2006年3月2日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2506
発行:〒656-0011兵庫県洲本市炬口1-3-19 東亜天文学会速報部 郵便振替口座:00980-8-189107 加入者名:東亜天文学会速報部 購読料1部130円 |
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シュワスマン・ワハマン第3周期彗星 73P/Schwassmann-Wachmann
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クリステンセン(E.
Christensen)は,2006年2月24日にレモン山サーベイの1.5-m反射望遠鏡で,主核Cから西の方向,位置角が297o.2,離角が1o14'42"の位置に17.2等の別の核を観測した.氏によると,この天体には西の方向に約20"の扇形に広がった尾が見られたとのこと.この核は,このとき,主核Cから刄ソ= -3984",刄ツ= +2041"の位置,C核からのTが +1.16日を移動していた.なお,B核はTが +0.99日の位置を移動している.また,この核は,OAA/CSのEMESで予報したE核の予報軌道(2006年2月7日発行)から,およそ刄ソ= +2030",刄ツ= -960"の位置,近日点通過時刻の補正量にしてT= -0.60日の位置にあることになる.この核は,これまでに観測された核とは,別のものとしてG核と名づけられた.上尾の門田健一氏(Ken-ichi
Kadota, Ageo)は,氏の2月13日の捜索フレームからCCD全光度が18.1等のこの核のイメージを見つけた.なお,氏からの報告によると,2月9日の極限等級が19等級のフレーム上には,この核の姿は見られないとのこと.
OAA計算課では,それぞれの核の軌道を次のように計算した.主核C核の軌道は,1995年10月から2006年2月25日までに行なわれた555個のC核の観測から計算された.副核B核の軌道は,1995年12月23日から1996年12月14日までに行なわれた2回帰前のB核,2000年11月19日から2001年9月14日までに行なわれた1回帰前のB核,そして,2006年1月26日から2月25日までの今回のB核の観測,合計189個の観測からから計算された.副核G核の軌道は,この核が1995年から1996年に観測されたB核から分離し,2000年に観測されたE核であるとして,今回出現したG核の2006年2月13日から2月25日までの観測,合計87個の観測からから計算された.軌道計算の結果として,G核は,以前のE核であるものと考えられるが,今後は,この核をG核と呼ぶことにする.それぞれの軌道の平均残差は,0".77,0".81,0".97である(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs
/nk/nk1299.htm).なお,星の広場HAL News No.222によると,高松の中村一雄氏(K.
Nakamura, Takamatsu)は,2月23日のC核の眼視全光度を12.7等と報告している.門田氏による2月13日のG核以外のCCD全光度は,C核が13.7等,B核が15.9等であった(cf.
YC 2492, YC 2502).
73P
- C
73P - B
73P - G (E)
Epoch = 2006 May 25.0 TT
T = 2006 June 6.95535 2006 June 7.92482 2006 June 8.10967 TT
ω = 198o.80413 198o.80000 198o.79994
Ω =
69.89583
69.89227
69.89238 (2000.0)
i = 11.39579
11.39727
11.39775
q = 0.9391385
0.9391059
0.9391713 AU
e = 0.6931938
0.6932888
0.6931649
a = 3.0610150
3.0618570
3.0608343 AU
n゚= 0.18403731
0.18396140
0.18405361
P = 5.36
5.36
5.36 年
A1 = +1.27
+1.45
+2.79
A2 = -0.0493
+0.1968
-0.2283
ところで,Nakano
Noteへのアクセス数は1日におよそ1000件(実数)あるが,2月27日06時37分にウェッブ・ページに新しい73P(nk1298)と101P(nk1299)を追加したあと,2日間で73Pには127件のアクセスがあったのに対し,101Pにはわずか14件しかなかった.世間での73Pについての関心の大きさがうかがわれる.
へびつかい座新星 2006 V2575
Ophiuchi = Nova Oph 2006
ワルサワ大学のポイマンスキ(G.
Pojmanski, Warsaw)は,ラスカンパナスで行なわれているASASサーベイで200-mmレンズを使用してへびつかい座を2006年2月9日に撮影した捜索フレーム上に12等級の新星を発見した.出現位置は,α= 17h33m13s,δ= -24o21'.1(2000).氏によると,この新星は2月12日と13日には,11等級まで明るくなっていたという.なお,美星天文台と西はりま天文台等でのスペクトル観測によると,この新星は極大近くにあるとのこと(IAUC
8671).
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YAMAMOTO
CIRCULAR
No.2506
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LINEAR彗星 C/2004
B1 (LINEAR)
山本速報2439で紹介したとおり,この彗星が,この春,10等級に明るくなることが期待される.2005年10月の眼視全光度観測が,豪州のサージェント(D. A. J. Seargent, Cowra)から10月21日に12.6等,22日に12.7等と報告されている.その後の眼視光度は,11月24日に12.9等という報告があるが,それ以外の報告がない.一方,精測位置は2005年12月26日まで報告されている(cf.
YC 2417, YC 2439).
OAA計算課では,2004年1月28日から最終観測まで380個の観測を使用して次の軌道を計算した.平均残差は0".63.
Epoch = 2006 Jan. 25.0 TT
。
T = 2006 Feb. 7.88622 TT ω = 327.89938
(1/a)org.= +0.000017
e = 1.0013072
Ω = 272.80150 (2000.0) (1/a)fut.= -0.000500
q = 1.6019402 AU i =
114.09650
( Q = 8 )
彗星の観測は,2006年2月には,すでに南半球で行なえたはずであるが,彗星が観測できたという報告はないもよう.まもなく,北半球でも,彗星の観測が可能となる.このため,この彗星の動向を確かめて欲しい.なお,天文ガイド2006年4月号に天文薄明開始時の地平高度図がある.
2006/ α (2000)
δ △ r Elong. Phase m1 天文薄明開始時
27h JST h
m
。 ,
AU
AU 。 。 等 h。 A 。
Mar. 1 20 32.68
-30 23.1 2.269 1.629 39.4
22.7 10.4 -4.5 304.5
6 20 32.51 -28 31.2 2.215 1.643 43.4
24.5 10.3 -1.1 305.0
11 20 31.90 -26 36.1 2.156 1.659 47.7
26.3 10.3 +2.4 305.5
16 20 30.79 -24 36.9 2.093 1.678 52.2
27.9 10.3 +6.0 306.1
21 20 29.11 -22 32.2 2.025 1.699 56.9
29.4 10.3 +9.8 306.9
26
20 26.76 -20 21.1 1.953 1.723 61.8
30.7 10.2 +13.7 307.8
31 20 23.65 -18 01.9 1.879 1.748 66.9
31.7 10.2 +17.8 308.9
Apr. 5 20 19.65
-15 33.5 1.804 1.776 72.2
32.4 10.2 +22.1 310.2
10 20 14.65 -12
54.1 1.729 1.805 77.8
32.8 10.1 +26.7 311.8
15 20 08.49 -10 02.4 1.655 1.837 83.5
32.9 10.1 +31.7 313.8
20 20 01.02 -06 57.1 1.585 1.869 89.5
32.5 10.0 +37.0 316.3
25 19 52.09 -03 37.5 1.520 1.904 95.7
31.7 10.0 +42.6 319.6
30 19 41.51 -00 03.9 1.462 1.940
102.0 30.5 10.0 +48.6
324.2
May 5 19 29.17
+03 41.8 1.413 1.977 108.3
29.0 10.0 +54.7 330.5
10 19 14.99 +07 36.1 1.376 2.015
114.4 27.2 10.0 +60.7
340.0
15 18 59.00 +11 32.9 1.353 2.054
120.0 25.2 10.0 +66.0
354.4
20 18 41.33 +15 24.5 1.345 2.095
124.8 23.4 10.1 +69.3
15.6
25 18 22.29 +19 02.1 1.354
2.136 128.4 21.8 10.1
+69.3 40.9
30 18 02.33 +22 17.0 1.379 2.178
130.5 20.7 10.2 +65.9
62.9
June 4 17 42.06
+25 03.3 1.420 2.221 130.8
20.2 10.4 +60.4 78.4
m1 = 7.0 + 5 log △ + 7.5
log r
(φ= +35o.5)
ポイマンスキ彗星 C/2006
A1 (Pojmanski)
南半球で発見されたこの彗星が2月下旬に北半球でも観測された.南半球の各地では2月上旬の眼視全光度が2月3日に6.6等4日に6.7等,5日に6.7等(アモリム;ブラジル),6.8等(ピァース;豪),7日に6.1等(マチアゾ;豪),6.4等(ピァース),8日に6.1等(シャンクリン;南大西洋上),6.3等(ピァース)と,彗星は6等級で観測されている.これらの観測は,山本速報2504にある光度予報より1等級ほど明るかった.星の広場HAL News No.222,223,224によると,彗星の眼視全光度が2月21日に6〜7等,24日に5.5等(宇都宮章吾,熊本県),5.5等(米山誠一,大垣),5.7等(中村一雄,高松),5.3等(永島和郎,生駒)と観測された.札幌の渡辺和郎氏(K.
Watanabe, Sapporo)が2月27日に300-mm f/2.8デジタルカメラで撮影した画像上には数度の尾が見られている.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,2月24日にこの彗星を観測し,そのCCD全光度を6.9等と報告している(cf. YC 2502, YC 2504).
OAA計算課では,2006年1月4日から2月28日までに行なわれた130個の観測を使用して,次の軌道を決定した.平均残差は0".57.なお,4月までの位置予報が山本速報2504にある.
Epoch = 2006 Mar. 6.0 TT
。
T = 2006 Feb. 22.1816 TT ω = 351.1878
(1/a)org.= +0.000805
e = 0.999760
Ω = 211.3429 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000807
q = 0.555397 AU i
= 92.7357
( Q = 5 )
2006
March 2
Ⓒ Copyright 2006 OAA Syuichi
Nakano
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