ,14.5等と16.4等で,この期間中には,明確な光度変化は,認められなかったという.
小惑星 2004 DW
天文年鑑2004年版(p.236〜237),山本速報2392でカイパ−ベルト近くを動く巨大な天体(28978)
アイキオンと (50000) クワオアを紹介したが,さらに巨大であると思われる天体2004 DWが,パロマ−NEATサ−ベイで2004年2月17日に うみへび座を撮影したフレ−ム上の次の位置に発見された(IAUC
8291).発見等級は18等級であった.ラビノビッチ(D. Rabinowitz et al.)らによるセロ・トロロでの観測では,この小惑星の光度が,2月26日にV光度が19.01等,R光度が18.64等であったことが報告されている(IAUC
8295).
2004 UT
α (2000) δ Mag.
Feb. 17.23807 9h
25m 05s.57 - 3゚ 28' 26".2 18.8
2004 DWの標準等級は,スロ−プ係数G=
0.15として,(28978)が 3.2等(直径780 Km),(50000)が 2.6等(1030 Km)であるのに比べ, 2004 DWは,さらに明るく
2.2等で,天文年鑑と同じ方法でその直径を求めると1240 Kmになる.発見前の観測も,1951年から2003年末まで9回の衝で見つかった.いずれの衝でも,観測光度は,18.5等から18.8等くらいで,もっとも明るい光度は17.9等という観測があった.
アマチュアでも,充分,発見可能な,この程度の明るさのこの種の天体は,もっと,たくさん存在しているのだろう.天体のスロ−・モ−ションに注意して,数日以上離れた過去の捜索フィルムを再チェックすることを勧める.
OAA小惑星課では,1951年から2004年2月22日までに行なわれた55個の観測から次の軌道を計算した.なお,この小惑星は,近年は,その遠日点近くを運行中で,現在,18等級で観測できる.
。
Mo=
157.5372
Epoch = 2004 July 14.0 TT
ω = 73.3347
e = 0.217905 H = 2.2
Ω =
268.5370 (2000.0) a = 39.474018 AU G = 0.15
i = 20.5553
n゚= 0.00397408
q = 30.872441 AU
P = 248.0 年
2004/ α (2000)
δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h TT h
m
。 ,
AU AU ,
PA 。 。 。 等
Mar.
6 09 23.89 -03 21.4 46.727
47.610 1.0/297 152.6 0.5
19.0
16 09 23.29
-03 16.9 46.799 47.612 0.9/301
144.4 0.7 19.1
26 09 22.78
-03 12.3 46.896 47.614 0.8/307
135.6 0.8 19.1
Apr.
5 09 22.38 -03 07.7 47.014
47.615 0.6/316 126.4 1.0
19.1
15 09 22.09
-03 03.3 47.150 47.617 0.5/329
117.2 1.1 19.1
25 09 21.93
-02 59.2 47.299 47.618 0.4/353
107.9 1.2 19.1
May
5 09 21.90 -02 55.6 47.458
47.620 0.3/ 27 98.6 1.2 19.1
15 09 22.00
-02 52.6 47.621 47.622 0.4/ 57 89.4 1.2
19.2
25 09 22.24
-02 50.3 47.783 47.623 0.6/ 74 80.3 1.2
19.2
June
4 09 22.59 -02 48.7 47.941 47.625 0.7/ 84 71.2 1.2
19.2
2004
March 3
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