2004年12月7日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2448
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とも座新星 Nova
Puppis 2004 = V574 Puppis
津山市の多胡昭彦氏(Akihiko
Tago, Tsuyama)と水戸市の櫻井幸夫氏(Yukio
Sakurai, Mito)から,11月21日JST,深夜から早朝にかけて,とも座に7等級の新星を,それぞれ,独立に発見したことが報告された.多胡氏は,ペンタックス6x7カメラにT-Max
400フィルムを使用して,11月21日01時すぎに撮影した2枚のパトロ−ル・フィルム上にこの新星を発見したもの.氏の発見光度は,7.6等であった.同氏によると,11月17日に撮影した極限等級11.5等級のフィルム上には,この新星の姿は見られなかったという.一方,櫻井氏は,フジFine
Pix S2デジタル・カメラにニッコ−ル180-mmレンズを使用して,同日04時半頃に撮影した2枚のCCDフレ−ム上にこの新星を発見した.発見光度は,7.6等であった.氏によると,11月13日と17日の捜索時には,13.5等級より明るいこの新星の姿は見られなかったという.我が国でデジタル・カメラによる天体発見は,この発見が第1号となる.
この新星は,21/22日深夜,八ヶ岳の串田麗樹さん(R.
Kushida, Yatsugatake)と上尾の門田健一氏(K. Kadota, Ageo)によって,次のように観測された.このとき,新星の光度は7.0等まで明るくなっていた.なお,OAA計算課による測定位置は,櫻井氏よりメイルで添付された180-mmレンズによるJPEGイメ−ジから測定されたもので,精度は高くない.門田氏の光度は,Tycho-2星表による.また,多胡氏による出現位置は,のちに訂正されたもの.門田氏は,出現位置近くに18等級の恒星(07h41m53s.605, -27o06'39".09)があることを指摘している.この新星は,美星の綾仁一哉氏(K.
Ayani, Bisei)によって,11月22日03時頃にスペクトル確認された(OAA計算課新天体発見情報73, IAUC 8443, IAUC 8445).なお,串田さんの23/24日夜の観測では,この新星は8.2等に減光したとのこと.
2004 UT α
(2000) δ Mag. Measurer
h m s
。 , "
Nov.
20.67164 07 41 52 -27 06 35 7.6 Tago
20.81198 07 41
53 -27 06
49
7.5
Sakurai
" 07 41
53.76 -27 06 36.9 7.4 OAA
21.62500 07 41 53.56 -27 06 38.3 6.9 Kushida
21.70111 07 41
53.59 -27 06 38.1 7.0 Kadota
しし座流星群 Leonids
in 2004
羽曳野の上田昌良氏(Masayoshi
Ueda, Osaka)の報告では,11月9日朝JST,00時から05時までに行なわれたTV観測上(写野56ox43o)に出現した全流星31個の内,11個のしし群の出現が捕らえられたという.これは,西暦1001年に放出された流星物質がその予報日に接近したものらしい(HAL-News
No.154, JAC-ML).また,神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,11月20日未明に予報されていた1733年に放出された流星物質の観測を試みたが,流星は,観測されなかったとのこと.氏の観測は,11月16/17日28:00〜29:00,全流星21個,しし群4個,最微光星6.0等,以下同順に,19/20日28:00〜29:00,24個,6個,5.7等,29:00〜29:30,14個,2個,5.7等.なお,豆田氏は,11月12/13日に予報されていたアンドロメダ流星群の観測を22時より25時まで行なった.しかし,雲が多かったものの同群の出現は見られなかったとのこと.
LINEAR新彗星 C/2004
RG113
(LINEAR)
LINEARサ−ベイから,2004年11月20日にやまねこ座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に18等級の新彗星の発見が報告された.発見当時,彗星には,南に短い尾が見られたという.この彗星は,LINEARサ−ベイで,2004年9月6日と11日にぎょしゃ座を撮影したCCDフレ−ム上の次の位置に発見されていた19等級の小惑星2004
RG113と同定された(IAUC
8444).この小惑星は,その後の追跡観測が報告されていなかった.なお,8月19日の発見前の観測がLINEARサ−ベイの1夜の観測群中に見つかった.彗星は,このとき,19等級であった.
- continued -
2 YAMAMOTO
CIRCULAR
No.2448
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2004 UT
α (2000) δ Mag. Observer
h m s 。 , "
Sept. 6.39770 05 30 15.54 +41 08 17.9 19.2 LINEAR
Nov. 20.43521 07 32 14.63 +53 40 09.8 18.4 "
OAA計算課では,2004年8月19日から12月1日までに行なわれた77個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".52.軌道改良に使用した最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏のCCD全光度は,11月24日に17.5等,27日に17.4等,12月1日に17.3等であった.なお,彗星は,来年年初にほぼ衝位置に来て,16等級まで明るくなるだろう.
Epoch = 2005 Mar. 11.0 TT 。
T = 2005 Mar. 3.7216 TT ω = 125.3087
(1/a)org.= +0.001756
e = 0.997219
Ω = 8.7722 (2000.0) (1/a)fut.= +0.002987
q = 1.942313 AU
i = 21.6181
( Q = 6 )
2004/2005 α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Dec. 1 07 43.70
+55 40.7 1.474 2.246 130.8
19.4 17.4
11 07 51.38 +57 28.9 1.376 2.189
135.3 18.4 17.1
21 07 55.35 +59 02.1 1.296 2.136
138.8 17.7 16.9
31 07 55.54 +60 09.1 1.232 2.089
140.8 17.3 16.7
Jan. 5 07 54.37
+60 28.9 1.207 2.067 141.1
17.4 16.6
10 07 52.59 +60 37.7 1.187 2.047
141.1 17.6 16.5
15 07 50.44 +60 34.3 1.170 2.029
140.6 17.9 16.4
20 07 48.24 +60 17.9 1.158 2.012
139.7 18.4 16.4
25 07 46.29 +59 48.1 1.150 1.997
138.5 19.1 16.3
30 07 44.85 +59 05.1 1.146 1.984
136.9 19.8 16.3
Feb. 4 07 44.14
+58 09.5 1.147 1.972 135.1
20.6 16.2
9 07 44.33 +57 01.8 1.151 1.962
133.2 21.5 16.2
14 07 45.51 +55 43.2 1.159 1.955
131.0 22.4 16.2
19 07 47.72 +54 15.0 1.171 1.949
128.7 23.3 16.2
24 07 50.92 +52 38.6 1.187 1.945
126.4 24.2 16.3
Mar. 1 07 55.03
+50 55.1 1.206 1.943 124.0
25.0 16.3
11 08 05.61 +47 12.2 1.257 1.944
119.1 26.5 16.4
21 08 18.68 +43 15.4 1.323 1.954
114.1 27.7 16.5
31 08 33.46 +39 12.5 1.403 1.971 109.2
28.6 16.7
Apr.
10 08 49.29 +35 09.3 1.496 1.996
104.3 29.1 16.9
20 09 05.74 +31 10.2 1.603 2.027 99.5
29.3 17.1
30 09 22.46 +27 18.1 1.723 2.065 94.7
29.1 17.3
May 10 09 39.23
+23 34.6 1.853 2.110 89.9
28.6 17.6
m1 = 13.0 + 5 log △ + 10.0 log r
32P/コマス ソラ周期彗星 32P/Comas
Sola
2005年5月に回帰するこの彗星の今回の回帰での観測が2004年7月20日以来,再開された.彗星は,これで,1927年の初回出現以来,10回の出現を記録した.この7月の観測は,予報軌道(NK
843; HICQ 2004)から赤経方向で刄ソ=-7".9,赤緯刄ツ=-3".8にずれを示した.これは,近日点通過時刻への補正にして,T=+0.010日であった.しかし,その近日点に近づくにつれ,彗星のモ−ションが大きくなり,雄踏の和久田俊一氏(S.
Wakuda, Yuto)の12月2日の観測では,そのずれは,さらに大きく,約21"となった(Tは,変わらないことに注意のこと).
OAA計算課では,1986年から2004年12月2日までに行なわれた540個の観測を使用して次の軌道を計算した.平均残差は0".83(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1127.htm).彗星は,2005年初に13等級まで明るくなる.なお,位置予報は,HICQ
2004(p. 121)にある予報位置に上記のTを補正すれば良い.
T = 2005 Apr. 1.3344 TT Epoch = 2005 Apr.
20.0 TT
ω = 45o.8238 e = 0.569244 A1
= +0.62
Ω =
60.7956
(2000.0) a = 4.255343 AU A2 = -0.0938
i = 12.9272
n゚= 0.1122800
q = 1.833015 AU
P = 8.78 年
2004 December 7
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Syuichi Nakano
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