2005年2月14日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2459
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LINEAR彗星 C/2003
T4 (LINEAR)
彗星は,順調に明るくなっている.星の広場HAL-News No.188,No.194によると彗星の眼視全光度を坂戸の相川礼仁氏(R.
Aikawa, Sakado)は1月17日に11.0等,生駒の永島和郎氏(K.
Nagashima, Ikoma)は2月5日に9.4等と観測している.永島氏の観測では,複数か,あるいは,扇形の長さが11'ほどの淡い尾が見られたという.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)のCCD全光度は,2月4日に10.7等,11日に10.2等と報告されている(cf. YC 2409, YC 2432, YC 2455).
群馬の小林隆男氏(Takao
Kobayashi, Oizumi)は,2003年10月13日から2005年2月11日までに行なわれた757個の観測から,薮下理論によるCOの非重力効果を考慮して次の軌道を計算した.平均残差は0".61.軌道改良に使用された最終観測は,門田氏と小林氏によるもの.なお,OAA計算課でも,同じ観測群の755個の観測を使用して,軌道を改良したが,その結果は,小林氏の計算を支持している.ただし,彗星の観測が延びるにつれ,それぞれの非重力効果の係数(H2O or CO)は,その量の約1/2まで小さくなっていくだろう(NK
1169; http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1169.htm).
Epoch = 2005 Apr. 20.0 TT
。
Y1 = +9.83, Y2 = -1.0699
T = 2005 Apr. 3.64958 TT ω = 181.64880
(1/a)org.= +0.000230
e = 0.9998195
Ω = 93.90381 (2000.0) (1/a)fur.= -0.000430
q = 0.8498386 AU i
= 86.76157
( Q = 7 )
ところで,山本速報2455の軌道(〜2005年1月10日; HICQ 2005)からの2月11日の観測のずれは,赤経方向で-2".5,赤緯方向で+10".5くらいとなり,もはや,全期間にわたる観測群を重力のみの軌道改良でフィットさせることは不可能となった.一方,H2Oによる非重力効果も,A1=
+27.5,A2= -9.29と観測期間が延びるにつれ,少し小さくなってきたが,期間の始めと最後の観測群に残差のかたより(約1")が見られ,軌道のねじれが生じてきた.これに反して,COの非重力効果を考慮した軌道(〜2005年1月2日)からの2月11日の観測のずれは,赤経方向で
-1".5,赤緯方向で -3".0と小さく,新たに改良された上の軌道でも,すべての観測を奇麗にフィットしている.従って,現段階では,彗星に働いている非重力効果は,COの昇華によるものと考えても良いだろう.
OAA計算課では,小林氏の軌道から次の予報を計算した.なお,光度パラメ−タは,HICQ
2005用に中央局のグリーン(D. W. E. Green, CFA)によって新たに決定されたもの.
2005/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Feb.
14 19 55.15 +19 46.2 1.731 1.220 43.4
33.8 9.7
19 20 05.85 +17 23.0 1.689 1.160 42.0
34.7 9.5
24 20 16.63 +14 52.4 1.642 1.103 40.9
35.9 9.3
Mar. 1 20 27.64
+12 12.3 1.591 1.050 40.1
37.4 9.1
6 20 39.05 +09 20.4 1.537 1.000 39.7
39.3 8.9
11 20 51.11 +06 14.1 1.480 0.956 39.7
41.6 8.7
16 21 04.11 +02 51.0 1.419 0.918 40.0
44.2 8.5
21 21 18.41 -00 51.5 1.357 0.887 40.8
47.2 8.4
26 21 34.47 -04 55.0 1.295 0.865 41.9
50.3 8.2
31 21 52.84 -09 19.4 1.236 0.853 43.3
53.4 8.0
Apr. 5 22 14.12
-14 02.5 1.182 0.850 44.9
56.2 7.9
10 22 38.91 -18 57.8 1.136 0.858 46.8
58.3 7.9
15 23 07.72 -23 54.4 1.103 0.876 48.8
59.6 7.9
20 23 40.77 -28 36.0 1.085 0.902 51.0
59.9 7.9
25 00 17.76 -32 43.7 1.083 0.937 53.1
59.2 8.0
30 00 57.60 -36 00.8 1.100 0.979 55.1
57.6 8.1
May 5 01 38.54
-38 18.1 1.133 1.026 56.9
55.4 8.3
m1 = 8.0 + 5 log △ + 6.0
log r
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2459
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超新星 2005W
in NGC 691
神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治氏(Yoji
Hirose, Chigasaki)は,35-cm f/6.8 シュミット・カセグレン反射望遠鏡+CCDカメラを使用して,2005年2月1日,夕方19時37分JST頃に,おひつじ座にある系外銀河
NGC 691(光度12.4等)を撮影したサーベイ・フレーム上に15.2等の超新星 2005W を発見した.超新星は,銀河核から東に56",南に1"の位置に出現している.この超新星は,1月11日,21日,24日に,同氏がこの銀河をサーベイしたときには,まだ,出現していなかった(極限等級は17等級).なお,氏の発見は,今年になって,我が国から報告された最初の新天体発見(新星,超新星,彗星)となる.カリフォルニア大学のリー(W.
Li)からの報告によると,2月2日に行なわれたKAITサーベイのフレーム上に,この超新星の姿が写っていることが見つかり,超新星出現が確認された.そのときの超新星の光度は14.7等と,発見時より少し増光していた.また,彼は,1月23日(極限等級19等)の捜索フレーム上には,まだ,その姿が見られないことを報告している.さらに,広瀬氏も,2日夕刻に,この超新星が14.9等で存在していることを観測し,この出現を確認した.広瀬氏の超新星発見は,これで3個目となる.なお,広瀬氏の紹介記事が月刊天文ガイド2005年2月号の112と113ページ(ミードLX
& ETXユーザレポート)の中にある(OAA計算課,新天体発見情報74, IAUC 8475).
超新星 2005ab
in NGC 4617
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,冬場の悪天候を避けるために,新たに建設した栃木県高根沢町の新観測所で,30-cm f/7.8 反射望遠鏡+CCDカメラを使用して,2005年2月6日深夜に,りょうけん座にある系外銀河
NGC 4617 を撮影したサーベイ・フレーム上に16.7等の超新星 2005ab を発見した.超新星は,銀河核から西に7",南に40"の位置に出現している.同氏は,翌7日に,この超新星が16.8等で存在していることを観測し,この出現を確認した.板垣氏の超新星発見は,これで13個目となる.なお,この超新星は,板垣氏が保有する2001年以後の捜索フレーム上には,その姿が見られなかった.氏は,また,今年1月にも,同銀河を何回か,サーベイしているが,天候が優れず,良い画像が得られていないため,その存在がわからないとのこと.確認依頼を受けた上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,発見同日にこの超新星の出現を確認し,その出現位置と,観測時の光度は,16.8等であったことを報告している(OAA計算課,新天体発見情報75, IAUC 8478).
LINEAR彗星 C/2003
O1 (LINEAR)
この彗星の観測は,2004年10月15日(m2= 17.4等)で止まっているが,間もなく,再観測が可能となる(YC
2400, YC 2409).OAA計算課では,2002年7月27日から2004年10月15日の最終観測までに行われた417個の観測を使用して次の軌道を計算した.平均残差は0".63(NK
1155(= HICQ 2005); http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1155.htm).なお,光度パラメータは,HICQ 2005用に中央局のグリーン(D.
W. E. Green, CFA)によって新たに決定されたもの.
Epoch = 2004 Mar. 16.0 TT
。
T = 2004 Mar. 17.21197 TT ω =
81.67370
(1/a)org.= +0.000172
e = 1.0015393
Ω = 347.64380 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000164
q = 6.8473558 AU i =
117.98159
( Q = 8 )
2005/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
Feb.
19 16 41.43 +37 12.7 7.118 7.198 90.7 7.9
17.6
Mar. 1 16 38.57
+38 23.3 7.038 7.218 96.5 7.8
17.6
11 16 34.29 +39 36.2 6.964 7.239
102.1 7.7 17.6
21 16 28.49 +40 48.4 6.902 7.260
107.3 7.5 17.6
31 16 21.17 +41 56.5 6.853 7.282
111.7 7.3 17.6
Apr.
10 16 12.38 +42 56.9 6.823 7.304
115.1 7.1 17.6
20 16 02.33 +43 46.1 6.812 7.327
117.3 7.0 17.6
30 15 51.31 +44 21.2 6.822 7.350
118.0 6.9 17.6
May 10 15 39.73
+44 40.1 6.855 7.374 117.3 7.0
17.6
20 15 28.05 +44 41.7 6.910 7.398
115.2 7.1 17.7
30 15 16.74 +44 26.2 6.985 7.422
111.9 7.3 17.7
June 9 15 06.20
+43 54.9 7.079 7.447 107.5 7.5
17.7
19 14 56.77 +43 09.9 7.189 7.473
102.4 7.6 17.8
29 14 48.64 +42 13.9 7.311 7.499 96.7 7.7
17.8
July 9 14 41.93
+41 09.6 7.443 7.525 90.7 7.8
17.9
m1 = 6.5 + 5 log △ + 8.0
log r
2005 February 14
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