2005年11月14日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2493
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ベルナーディ新周期彗星 P/2005
V1 (Bernardi)
ハワイ大学の大学のトーレン(D.
Tholen, University of Hawaii)から,ベルナーディ(Fabrizio
Bernardi)が,マウナケアの3.6-mカナダ・フランス・ハワイ望遠鏡で2005年11月1日にしし座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に20等級の彗星を発見したことが報告された.発見当時,彗星には,非常に淡い12"の尾が西北西に見られた.11月4日に2.24-m反射で撮影されたフレーム上にもこの尾が認められた(IAUC
8627).
2005 UT
α (2000) δ
Mag.
Nov. 1.62042 11h 33m 44s.69 +08゚ 23' 02".0 20.5
OAA計算課では,2005年11月1日から4日までに行なわれた15個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が16年ほどの新周期彗星であったが,周期は,まだ,大きく不確かである.なお,彗星は,20等級なので位置予報は省略する.
T = 2005 Sept. 2.991 TT
ω =
4o.444
e = 0.61966
Ω = 130.296 (2000.0) a = 6.42994 AU
i = 15.575 n゚= 0.06044969
q = 2.44557 AU
P = 16.3 年
LINEAR彗星 C/2003
T4 (LINEAR)
山本速報で,たびたび,紹介してきたこの彗星が2005年9月から10月にかけて,南半球で観測された.COの昇華による非重力効果を使用して計算した軌道(YC
2485)からの10月の観測のずれは,わずかに4"であった(cf. YC 2409, YC 2432, YC 2455, YC 2459, YC
2464, YC 2485).
OAA計算課では,2003年10月13日から2005年10月16日までに行なわれた886個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".72(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1287.htm).彗星は,オールトの彗星雲の内側からやってきた彗星であった.なお,2005年12月以後の予報位置がHICQ 2006(p.
H64)にある.
Epoch = 2005 Apr. 20.0 TT
。 Y1
= +8.09, Y2 = +0.2151
T = 2005 Apr. 3.64860 TT ω = 181.64853
(1/a)org.= +0.000268
e = 1.0001215
Ω = 93.90365 (2000.0) (1/a)fut.= -0.000796
q = 0.8498746 AU i
= 86.76145 (
Q = 8 )
LINEAR彗星 C/2003
WT42
(LINEAR)
眼視全光度観測が10月24日に13.5等(吉田誠一;群馬),30日に13.6等(バランスキー;ウクライナ)と報告されている.彗星は,来年春までこの明るさで観測できるだろう.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)は,彗星のCCD全光度を10月23日に14.7等,27日に14.6等,11月2日に14.7等と報告している.近日点距離の大きな彗星であるが,今年末・来年初には,13等級まで明るくなるだろう(cf.
YC 2416).
OAA計算課では,2003年10月30日から2005年9月17日までに行なわれた638個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".47(HICQ
2006). 2005年12月以後の位置予報がHICQ 2006(p.
H106)にある.
Epoch = 2006 Apr. 15.0 TT
。
T = 2006 Apr. 10.76905 TT ω =
92.46726
(1/a)org.= +0.000041
e = 1.0025358
Ω = 48.45386 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000196
q = 5.1909269 AU i
= 31.41059
( Q = 8 )
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2493
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冥王星の新しい衛星 S/2005
P 1 & S/2005 P 2
ジョーンズ・ホプキンス大学やサウスウェストリサーチ研究所らの観測グループから2005年5月15日と18日にハッブル宇宙望遠鏡で冥王星を撮影したフレーム上に2個の新しい衛星を発見したことが報告された.彼らによると,ハッブル望遠鏡で撮影された5月15日のイメージには,衛星S/2005
P 1は,冥王星の中心から離角が1".85,位置角で264o.2,衛星S/2005 P 2は,離角が2".09,位置角305o.8の位置にあり,5月18日には,それぞれ,2".36/305o.8と2".22/355o.5の位置に移動した.その明るさは,衛星1が22.96等,衛星2が23.41等であった.これらの衛星は,おおまかにカロンと同じ軌道面を円軌道で公転しているように見えるという.その長半径は,衛星1が6万4700-Km(周期が38.2日),衛星2が4万9400-Km(周期が25.5日)くらいとのこと.2002年6月14日にハッブル望遠鏡で撮影された画像を調べた結果,これらの軌道から予報された位置に2つの衛星が写っており,軌道は,概略,正しいものと思われる.なお,この軌道に沿って冥王星のまわり,100"の範囲を調べた結果,27.1等より明るい他の衛星は,見つからなかったという.詳しい情報がhttp://www.boulder.swri.edu/plutonewsにある(IAUC
8625).
アポロ型特異小惑星 2005
UD & Daytime Sextantids
東京流星ネットワークの大塚勝仁氏(K.
Ohtsuka, Tokyo)らは,カテリナ・スカイサーベイで 68-cm シュミットを使用して行なわれているNEOサーベイで,2005年10月22日に発見された17等級の小惑星2005 UDが昼間に活動するろくぶんぎ座流星群の母天体の1つの候補である可能性のあることを指摘している.さらに,彼らによると,この天体は,(3200)フェトーンを含むふたご座流星群を構成する1つであるかも知れないという.また,この小惑星2005
UDの現在の軌道から4000年以上経過した未来軌道は,(3200)の現在の軌道に似ているという.台湾の天文台でこの小惑星の観測を続けている木下大輔氏(D.
Kinoshita)の1.0-m反射を使用した観測では,この天体の形状には,彗星の特徴は見られないとのこと(CBET 283).
OAA小惑星課では,2005年10月22日から11月5日までに行なわれた273個の観測から次の軌道を決定した.加重平均残差は0".73.
。
Mo= 353.3334
Epoch = 2005 Aug. 18.0 TT
ω = 207.4639
e = 0.871996
H = 17.5
Ω =
19.8506 (2000.0) a = 1.273583 AU G = 0.15
i = 28.7237
n゚= 0.6857455
q = 0.163024 AU
P = 1.44 年
この小惑星の過去・未来軌道を計算するには,軌道の精度が低いが2005 UDの未来軌道で,昇交点黄経が現在の(3200)と一致するものを探すと,下記の軌道となり,彼らのいうとおり,約4500年ほどあとの軌道が(3200)の軌道にほぼ一致する.なお,(3200)の近日点距離が小さいために,その残差には,相対論の影響によると思われる若干の系統だったずれが見られることが指摘されている.
Object T/TT q e P π ω Ω i Epoch
2005 UD 6590.2
0.143864 0.886316 1.424 224.7
319.2 265.4 21.3 6590 03 14
(3200) 2005.2
0.139819 0.890027 1.434 227.4
322.0 265.4 22.2 2005 08 18
なお,西暦-3000年と+3000年頃のこの小惑星と(3200)の軌道は,次のとおりとなる.πは近日点黄経(ω+Ω).
Object T/TT q e P π ω Ω i Epoch
2005 UD 2950.7
0.147584 0.883964 1.434 227.18
217.57 9.61 23.06 2950 08 24
2005 UD 2005.7
0.163024 0.871996 1.437 227.31
207.46 19.85 28.72 2005 08 18
2005 UD -2799.3
0.249860 0.803766 1.437 221.53
184.32 37.21 44.04 -2799 04 28
(3200) 2950.9 0.154563
0.878404 1.433 227.40 332.65 254.75
27.84 2950 11 12
(3200) -2799.1
0.156245 0.876768 1.428 229.58
205.88 23.70 29.57 -2799 02 07
上記の軌道からの位置予報は,次のとおりで,小惑星は,あとしばらく,観測できる.
2005/ α (2000)
δ △ r 日々運動 Elong.
Phase V
0h
TT h m 。 , AU AU , PA 。
。 。 等
Nov.
6 23 00.88 -04 17.0 0.629 1.422
20.2/ 29 121.1 36.6 18.7
16 23 07.79
-01 35.3 0.842 1.535 17.3/ 43
113.7 36.2 19.5
26 23 15.94
+00 24.5 1.059 1.637 17.0/ 52
106.2 35.4 20.1
Dec.
6 23 25.10 +02 06.0 1.278 1.731
17.5/ 57
98.9 34.2 20.6
16 23 35.07
+03 39.1
1.497 1.816 18.1/ 60 91.7
32.8 21.1
26 23 45.69
+05 08.3 1.714 1.893 18.7/ 62
84.6 31.1 21.4
2005
November 14
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