2006年1月17日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2501
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ケンタウル族小惑星 (60558)
2000 EC98
2000年3月3日にキットピ−クで行なわれているスペースウォッチサーベイで,しし座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に21等級で発見されたケンタウル族に属する周期が約35年の小惑星2000
EC98は,過去に1979年と1985年にサイディング・スプリングで撮影されたプレート上にその姿が見つかった.さらに,その後の2004年4月11日までの7回の衝の観測から番号登録され,登録番号(60558)が与えられた.
2000 UT
α (2000) δ
Mag.
Mar. 3.41164 11h 10m 57s.58 +04゚ 40' 25".0 21.0
2005年12月30日にパロマーの 5-m反射でこの小惑星を観測したJPLのチョイとワイスマン(Y.-J.
Choi & P. R. Weissman)は,この小惑星には彗星状のコマがあることを認めた.このコマは,600秒露光で撮影されたR-バンドのフレーム上では,中心核から約20"に広がり,その全光度は17.5等であったという.この小惑星が彗星状であることは,2006年1月1日と2日の観測でも確認されている(IAUC
8656; http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0042.html).
上尾の門田健一氏(Ken-ichi
Kadota, Ageo)は,2006年1月7日にこの小惑星(以後,彗星と言う)を観測した際,その光度が,さらに急激に増光している様子を捕らえた.門田氏は,その
CCD全光度を1月7日に14.8等,8日に14.9等と報告している.氏の観測では,彗星は,この一週間にさらに3等級ほど増光したことになる.氏は,彗星の形状は,約1'の大きなコマがあって尾は見られないこと.さらに,背景に恒星などがないことを確認したという.氏によると,1月8日は,集光が弱くなりコマが少し広がってきたとのことを報告している.そのため,彗星は,増光のあと,減光を始めたのかも知れない.この場合,1月上旬に増光のピークがあったことになる.なお,この彗星の発見光度は,核光度ではあるが21等級であった.しかし,発見から2004年までの光度に比べると,彗星は,実に7等級も,増光したことになる.
この彗星は,美星スペースセンターの浅見敦夫氏(A.
Asami, Bisei)によっても,1月9日早朝05時JSTに1.0-m望遠鏡で下のとおり捕らえられた.氏によると,あいにく,雪雲が漂う透明度の悪い空での観測のため,彗星が淡くしか写らず,測定光度が暗くなったようだとのこと.彗星は,1月10日朝JSTに山形の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)によっても下のとおり観測された(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0043.html).なお,各地のCCD全光度は,1月14日まで14.5等であることが報告されている.
2006/
UT α
(2000) δ Mag. Observer
h m s o ,
"
Jan. 8.83773
13 18 22.99 -06
27 04.0 16.1 Asami
" 8.83946 13 18 23.03 -06 27 04.9 16.2 "
" 8.84258 13 18 23.08 -06 27 04.3 16.1 "
" 9.78460 13 18 27.63 -06 27 20.0 15.8 Itagaki
" 9.83798 13 18 27.96 -06 27 20.6
"
OAA小惑星課では,1979年から2006年1月14日までに行なわれた115個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".66(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1296.htm).なお,計算の際,同定されていない過去の観測群から次の観測(s387ac)を見つけ,軌道改良に追加した.この彗星の前回の近日点通過は,1980年3月6日であった.彗星は,この1世紀間,木星に7
AU以内に接近していないが,1914年2月には土星に1.27 AUまで接近している.なお,この彗星には,ケンタウル族彗星の規定に沿って登録番号174Pが与えられるだろう.
2001/ UT α
(2000) δ Mag. Code
h m s o ,
"
Apr. 16.133110 11 20
46.261 +04 04 41.17 21.50 645
" 16.136582 11 20 46.233 +04 04 41.63 22.45 645
- continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2501
|
T = 2015 Apr. 22.45521 TT Epoch = 2015 Apr. 8.0 TT
ω = 162o.93315 e = 0.4554614
Ω = 173.33474 (2000.0) a = 10.682506 AU
i = 4.34434
n゚= 0.028228924
q = 5.8170375 AU
P = 34.91 年
上の軌道からの予報位置は次のとおり.なお,軌道の元期が2015年であるため,摂動を考慮しないで計算した予報位置とは,一致しないことに注意のこと.
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Jan.
5 13 18.04 -06 25.8 13.125
13.059
1.2/102
84.0 4.3 15.0
15 13 18.79 -06 28.2 12.936
13.041 0.4/
81 94.0 4.3 14.9
25 13 19.06
-06 27.6 12.749 13.024 0.5/317 104.1 4.2
14.9
Feb.
4 13 18.84 -06 24.0 12.569
13.006
1.2/301
114.3 4.0 14.9
14 13 18.13
-06 17.5 12.402 12.989 2.0/298 124.6 3.6
14.8
24 13 16.96
-06 08.3 12.252 12.971 2.6/296 135.0 3.1
14.8
Mar.
6 13 15.38 -05 56.9 12.123
12.953
3.1/295
145.5 2.5 14.8
16 13 13.47
-05 43.6 12.020 12.935 3.5/294 156.0 1.8
14.7
26 13 11.32
-05 29.0 11.946 12.917 3.8/294 166.4 1.0
14.7
Apr.
5 13 09.01 -05 13.7 11.901
12.900
3.8/293
176.5 0.3 14.7
15 13 06.65
-04 58.4 11.887 12.882 3.7/293 172.2 0.6
14.7
25 13 04.36
-04 43.8 11.903 12.863 3.4/293 162.0 1.4
14.7
May
5 13 02.24 -04 30.4 11.948
12.845
3.0/292
151.7 2.1 14.7
15 13 00.37
-04 18.9 12.020 12.827 2.5/292
141.6 2.8 14.7
25 12 58.84
-04 09.7 12.115 12.809 1.8/291 131.5 3.4
14.7
June
4 12 57.70 -04 03.2 12.229
12.791
1.1/289
121.7 3.9 14.7
14 12 57.01
-03 59.5 12.358 12.772 0.4/281 111.9 4.2
14.8
24 12 56.77
-03 58.8 12.498 12.754 0.4/123 102.3 4.5
14.8
July
4 12 57.00 -04 01.2 12.644
12.735
1.2/116
92.9 4.6 14.8
14 12 57.71
-04 06.4 12.791 12.717 1.9/115 83.5 4.6
14.8
24 12 58.86
-04 14.3 12.935 12.698 2.6/114 74.3 4.4
14.8
Aug.
3 13 00.44 -04 24.9 13.072
12.679
3.2/114
65.2 4.2 14.9
m1 = 1.0 + 5 log △ + 7.5
log r
しぶんぎ座流星群 Quadrantids
in 2006
日本流星研究会の上田昌良氏(Masayoshi
Ueda, Habikino)は,福井工業高等専門学校電波研究会で送信のビーコン電波(53.750 MHz)を利用して,この流星群の電波観測を行なった.氏の観測によると,1時間あたりの流星エコー数がもっとも多かったのは、2006年1月4日06時台JSTでHR=
253(太陽黄経λ= 283o.30)であった.太陽黄経としぶんぎ座流星群の輻射点高度が似ていた2002年のエコー数と比較すると,出現数は、2002年1月4日06時台(JST)でHR=
317(λ= 283o.32),また,他の年の出現数は,ピーク時で,2003年がHR=
257,2004年がHR= 284,2005年がHR= 223であった.このことから,氏は,2006年しぶんぎ座流星の出現は、例年並みよりやや少なめであったと報告している.なお,上田氏によると,この出現数は,同群の流星と散在流星などを合わせた数で,散在流星分のHR=
約80個が含まれているとのこと.今年のこの群の極大日は,悪天候だった所が多かった.神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,2006年1月1日朝と3/4日にこの流星群の観測を和歌山県粉河町と兵庫県東条町で試みたが,天候が悪く,数個の同群流星を観測しただけで終ってしまったという(cf.
YC 2392, YC 2416).
LINEAR彗星 C/2005
G1 (LINEAR)
上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)は,昨年9月以来となるこの彗星の再観測に成功した.氏のCCD全光度は,1月2日に17.7等,2日に17.6等であった.なお,山本速報2498(HICQ 2006 (p.103))にある軌道からずれはなかった(cf.
YC 2466).
OAA計算課では,2005年3月22日から2006年1月7日までに行なわれた207個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".56.
Epoch = 2006 Mar. 6.0 TT 。
T = 2006 Feb. 27.37863 TT ω = 113.82419
(1/a)org.= +0.000010
e = 0.9997779
Ω = 299.58654 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000041
q = 4.9606844 AU i =
108.41444
( Q = 7 )
2006 January 17
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