2004年8月10日 山 本 速 報
ISSN
0915-9177
YAMAMOTO
CIRCULAR
2433
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LINEAR周期彗星 P/2002
A1 & P/2002 A2 (LINEAR)
クレット天文台のティチ(M.
Tichy)は,同所の1.06-m KLENOT望遠鏡を使用して,2004年2月と3月に,これら2個の周期彗星の観測を行なった.彼の観測によると,このときの彗星のCCD全光度は,いずれも平均値で,2002
A1が21.8等,2002 A2が21.6等であった.これらの観測光度は,HICQ 2004(p. H29)にある予報光度より,1.5等〜2等級ほど暗い.なお,2003年以後の観測は,すべて,クレット天文台のKLENOT望遠鏡で行なわれたものである.
OAA計算課では,これらの観測を使用して,次の軌道を計算した.2002 A1の軌道は,2001年12月13日から2004年3月31日までに行なわれた108個の観測,2002
A2の軌道は,2001年11月19日から2004年3月31日までに行なわれた197個の観測から計算されたもの.それらの平均残差は,それぞれ,0".64,0".55,次回の近日点通過は,2002
A1が2066年3月25日,2002 A2が2065年5月12日となる(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1087
and nk1088).
P/2002
A1 (LINEAR)
P/2002 A2 (LINEAR)
Epoch = 2001 Nov. 27.0 TT
T = 2001 Dec. 2.3238 TT 2001 Dec.
9.9433 TT
。
。
ω =
19.0869
19.4523
Ω =
82.2068
82.2718
(2000.0)
i = 14.2421
14.2319
q = 4.713558 4.708699 AU
e = 0.740977
0.739029
a = 18.19742
18.04301 AU
n゚= 0.01269666
0.01285999
P = 77.63
76.64 年
2つの彗星の前回の近日点通過は,1952年2月12日で,その軌道は,下のとおりとなる.彗星の軌道長半径は,a=
13.552 AU,周期はP= 49.89年であった.
Comet T/TT
q AU e P ω Ω i Epoch
2002 A1 1952 02 12.501
4.63168 0.65821 49.89 24.070
83.609 14.498 1952 01 29
2002 A2 1952 02 12.780
4.63146 0.65828 49.90 24.059
83.610 14.498 1952 01 29
なお,2つの彗星は,前回の近日点通過以来,0.04 AU以内の距離を保っていた.もっとも,接近したのは,1955年7月で0.0028AU(約42万Km)であった.従って,彗星は,前回の近日点を通過のあと,約3年ほど経過する間に,分裂したのであろう.もし,仮に,光度の明るい2002
A2が主核で,すでに1952年の近日点時に分裂が始まっていたものと仮定し,古在理論(Proc.
Japan Academy, 78B, 84-60(2002),cf. YC 2386,YC 2429)を使用して,分裂速度を計算すると,副核2002
A1は,-0.267 m/sで主核から分裂したことになる.
エドガ−・ウィルソン賞 Edgar
Wilson Award
2004年6月末までの1年間に新彗星を発見したアマチュア天文家に贈られるこの賞の受賞者が次の2名に決まった.受賞者には,発見プレ−トと総額約2万ドルの賞金が均等に分配される(IAUC
6936, IAUC 8372 and YC 2401).
Vello Tabur, Wanniassa, A.C.T.,
for C/2003 T3
William A. Bradfield, Yankalilla, S. Australia, for C/2004 F4.
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2433
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明るい超新星 2004dj IN NGC 2403
今年になって3個の超新星を発見している山形市の板垣公一氏(Koichi Itagaki)は,8月1日早朝3時JSTすぎに,氏の山形にある観測所で,60-cm
f/5.7 反射望遠鏡+CCDカメラを使用して,北天きりん座にある系外銀河 NGC 2403 を撮影したサーベイ・フレーム上に,発見光度が11.2等ときわめて明るい超新星を発見した.超新星は,銀河核から東に160",北に10"の位置に出現している.この超新星は,同氏が保有する2002年以後の捜索フレーム上には,その姿が見られなかった.同氏は,1日夜20時JSTに,この超新星の光度が11.3等であることを観測し,この出現を確認した.板垣氏の超新星発見は,これで10個目となる.なお,この超新星は,氏がこれまでに発見した超新星の中で,もっとも明るいだけでなく,発見時の光度で11等級の超新星が発見されることは,きわめてめずらしい.発見当時の光度が11等級より明るい超新星は,超新星発見史上,これまでに23個の超新星しか発見されていない.もっとも,最近では,1993J(発見光度10.2等)が系外銀河
NGC 3031に出現している(OAA新天体発見情報70,IAUC 8377).なお,8月3日のカラー・オルト天文台の2.2-m望遠鏡によるスペクトル観測によると,この超新星は,爆発後3週間が経過したU型Pの超新星であるという(IAUC 8378).
2004年7月16日出現の大火球 Fireball
on 2004 July 16
この項,山本速報2435に掲載.
さそり座新星 2004 No.2 = V1187 Scorpii
北九州の高尾明氏(Akira
Takao)は,8月3.58日に120-mm レンズで さそり座を写したCCDフレ−ム上に7等級の新星状天体を発見した.チリのリラ−(W.
Liller)によると,この新星は,7月19日には11等級より暗かったという.山形の板垣公一氏(K.
Itagaki)は,8月5日にこの新星の存在を確認し,出現位置をα=17h 29m 18s.81,δ=-31゚ 46' 01".5と観測した.氏のCCD光度は8.0等であった(IAUC
8380, IAUC 8381).この新星は,その後,8月5日に9.8等(ベディエント;米国),9.8等(ホルノフ;チェコ),6日に9.8等(キス;豪)と観測されている(IAUC
8382).
2004
August 10
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