2005年8月16日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2482
発行:〒656-0011兵庫県洲本市炬口1-3-19 東亜天文学会速報部 郵便振替口座:00980-8-189107 加入者名:東亜天文学会速報部 購読料1部130円 |
Published by the Department of Yamamoto
Circular, Oriental Astronomical Association Collaborating with the Computing and Minor Planet SectionsP. O. Box No.32, Sumoto, Hyogo-Ken, 656-8691 JAPANe-Mail address: (Subscription) URL: http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/yc.htm |
編集:中野 主一 ☎ 0799-22-3747 Fax: 23-1104 e-Mail address: Editor: Syuichi Nakano, 3-19, Takenokuchi 1 Chome, Sumoto, Hyogo-Ken, 656-0011 JAPAN |
|
深宇宙の小惑星 2003
EL61
スペインのアセイトゥノ(F.
J. Aceituno, Granada)によって 36-cm f/6.0 シュミット・カセグレインを使用して,2003年3月にかみのけ座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見されていた17等級の動きの遅い小惑星状天体は,その発見後,4月13日まで観測された.この天体は,2004年になってブラウンら(M.
E. Brown et al.)によっても,5月6日に見つけられた.彼らの2005年1月から6月までのケック天文台での追跡によると,この天体には,軌道長半径が約4万9500-Kmを公転する周期が
49.1日の衛星の存在が推測され,その連星系の質量は,冥王星系の質量の29%になるという.この天体は,今年7月になって,スペインのサンチェス(S.
Sanchez et al.)らによって捕らえられ,その存在が確認され,公表された(IAUC 8577).
2003 UT
α (2000) δ
Mag.
Mar. 7.02824 13h 20m 02s.68 +20゚ 39' 16".9 17.6
計算された連結軌道から,1955年(観測光度;16.4等),1991年(16.9等),1994年(16.9等),1995年(17.8等),1996年(16.6等),1998年(17.4等),1999年(17.7等),2002年,2003年,2004年,2005年と11回の衝での観測が確認された.
OAA小惑星課では,1955年から2005年まで11回の衝で行なわれた69個の観測から次の軌道を計算した(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0003.html
& 0008.html).
。
Mo= 198.0634
Epoch = 2005 Aug. 18.0 TT
ω = 239.5176
e = 0.188740 H = 0.3
Ω = 121.8951 (2000.0) a = 43.34474 AU G = 0.15
i = 28.1947
n゚= 0.003453818
q = 35.16385 AU
P = 285.4 年
なお,この小惑星は,現在,ほぼ,その遠日点近くを運行している.もっとも近い近日点通過は2133年頃で,小惑星は,その頃,15等級まで明るくなるだろう.仮に天文年鑑2005(p.237〜)と同じように表面の反射率(アルベド)を0.15として,その直径を計算すると3030-Km,アルベドを冥王星と同じ0.30とすると2150-Kmとなる.これは,冥王星のそれ(直径2390-Km)とほとんど変わらない.なお,Gは,小惑星表面のスロープ・パラメータであるが,実質的にはアルベドと考えて良い.Gが変わると相異なった絶対等級Hが計算されると思われるかも知れないが,実際にG=
0.15とG= 0.30でHを求めても,その差は,0.02等ほどにしかならないので,これは無視できる.
2005/2006 α (2000) δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h
TT h m 。 , AU AU , PA 。
。 。 等
Nov.
6 13 28.69 +19 12.3 51.988
51.230 1.1/ 94 39.8
0.7 17.5
26 13 30.18
+19 10.7 51.780 51.227 0.8/ 80 55.5 0.9
17.5
Dec. 16
13 31.36 +19 13.6 51.506 51.225
0.6/ 55
72.9 1.1 17.5
Jan.
5 13 32.09 +19 20.7 51.198
51.223 0.5/ 16 90.9 1.1 17.5
25 13 32.30 +19 31.3 50.892
51.221 0.7/340 109.0 1.0
17.5
Feb. 14
13 31.98 +19 43.8 50.626 51.218
0.9/319 126.4 0.9 17.5
Mar.
6 13 31.20 +19 56.7 50.432
51.216 1.0/306 141.9 0.7
17.4
26 13 30.06
+20 08.2 50.333 51.214 1.0/295
151.8 0.5 17.4
Apr. 15
13 28.74 +20 16.9 50.339 51.211
0.9/284 150.1 0.6 17.4
May
5 13 27.43 +20 21.5 50.449
51.209 0.8/270 138.6 0.7
17.4
25 13 26.31
+20 21.5 50.645 51.207 0.6/248
123.2 0.9 17.5
June 14
13 25.54 +20 17.0 50.906 51.204
0.5/209 106.6 1.1 17.5
July
4 13 25.20 +20 08.6 51.199
51.202 0.6/169 89.6 1.1 17.5
24 13 25.36
+19 57.1 51.492 51.200 0.8/145 72.7 1.1
17.5
Aug. 13
13 26.01 +19 43.8 51.752 51.197
1.0/132
56.3 0.9 17.5
Sept. 2
13 27.09 +19 30.0 51.950 51.195
1.2/122
41.2 0.7 17.5
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2482
|
マックノート彗星 C/2005
L3 (McNaught)
OAA計算課では,2004年7月と8月にサイディング・スプリングで行なわれた1夜の観測群の中にこの彗星の観測を見つけ,2004年7月16日から2005年8月14日までに行なわれた96個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".41.なお,2004年の観測時,彗星の光度は19等級と報告されている.また,那賀川の堀寿夫氏と前野拓氏(H.
Hori & H. Maeno, Nakagawa)の8月4日の観測によれば,彗星のCCD全光度は17.3等であった.8月の位置予報は,山本速報2473にある.
Epoch = 2008 Jan. 15.0 TT
。
T = 2008 Jan. 15.98036 TT ω =
47.09491
(1/a)org.= +0.000040
e = 0.9999725
Ω = 288.73929 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000271
q = 5.5933737 AU i =
139.44848
( Q = 7 )
カテリナ彗星 C/2005
N4 (Catalina)
その後の追跡観測が報告され,彗星は,周期が424年ほどの長円軌道を運行していることが判明した(cf.
YC 2480).OAA計算課では,2005年7月6日から8月5日までに行なわれた188個の観測から次の軌道を決定した.なお,8月と9月の位置予報は,山本速報2480にある.
。
T
= 2005 July 2.6080 TT
ω = 136.5536
a = 56.4655 AU
e
= 0.959205
Ω = 64.0437 (2000.0) P = 424 年
q
= 2.303504 AU i =
116.6272
深宇宙の小惑星 2003
UB313
パロマ−の1.2-m オースチン・シュミットを使用して,遠方の小惑星を捜索していたブラウンら(M.
E. Brown et al.)のNEAT観測チームは,2003年10月にくじら座を撮影した CCDフレーム上の次の位置に18等級の動きの遅い小惑星状天体を発見した.この天体は,同所で同年9月と10月上旬に撮影されたフレーム上にも見つかった.天体は,今年1月になって,セロトロロの1.3-m反射でラビノビッチ(D.
Rabinowitz et al.)らによって捕らえられ,その存在が確認された(IAUC 8577).
2003 UT
α (2000) δ
Mag.
Oct. 21.26747 01h 36m 13s.82 -06゚ 07' 15".3 18.8
計算された連結軌道から,1954年,1982年(観測光度;19.3等),1989年(18.4等),1990年(19.3等),1993年,1994年,1995年(18.1等),1997年(18.6等),2000年,2001年,2002年,2003年,2005年と13回の衝での観測が確認された.
OAA小惑星課では,1954年から2005年まで13回の衝で行なわれた110個の観測から次の軌道を計算した(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0004.html
& 0009.html).
。
Mo= 197.4982 Epoch
= 2005 Aug. 18.0 TT
ω = 151.3377
e = 0.442198 H = -1.1
Ω =
35.8747
(2000.0) a = 67.65826 AU G = 0.15
i = 44.1774
n゚= 0.001771018
q = 37.73990 AU
P = 556.5 年
仮に天文年鑑 2005(p.237〜)と同じように表面の反射率(アルベド)を0.15として,その直径を計算すると5680-Km,アルベドを冥王星と同じ0.30とすると4010-Kmとなる.これは,冥王星のそれ(直径2390-Km)より大きいことになる.ただ,絶対等級Hは,冥王星が-1.0等,2003 UB313が-1.1等とあまり変わらない.おそらく,冥王星とほぼ同じ大きさの天体で,直径を推定する式に少し誤差があるのだろう.なお,この小惑星は,現在,ほぼ,その遠日点近くを運行している.もっとも近い近日点通過は2256年頃で,小惑星は,その頃,14等級まで明るくなるだろう.
2005/2006 α (2000) δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h
TT h m 。 ,
AU AU , PA 。
。 。 等
Aug. 18
01 39.16 -05 22.9 96.352 96.905
0.4/237 122.9 0.5 18.8
Sept. 7
01 38.72 -05 27.3 96.116 96.903
0.5/244 141.2 0.4 18.8
27 01 38.10
-05 31.8 95.970 96.900 0.6/250
157.9 0.2 18.8
Oct. 17
01 37.37 -05 35.8 95.934 96.897
0.6/255 165.0 0.2 18.8
Nov.
6 01 36.64 -05 38.7 96.013
96.894 0.5/262 152.7 0.3
18.8
26 01 35.99
-05 40.1 96.198 96.892 0.4/274
134.4 0.4 18.8
Dec. 16
01 35.50 -05 39.6 96.469 96.889
0.2/302 115.0 0.5 18.8
Jan.
5 01 35.25 -05 37.3 96.790
96.886 0.2/ 2 95.3 0.6
18.8
25 01 35.26
-05 33.2 97.123 96.883 0.3/ 37 75.6 0.6
18.8
2005 August 16
Ⓒ Copyright 2005 OAA
Syuichi Nakano
Internet Explorer上にあるMicroSoft Wardのアイコンをクリックして,表示→印刷レイアウトを指定すると,ほぼ,オリジナルの山本速報が見れます.その際は,2ページ目の上にあるブランク行(2行)とこの説明を省くと,2ページに収まります.印刷の際は,B4用紙に2ページを指定すると,ほぼ,オリジナルと同じになります.