2005年6月28日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2475
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2005年3月20日出現の大火球 Fireball
on 2005 March 20
2005年3月20日深夜,01時27分51秒JST,関東地方で満月級の大火球が見られた.日本流星研究会の上田昌良氏(Masayoshi
Ueda, NMS)によると,この大火球は,宇都宮市北方上空で発光して,南西に飛行し,埼玉県中部で消滅した.隕石落下の可能性があるという.この火球は,東京と埼玉の4ヶ所(関口,野本,伊藤,SonotaCo)でTV観測された.また,石川県(室石)で写真に撮られた.火球は,途中で,5個ほどに分裂したという.これらの観測データから,上田氏は,次の対地経路を決定した.氏の計算によると,火球の地表面への突入角は約31o,継続時間は約6.8秒,実経路長は121-Km,その観測速度は,27.4
± 2.1 Km/sec.であった.
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東経 北緯 高度
。 。
発光点: 139.94 +36.86 84.9 ± 0.5 Km
消滅点: 139.35 +36.06 22.5
上田氏(M.
Ueda)は,撮影データから,輻射点を赤経α= 296o.9±0o.20,赤緯δ= +64o.0±0o.27 (2000)と求め,次の軌道を決定した.なお,火球の真輻射点は,α= 303o.4,δ= +63o.5 (2000),対地心速度V∞= 24.9 Km/sec.であった.
ω = 157o.4 e = 0.74
Ω = 359.1 (2000.0) a =
3.8 AU
i = 38.5
P = 7.3 年
q = 0.96
AU
OAA計算課でも,同じデータを使用して,次の軌道を決定した.なお,火球の真輻射点は,α= 303o.4,δ= +63o.0 (2000),V∞= 25.0 Km/sec.で,観測速度が11 Km/sec.以下では,解は存在しない.また,30 Km/sec.以上では,双曲線になる.なお,観測速度が27.0 Km/sec.では,その軌道は,T=
2005年3月7日,q= 0.9832,e= 0.5343,a= 2.11 AU,28.0 Km/sec.では,T= 2005年3月7日,q=
0.9825,e= 0.6007,a= 2.46 AUとなる.
火球は2005年3月2日に近日点を通過し,そのあと,その降交点で地球に衝突した.衝突軌道を図に示す.この火球は3月19日21時JST頃に月の距離を通過し,衝突約10分前にはアラスカ北部上空,2分前にはカムチャッカ上空を通過して,関東地方上空で,大気圏に突入したことがわかる.
T = 2005 Mar. 2.44 TT
ω = 156o.76
e = 0.7417
Ω = 359.10 (2000.0) a = 3.7213 AU
i = 38.79
n゚= 0.13730
q = 0.9614 AU
P = 7.18 年
クリステンセン新周期彗星 P/2005
L4 (Christensen)
アリゾナのクリステンセン(Eric
J. Christensen, LPL)から,1.5-m反射で行なわれているレモン山サーベイで6月13日にやぎ座といて座の境界ふきんを撮影したCCDフレーム上の次の位置に19等級の新彗星を発見したことが報告された.発見当時,彗星は,ほぼ恒星状であったが,西南西に約15"の淡い尾が見られた.ツーソンのマックガハ(J.
E. McGaha, Tucson)による62-cm反射での発見翌日14日の観測では,3"の小さなコマと西に複数の尾が見られたという.なお,発見前の6月3日と12日の観測がスペースウォッチ・サーベイの捜索フレーム上に見つかっている(IAUC
8543).
- continued -
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2475
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2005 UT
α (2000) δ
Mag.
June 13.35110 20h 11m 32s.96 -19゚ 11' 20".5 19.1
OAA計算課では,2005年6月3日から18日までに行なわれた35個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が8年ほどの新周期彗星であった.
T = 2005 Aug. 24.036 TT
ω = 24o.536 e = 0.42421
Ω = 284.069 (2000.0) a = 4.11035 AU
i = 17.027
n゚= 0.118273
q =
2.36671 AU
P = 8.33 年
2005/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等
June
19 20 09.71 -18 25.0 1.498 2.415
147.1 13.2 18.7
29 20 04.50 -17 03.0 1.431 2.401
157.4 9.4 18.6
July 9 19 57.31
-15 42.3 1.387 2.390 167.6 5.2
18.5
19 19 49.08 -14 24.8 1.369 2.381
173.4 2.8 18.4
29 19 40.96 -13 13.1 1.376 2.374
166.3 5.8 18.4
Aug. 8 19 34.06
-12 09.1 1.407 2.370 156.0
10.0 18.5
18 19 29.31 -11 14.0 1.461 2.367
145.7 13.9 18.6
28 19 27.23 -10 27.2 1.534 2.367
136.0 17.3 18.7
Sept.
7 19 28.01 -09 47.5 1.623 2.369
126.8 19.9 18.8
17 19 31.61 -09 12.3 1.726 2.373
118.3 21.9 18.9
27 19 37.76 -08 39.1 1.838 2.380
110.3 23.3 19.1
Oct. 7 19 46.17
-08 05.6 1.957 2.388 102.9
24.1 19.2
17 19 56.53 -07 29.4 2.082 2.399 95.9
24.4 19.4
27 20 08.48 -06 48.9 2.211 2.412 89.2
24.3 19.5
Nov. 6 20 21.75
-06 02.8 2.341 2.427 82.9
23.9 19.7
m1
= 14.0 + 5 log △ + 10.0 log r
CINEOS新周期彗星 167P/CINEOS
(2004 PY42)
イタリアで行なわれているCINEOSサーベイ(Campo Imperatore
Near Earth Objects Survey)から2004年8月10日にみずがめ座を60-cm f/3.0 シュミットで撮影したCCDフレーム上に発見された19等級の小惑星が報告された.この小惑星は,同年9月13日まで追跡され,また,パロマーNEATサーベイによって撮影された2002年6月から8月の捜索フレーム,スペースウォッチUの2003年5月29日の1夜の観測群中にその発見前のイメージが見つかった.軌道計算の結果,この小惑星は,周期が65年ほどのケンタウル族に属する小惑星であることが判明した.
2005年6月7日になって,マウント・グラハムの1.8-m VAT望遠鏡でこの小惑星を観測した結果,小惑星の光度は21.5等で,淡いコマが北西に4"に広がって形状が非対象であること,さらに,翌8日の観測でも,コマが認められ,この小惑星は,彗星であることが判明した(IAUC
8545).さらに,スペースウォッチUからも,6月17日の観測が報告された.彼らの核光度は20.8等であった.
2004 UT
α (2000) δ Mag.
Aug. 10.87443 20h 46m 08s.00 -12゚ 00' 02".7 19.8
OAA計算課では,2002年6月12日から2005年6月17日までに行なわれた51個の観測を使用して,次の軌道を計算した.平均残差は0".32(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1185.htm).なお,この彗星の近日点距離は,彗星としては,これまで最大であったグリソン彗星(2003 A2)のそれ(q= 11.43 AU)をわずかに上回り,彗星としては,最大の近日点距離となった.
T = 2001 Apr. 24.21510 TT Epoch = 2001 May 11.0 TT
ω = 344o.04817 e = 0.2691848
Ω = 295.84354 (2000.0) a = 16.130324 AU
i = 19.12958
n゚= 0.01521386
q = 11.7882861 AU
P = 64.78 年
なお,この彗星は,番号登録彗星として167Pが与えられた.これを機会に複数の衝で観測されたケンタウル族の彗星,165P/LINEAR
(2000 B4)と166P/NEAT (2001 T4)も番号登録された(IAUC 8552;cf. YC 2340, YC 2365).軌道は,次のWeb
pagesを参考のこと.
http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1186.htm, http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1187.htm
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