2005年8月18日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2483
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火星探査機 Mars
Reconnaissance Orbiter (MRO)
熊本県民天文台の艶島敬昭氏と小林寿郎氏(K.
Tsuyashima & J. Kobayashi, Kumamoto)から,2005年8月12日22時 JSTすぎ,アンドロメダ座α星ふきんにアポジモータを噴射したような明るい光点と雲が肉眼で見られることが報告された.氏によると,このジェットの噴出のような光斑は,しだいに北に動き,その光度は2等〜3等であった.この光斑は,南阿蘇ルナ天文台の宮本孝志氏(T.
Miyamoto, Aso),山口県徳地天文同好会の末永道真氏(M.
Suenaga, Kudamatsu),さらに,宗像ユリックス・プラネタリウムの山田明氏(A. Yamada,
Kita-Kyushu)によっても,22時台に捕らえられ,その画像が報告された(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0011.html).
美星スペースガードセンターの浅見敦夫氏(A.
Asami, BSGC)は,これらの画像からその位置を次のように測定した.
2005 UT
α
(2000) δ Place
h
m s o ,
"
Aug. 12.55337
23 38 17.00
+31 31.4 Yamaguchi
" 12.55493 23 42 41.00 +32 11.6
"
" 12.562 23 51.6
+32 32 Kumamoto
" 12.56819 00 07 52.00 +35 44.7
Yamaguchi
" 12.57122 00 14 46.17 +36 42 53.1 Kumamoto
" 12.57127 00 14 50.67 +36 43 24.7 "
" 12.57133 00 14 55.24 +36 43 52.6 "
" 12.58056 00 21 18 +37
20.8
Aso
" 12.58125 00 21 39 +37
24.0 "
なお,浅見氏は,山口で撮影された画像上にこの光斑の近くを同じ方向に動く2つの光点を見つけ,次のように測定している.なお,これらの光点は,小林・末永諸氏らも観測している.
2005 UT
α
(2000) δ
Place
h m s o ,
"
光点A Aug. 12.56806 00 07 07.9 +35 54 04
Yamaguchi
" 12.56833 00 07 36.3 +35 57 07 "
光点B Aug. 12.56806 00 07 21.5 +35 47 55
Yamaguchi
" 12.56833 00 07 50.4 +35 51 01
"
宇宙航空研究開発機構の吉川真氏(Makoto
Yoshikawa, JAXA)によると,当夜は,NASAが打ち上げた 火星探査機(MRO)のトラッキング支援を行なっており,その打ち上げが8月12日20時43分JSTで,内之浦からのトラッキング開始が21時43分頃,その後,支援は8月13日07時半すぎまで続けられたという.氏は,報告された観測位置からこれがMROであることを同定した.
なお,NASAの資料によると,上記の時刻に対応する MROの山口と熊本での予報位置は,それらの観測と良く一致している.このとき,MROは,山口からおよそ1.6万Km,熊本からおよそ2.5万Kmの距離にいた.
カテリナ周期彗星 P/2005
N5 (Catalina)
その後の追跡観測が報告され,彗星は,周期が150年ほどの長円軌道を動く,新周期彗星であることが判明した(cf.
YC 2480).
OAA計算課では,2005年7月12日から8月13日までに行なわれた71個の観測から次の軌道を決定した.なお,8月と9月の位置予報は山本速報2480にある.
T = 2005 Aug. 22.6751 TT
ω = 207o.7609
e = 0.943305
Ω = 156.4116 (2000.0) a = 28.70457 AU
i = 21.3787
n゚= 0.0064088110
q = 1.627415 AU
P = 153.8 年
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2483
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深宇宙の小惑星 2005
FY9
パロマ−の1.2-m オースチン・シュミットを使用して,遠方の小惑星を捜索していたブラウンら(M.
E. Brown, C. A. Trujillo & D. Rabinowitz)のNEAT観測チームは,2005年3月にかみのけ座を撮影した
CCDフレーム上の次の位置に16等級と明るい動きの遅い小惑星状天体を発見した.この天体は,同所で2003年2月と3月上旬に撮影されたフレーム上にも見つかった.また,2005年4月にも,その存在が確認された(IAUC
8577).
2005
UT
α (2000) δ
Mag.
Mar. 31.25938 12h 15m
58s.81 +30゚ 43'
07".8
16.8
OAA小惑星課では,その後に見つかった1955年(観測光度16.7等),1990年(17.2等),1992年(17.3等),1998年(17.6等),1999年(17.0等),2002年(16.7等)の観測を加え,1955年から2005年まで8回の衝で行なわれた41個の観測から次の軌道を計算した.なお,2003年〜2005年までの10個の観測から計算した軌道からの残差は,1999年に75",1992年に0o.13,1955年に2o.49であった(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0005.html
& 0010.html).
。
Mo=
146.0920
Epoch = 2005 Aug. 18.0 TT
ω = 296.7448
e = 0.154576 H = 0.0
Ω =
79.5185
(2000.0) a = 45.74121 AU G = 0.15
i = 28.9992
n゚= 0.003185977
q = 38.67071 AU
P = 309.4 年
仮に天文年鑑 2005(p.237〜)と同じように表面の反射率(アルベド)を0.15として,その直径を計算すると
3420-Km,アルベドを冥王星と同じ0.30とすると 2420-Kmとなる.これは,冥王星のそれ(直径2390-Km)とほとんど変わらない.なお,この小惑星は,現在,ほぼ,その遠日点近くを運行している.もっとも近い近日点通過は1880年頃で,小惑星は,その近日点頃には,16等級で観測できるが,軌道が丸いために,観測光度に大きな変化はない.
これまでも,おりあるごとに注意をうながしてきたが,2003 EL61,2003 UB313,2005 FY9のように動きのゆっくりとした天体は,主としてNEOの発見を目的としている現在の全天サ−ベイでは,その検出方法を変更しないと発見できない.以前に,小惑星捜索を行なったことのある方は,ぜひ,数週間〜数カ月離れた捜索フィルムを確認されることを勧める.
2005/2006 α (2000) δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h
TT h m 。 , AU AU , PA 。
。 。 等
Nov.
6 12 21.52 +29 09.9 52.442
51.906 0.8/ 82 56.8 0.9 17.3
26 12 22.78
+29 12.3 52.179 51.909 0.6/ 56 73.7 1.0
17.3
Dec. 16
12 23.58 +29 19.2 51.882 51.913
0.6/ 18
91.3 1.1 17.3
Jan.
5 12 23.83 +29 29.8 51.588
51.916 0.7/343 109.0 1.0
17.3
25 12 23.53
+29 42.5 51.335 51.920 0.8/321
126.0 0.9 17.2
Feb. 14
12 22.71 +29 55.7 51.153 51.923
1.0/307 140.9 0.7 17.2
Mar.
6 12 21.51 +30 07.5 51.066
51.926 1.0/295 149.8 0.6
17.2
26 12 20.11
+30 16.1 51.084 51.930 0.9/283
147.7 0.6 17.2
Apr. 15
12 18.70 +30 20.5 51.202 51.933
0.8/268 136.3 0.8 17.2
May
5 12 17.48 +30 19.9 51.407
51.936 0.6/244 121.2 1.0
17.2
25 12 16.63
+30 14.6 51.672 51.939 0.5/208
104.8 1.1 17.3
June 14
12 16.24 +30 05.0 51.966 51.943
0.6/172
88.1 1.1 17.3
July
4 12 16.37 +29 52.3 52.258
51.946 0.8/150 71.6 1.1 17.3
クリステンセン周期彗星 P/2005
M1 (Christensen)
1997年出現時の観測がハレアカラNEATサーベイで1997年10月,11月,12月に行なわれていた捜索フレーム上に見つかった.これで,この彗星は,1997年と2006年の2回の出現が確認された.
OAA計算課では,これらの観測を使用して,1997年10月31日から2005年8月11日までに行なわれた41個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".54.前回出現の近日点通過は,1997年6月20日であった.なお,那賀川の堀寿夫氏と前野拓氏(H.
Hori & H. Maeno, Nakagawa)による8月8日の観測では,彗星のCCD全光度は18.3等であった(cf.
YC 2476, YC 2478).
T = 2006 Jan. 26.75884 TT Epoch = 2006 Jan. 25.0 TT
ω = 225o.45038 e
= 0.3037903
Ω = 143.03480 (2000.0) a = 4.2081977 AU
i = 10.12578
n゚= 0.11417207
q = 2.9297879 AU
P = 8.63 年
2005 August 18
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Syuichi Nakano
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