2005年8月31日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920 YAMAMOTO CIRCULAR
2484
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SWAN新彗星 C/2005
P3 (SWAN)
2005年8月24日JST,須賀川の佐藤裕久氏(H.
Sato, Sukagawa),宇都宮の鈴木雅之氏(M.
Suzuki, Utsunomiya)からSOHOウェッブにある8月のSWANイメ−ジ上のしし座の中を動く,10等級の彗星の像を見つけたと次の位置の報告があった(位置は,佐藤氏の測定による).佐藤氏から報告された8月9日から21日までの5個の位置からその軌道を決定すると,この像は,まちがいなく,彗星のようであった.なお,我が国以外でも,何人かの人達がSWANイメージ上のこの像に気づき,その報告があった.天文電報中央局からの連絡によると,この彗星は,8月25日12時半
JSTになって,クラウドクラフトのヘール(A. Hale, Cloudcroft)によって,10.5等で眼視確認された.我が国でも,この夜に確認作業の態勢をとったが,あいにく,東日本に接近中の台風11号の影響で,西日本の天候も回復しなかった.
しかし,26日夜になって,台風通過後に天候が回復した上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)が,この彗星の確認に成功した.氏による CCD全光度は,11.0等で,彗星は,中央集光をもつ拡散状で,2'のコマが見られたが,尾はなかったという.また,熊本の小林寿朗氏(J.
Kobayashi, Kumamoto)によっても,100-mm双眼鏡で,この彗星が捕らえられ,氏は,コマ視直径1',その眼視全光度を 9.0等と観測している.門田氏と小林氏は,8月26日の次の精測位置を報告している.なお,海外でも,マリョルカ島でサンチェスら(S.
Sanchez et al.)から25日05時JST,ツーソンのマックガハ(J.
E. McGaha)から26日12時 JST頃の位置の報告があった(OAA計算課新天体発見情報81, IAUC 8587; http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0012.html).なお,SWANイメージ上の彗星の発見は,これで6個目となる.その1つ(2002
O6)は,鈴木氏が見つけたもの.
2005 UT α
(2000) δ
Mag.
Observer
h m s 。 ,
"
Aug. 9 11 20.9 +21
08
SWAN
14
11 30.3
+28 07
10 "
16 11 31.8 +30
11
9.5
"
18 11 33.3 +32
34
"
21 11 33.7 +35
22 "
26.43616 11 33
33.75 +38 54 37.7
Kadota
26.43990 11 33
33.73 +38 54 45.8
"
26.44168 11 33
33.67 +38 54 51.4
11.0
"
26.45971 11 33
33.42 +38 55 43.0
9.0
Kobayashi
26.46740 11 33
33.18 +38 56 02.4
"
OAA計算課では2005年8月24日から28日までに行なわれた19個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2005 Aug. 9.724 TT ω = 31.805
Ω = 243.345 (2000.0)
q = 0.52395 AU i = 89.846
彗星は,9月上旬には,夕方の低空に観測できる.9月10日を過ぎる頃には,明け方の観測条件が良くなってくる.なお,生駒の永島和郎氏(K.
Nagashima, Ikoma)は8月28日の眼視全光度を11.2等と報告している(HAL-News No.214).
2005/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1 天文薄明終了時
21h JST h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等 h。 A 。
Sept.
1 11 31.08 +43 08.9 1.242 0.740 36.6
54.3 10.2 +12.9 134.3
3 11 29.98 +44 23.3 1.253 0.771 38.0
53.6 10.4 +12.8 135.9
5 11 28.77 +45 34.3 1.261 0.803 39.5
53.0 10.5 +12.8 137.5
7 11 27.49 +46 42.4 1.269
0.835 41.1 52.4 10.7
+12.7 139.1
9 11 26.15 +47 48.2 1.275 0.868 42.7
52.0 10.9 +12.6 140.6
11 11 24.75 +48 52.2 1.279 0.901 44.4
51.5 11.1 +12.5 142.1
- continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2484
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2005/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1 天文薄明開始時
27h JST h
m
。 , AU AU 。 。 等 h。 A 。
Sept.11 11 24.57 +49 00.1 1.280 0.905 44.7
51.5 11.1 +11.3 216.6
12 11 23.84 +49 31.5 1.281 0.921 45.6
51.2 11.2 +12.3 216.8
13 11 23.10 +50 02.7 1.283 0.938 46.5
51.0 11.3 +13.3 217.0
14 11 22.35 +50 33.6 1.284 0.955 47.4
50.8 11.3 +14.3 217.2
15 11 21.58 +51 04.4 1.285 0.971 48.3
50.6 11.4 +15.3 217.3
16 11 20.79 +51 35.0 1.285 0.988 49.3 50.4
11.5 +16.3 217.5
17 11 19.98 +52 05.6 1.285 1.005 50.2
50.2 11.6 +17.3 217.6
18 11 19.16 +52 36.2 1.285 1.022 51.2
50.0 11.6 +18.3 217.7
19 11 18.32 +53 06.8 1.285 1.039 52.2 49.8
11.7 +19.3 217.7
20 11 17.45 +53 37.4 1.285 1.055 53.2
49.6 11.8 +20.3 217.8
21 11 16.57 +54 08.1 1.284 1.072 54.2
49.4 11.8 +21.3 217.8
22 11 15.65 +54 38.9 1.283 1.089 55.3
49.2 11.9 +22.3 217.8
23 11 14.71 +55 09.9 1.282 1.106 56.3
49.0 12.0 +23.3 217.7
24 11 13.74 +55 41.1 1.280 1.123 57.4
48.8 12.0 +24.2 217.7
25 11 12.73 +56 12.5 1.279 1.139 58.4
48.6 12.1 +25.2 217.6
26 11 11.68 +56 44.2 1.277 1.156 59.5
48.4 12.2 +26.1 217.4
27 11 10.60 +57 16.2 1.275 1.173 60.6
48.1 12.2 +27.1 217.3
28 11 09.46 +57 48.5 1.273 1.189 61.7
47.9 12.3 +28.0 217.1
29 11 08.28 +58 21.1 1.270 1.206 62.8
47.6 12.3 +29.0 216.8
30 11 07.04 +58 54.1 1.268 1.223 64.0
47.4 12.4 +29.9 216.6
Oct. 1 11 05.73
+59 27.4 1.265 1.239 65.1
47.1 12.4 +30.8 216.3
m1 = 11.0 + 5 log △ + 10.0 log r
(φ= +35o.5)
アポロ型特異小惑星 (16960)
1998 QS52
1998年の発見当時,Taurid Complexに属する1つの天体であるかも知れないと思われていたこの小惑星が2005年8月29日にその近日点を通過した.この小惑星の現在の軌道の形と周期は,エンケ周期彗星の軌道(q=
0.3385, e= 0.8473, ω= 186o.5, Ω= 334o.6, i= 11o.8, P= 3.30年,a=
2.21710 AU)とほとんど同じで,近日点黄経も,それぞれ,π= 161o,143oと大きく変わらない.そのため,軌道の向きもほとんど同じとなる.また,その絶対等級もエンケ彗星のそれ(H2= 14.5)とほとんど変わらないほど大きい(明るい).1998年の発見時に彗星の特徴がないか,その形状が観測されたもののその特徴は見いだせなかった(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/topics/1998qs52.htm).
OAA小惑星課では,1983年から2004年まで,8回の衝で行なわれた424個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".57(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0013.html).西暦-100年までの軌道変化を見ると,過去軌道では,その周期は,変わらないものの軌道傾斜角が-100年では45oと,発見当初の軌道より計算した軌道傾斜角から,かなり大きく変化する.このため,この小惑星とTaurid Complexとの関係を考えるのは,無理があるのかも知れない.今回の近日点通過時は,小惑星は13等級まで明るくなるものの観測できないため,位置予報は省略する.なお,観測可能となる2006年8月の衝では,小惑星は19等級まで暗くなっているだろう.
。
Mo= 356.4109
Epoch = 2005 Aug. 18.0 TT
ω = 242.1879
e = 0.859101 H = 14.1
Ω = 261.2552 (2000.0) a = 2.199063 AU G = 0.15
i = 17.6916
n゚= 0.3022370
q = 0.309846 AU
P = 3.26 年
超新星 2005dp
in NGC 5630
山形市の板垣公一氏(Koichi Itagaki, Yamagata)は,8月27日21時JST頃に,うしかい座にある系外銀河 NGC 5630 を60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16等級の超新星
2005dp を発見した.氏の測定による超新星の出現位置は,α= 14h27m36s.62, δ= +41o15'15".0で,超新星は,銀河の中心核から西に1",南に14"の位置に出現している.板垣氏は,翌々日29日に,この超新星を再度,観測して,この出現を確認した.氏は,このときの超新星の光度を,16.0等と観測している.なお,この超新星は,板垣氏が保有する2002年5月以後の捜索フレーム上には,その姿が見られなかった.氏は,2005年8月5日にも,同銀河をサーベイしていた.しかし,このとき,極限等級が19等級のフレーム上に,超新星は,まだ,出現していなかったとのこと.板垣氏は,これで,16個目の超新星発見を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報82, IAUC 8591).
2005 August 31
Ⓒ Copyright 2005 OAA
Syuichi Nakano
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