2004年7月28日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2432
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TNO小惑星 2003 UR292
2003年10月24日にキットピ−クでうお座とくじら座の境界を撮影したフレ−ム上の次の位置に発見された20等級のTNO(Trans
Neptune Object)は,2001年10月と2002年10月にパロマ−NEATサ−ベイで撮影されていたフレ−ム上,そして2003年10月19日にスペ−スウォッチサ−ベイで撮影されたフレ−ム上にも,発見前のイメ−ジが見つかった.さらに,この天体は,11月20日にも,キットピ−クで再観測された.この天体の周期は,およそ,183年で,小惑星センタ−での軌道解析によると,今後,数千年以内に,海王星に極めて接近し,その重力圏にも入るかも知れないことが指摘された(MPEC
2004-N19).
2003 UT
α
(2000) δ Mag.
Oct. 24.19583 00h
38m 52s.51 +02゚ 03' 30".2 20.8
OAA小惑星課では,2001年10月6日から2003年11月20日までに行なわれた12個の同じ観測群から次の軌道を決定した.平均残差は0".32.今後,1万年間の軌道を計算すると,このTNOは,西暦5000年代に海王星に,0.55
AUと0.33 AUまで接近する.また,西暦9000年代,10000年代にも,海王星まで1AUほどに接近するが,その重力圏まで接近することはなかった.これは,小惑星センタ−の軌道解析とは,異なる結果となるが,使用された軌道,そして,惑星の質量や座標系が異なるために,これらを単純に比較はできない.
しかし,ほとんどすべてのTNOが海王星には接近しない安定した軌道を公転する中で,このように海王星に近づく天体が発見されることはめずらしいし,貴重な発見となる.未発見のTNO天体の中には,何千年,何万年間の間には,海王星への大きな接近のために,その軌道が大きく変化する天体や,その重力圏に入ってしまい表面に衝突している天体も,まだ,存在しているのかも知れない.なお,この天体の直径は,およそ,140-kmと推測される.これくらいの天体が,もし,海王星表面に衝突しているならば,その表面だけでなく,海王星の運動に少なからず影響を与えるだろう.
。
Mo= 343.5623
Epoch = 2004 July 14.0 TT
ω = 249.3468
e = 0.170803 H = 7.0
Ω = 146.5149 (2000.0) a = 32.23788 AU G = 0.15
i = 2.7213
n゚= 0.005384611
q = 26.731546 AU
P = 183.0 年
2004/ α (2000) δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h TT
h m 。 , AU AU , PA 。
。 。 等
Aug. 23 00 55.62
+03 45.4 26.312 27.047 1.3/244
135.9 1.5 21.5
Sept.12 00 53.94
+03 33.6 26.123 27.043 1.7/246
155.6 0.9 21.4
Oct. 2 00
51.84 +03 19.7 26.041 27.039
1.8/247 175.4 0.2 21.3
22 00 49.66
+03 05.8 26.079 27.035 1.6/248
163.6 0.6 21.4
Nov. 11 00 47.75
+02 54.1 26.232 27.031 1.2/249
143.2 1.3 21.4
Dec. 1 00
46.42 +02 46.7 26.482 27.027
0.6/253 122.7 1.8 21.5
LINEAR彗星 C/2003 T4 (LINEAR)
来年4月に近日点を通過するこの彗星が次第に明るくなってきた.彗星は,発見当初19等級であった.彗星の増光を推測するCCD全光度は少ないが,6月4日には15.9等(上尾;門田健一),7月16日に16.4等(那賀川;堀寿夫,前野拓)と報告されている.彗星は,今後,順調に増光すれば,来年春に6等級まで明るくなるだろう(cf.
YC 2409).
OAA計算課では,2003年10月13日から2004年6月28日までに行なわれた378個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".65(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1084.htm).
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2432
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Epoch = 2005 Apr. 20.0 TT 。
T = 2005
Apr. 3.6251 TT ω = 181.6761
(1/a)org.= +0.000212
e = 1.000616
Ω = 93.9041 (2000.0) (1/a)fut.= -0.000785
q = 0.849654 AU i
= 86.7618
( Q = 7 )
ブラッドフィ−ルド彗星 C/2004 F4 (Bradfield)
彗星の眼視全光度は,6月には11等級,7月には12等級であった.CCD全光度は,上尾の門田健一氏(K. Kadota)は,6月23日に15.8等,久万の中村彰正氏(A. Nakamura)は,30日に16.5等,7月のCCD全光度は,暗く18等級,たとえば,那賀川の堀寿夫氏と前野拓氏(H. Hori & H. Maeno)からは,7月16日のCCD全光度は18.1等と報告されている.同時期の7月10日の眼視全光度が12.7等であるのに比べ,その差は,非常に大きい(cf.
YC 2424, YC 2426).
OAA計算課では,2004年4月23日から7月17日までに行なわれた206個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".62.光度予報は,困難であるが,眼視では14等級で観測できるだろう.
Epoch = 2004 Apr. 25.0 TT 。
T = 2004 Apr. 17.0901 TT ω = 332.7856
(1/a)org.= +0.005154
e =
0.999291
Ω = 222.7780
(2000.0) (1/a)fut.=
+0.004232
q =
0.168265 AU i
= 63.1646
P= 3640年 ( Q = 5 )
2004/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
July 24 01
04.97 +65 08.2 2.130 2.179 79.0
27.2 14.0
Aug. 3 00 42.71 +66 44.9 2.177 2.334 85.8
25.7 14.4
13 00 13.38 +67 37.8 2.223 2.485 92.7
24.0 14.7
23 23 39.79 +67 34.0 2.271 2.632 99.3
22.3 15.0
Sept. 2 23
06.70 +66 28.2 2.328 2.775 105.5
20.5 15.3
12 22 38.45 +64 25.8 2.398 2.914
111.0 18.8 15.5
22 22 17.22 +61 40.4 2.485 3.050
115.2 17.3 15.8
Oct. 2 22 03.03 +58 29.2 2.591 3.184
117.8 16.1 16.1
m1 = 9.0 + 5 log △ + 10.0
log r
SWAN彗星 C/2004 H6 (SWAN)
我が国で観測可能となった彗星の姿が6月30日に久万の中村彰正氏(Akimasa Nakamura)によって初めて捕らえられた.さらに,7月1日と2日には,上尾の門田健一氏(Ken-ichi Kadota)もこの彗星の姿を捕らえた.このときの門田氏の CCD全光度は,それぞれ,10.2等と10.8等と観測された.彗星は,7月には,奈良の永島和郎氏(Kazuro Nagashima)によって13日に8.9等と,眼視全光度で8等〜9等級で観測されている.8月には,9等〜10等級で観測できるだろう(cf.
YC 2428, YC 2429). OAA計算課では,2004年5月21日から7月23日までに行なわれた50個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".73.軌道改良に使用された最終観測は,雄踏の和久田俊一氏(S.
Wakuda)によるもので,氏によるCCD核光度は,7月20日に15.9等,23日に15.3等であった.なお,観測期間が短く定かではないが,彗星の過去・未来軌道とも,かなり大きい−(マイナス)を示す.軌道の精度が向上すれば,より小さく,あるいは,+(プラス)に転じるかどうか興味がある.
Epoch = 2004 Apr. 25.0 TT 。
T = 2004 May 12.6852 TT ω = 269.0428
(1/a)org.= -0.000181
e =
1.000533
Ω = 317.2448
(2000.0) (1/a)fut.=
-0.000156
q =
0.776226 AU i =
107.6616
( Q = 5 )
2004/ α (2000) δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU 。 。 等
July 24 23
17.55 -10 32.4 0.617 1.516 135.0
28.3 8.3
Aug. 3 21 41.28 -07 20.1 0.654 1.654
164.6 9.4 8.8
13 20 27.94 -04 18.0 0.802 1.792
161.2 10.5 9.6
23 19 43.31 -02 22.9 1.023 1.928
142.8 18.5 10.4
Sept. 2 19
18.15 -01 19.2 1.282 2.062 128.0
22.7 11.2
12 19 04.62 -00 43.9 1.562 2.195
115.8 24.4 11.9
22 18 58.19 -00 22.7 1.852 2.327
105.2 24.6 12.5
Oct. 2 18 56.29 -00 07.3 2.145 2.456 95.7
23.9 13.1
m1 = 7.5 + 5 log △ + 10.0
log r
2004
July 28
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