2006年4月26日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2512
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超新星 2006bp
IN NGC 3953
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年4月9日23時23分JSTに,おおぐま座にある系外銀河 NGC 3953 を60-cm
f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16等級の超新星2006bpを発見した.その後の40分間の追跡の結果,超新星には,移動が認められず,太陽系内天体でないことが確認された.この超新星は,板垣氏が保有する2005年3月19日に撮影した捜索フレーム上には,その姿が見られなかった.また,氏は,今年3月23日にも,同銀河をサーベイしていた.しかし,このとき,超新星は,まだ,出現していなかったという.板垣氏は,その後の追跡観測から,この超新星の光度が,9日23時43分に16.7等,10日01時03分に16.4等,02時43分に16.0等,03時48分に15.8等と急激に増光していく様子をとらえた.超新星は,発見後,4時間の間に1等級も増光し,その極大光度に向かっていることになる.なお,この超新星は,銀河核から東に62",北に93"の位置,赤経α = 11h53m55s.74, 赤緯δ = +52o21'09".4に出現している.板垣氏は,これで,17個目の超新星発見を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した.氏の数多くの超新星発見の中で,このように急激な増光途中の超新星を発見したのは,初めてのことという(OAA計算課新天体発見情報86, IAUC 8700).なお,板垣氏は,4月12日にこの超新星が14.9等まで明るくなっていることを観測している.
スペースウォッチ新周期彗星 P/2006
F4 (Spacewatch)
マクミラン(R.
S. McMillan, LPL)は,91-cmスペースウォッチ望遠鏡で,2006年3月26日にリード(M.
T. Read)と彼自身がおとめ座を撮影したCCDフレーム上に19等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星は,拡散状で西に6"の尾が見られた.ギルモア(A.
C. Gilmore, Mt. John)の1.0-m f/7.7による3月30日の観測では,彗星には約10"のコマがあって,西に拡散した尾のような痕跡が見られた(IAUC
8695).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Mar. 26.35589 14h 19m 57s.50 -06゚ 55' 40".7 19.9
OAA計算課では,2006年3月26日から4月9日までに行なわれた23個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が6年半ほどの新周期彗星であった.
T = 2006 May 3.332 TT
ω = 31o.314 e = 0.33709
Ω = 184.081 (2000.0) a = 3.52840 AU
i = 12.376
n゚= 0.148709
q = 2.33902 AU
P = 6.63 年
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Apr. 25
14 07.37 -01 55.8 1.345 2.340 12.3/318 168.9 4.8
18.8
May
5 14 02.03 -00 29.6 1.363 2.339 9.9/315 160.8 8.2
18.9
15 13 57.77
+00 35.2
1.405 2.340 6.5/316 150.9 12.1 18.9
25 13 55.27
+01 14.9 1.467 2.343 2.4/327 141.1 15.8
19.0
June
4 13 54.98 +01 29.0 1.547 2.348 2.3/100 131.8 18.8
19.2
m1 = 14.5 + 5 log △ + 10.0 log r
マックノート新周期彗星 P/2006
G1 (McNaught)
マックノート(R.
H. McNaught)は,50-cm ウプサラ・シュミットで行なわれているスカイサーベイで2006年4月5日にケンタウルス座とおおかみ座の境界近くを撮影したCCDフレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星には約10"のコマが見られた.発見時,観測条件が悪かったが,翌6日の確認観測では,西北西に約8"の淡い拡散状の尾が認められた(IAUC
8699).
- continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2512
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2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Apr. 5.69705 14h 31m 48s.10 -42゚ 58' 12".3 18.0
OAA計算課では,2006年4月5日から25日までに行なわれた54個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が10年ほどの新周期彗星であった.
T = 2006 Aug. 19.376 TT
ω = 314o.279 e = 0.45452
Ω = 299.201 (2000.0) a = 4.81837 AU
i = 18.554
n゚= 0.0931867
q = 2.62831 AU
P = 10.58 年
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Apr. 25
14 19.77 -43 22.7 1.840 2.755 8.5/284 149.6 10.7
17.7
May
5 14 12.25 -42 54.2 1.802 2.735 9.3/301 152.2 9.9
17.6
15 14 05.40
-41 59.7 1.787 2.716 9.5/318 151.1 10.4
17.6
25 14 00.24
-40 45.1 1.795 2.699 9.3/335 146.7 11.9
17.6
June
4 13 57.56 -39 18.5 1.824 2.684 9.0/356 140.3 14.0
17.6
14 13 57.71
-37 48.7 1.872 2.671 9.2/ 18 133.0 16.1
17.6
24 14 00.75
-36 22.4 1.938 2.659 10.1/ 38 125.4 18.2
17.7
July
4 14 06.51 -35 04.8 2.018 2.649
11.7/ 54
117.8 19.8 17.8
m1 = 12.0 + 5 log △ + 10.0 log r
へびつかい座新星bQ NOVA
Ophiuchi 2006 No. 2 = V2576 Ophiuchi
豪ニューサウスウェールズ州のウィリアムズ(P.
Williams, Heathcote)は2006年4月6日にへびつかい座に10.5等の新星を発見した.AAVSOのワーゲンは,クライシ(T.
Krajci, Cloudcroft)によって測定されたこの新星の出現位置,α= 17h15m33s.00,δ= -29o09'39".9と報告している.発見者によるその後の光度が4月7.15日UTに10.2等,7.57日に9.2等,9.53日に9.3等と報告されている(IAUC
8700).なお,2006年4月9日朝,07時JSTに櫻井幸夫氏(Y. Sakurai,
Mito)から同夜(4月8日UT)の独立発見の報告(発見光度9.5等)があったが,中央局には連絡しなかった.
スペースウォッチ新彗星 C/2006
GZ2
(Spacewatch)
スペースウォッチ・サーベイで2006年4月7日におとめ座を撮影したフレーム上の次の位置に発見された20等級の小惑星状天体が報告された.クレットの1.06-m反射で4月10日にこの小惑星を観測したティカ夫妻(J.
Ticha & M. Tichy)から,この天体は,拡散していることが報告された.しかし,4月中旬は,月明の影響で他に形状報告はなかった.そのため,この小惑星には,仮符号2006 GZ2が与えられた.報告された初期の追跡観測から決定された軌道は,この小惑星は,逆行軌道を動き,その周期は60年ほどであった.しかし,モンタニ(J.
Montani)が4月7日,8日,9日の発見フレームを調査した結果,天体には5"〜6"のコマがあることが認められた.さらに4月18日にキットピークの1.8-m反射で行なわれた追跡観測でも天体は拡散し,5"ほどのコマがあることが観測され,小惑星は,彗星であることが判明した(IAUC
8703).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Apr. 7.18152 12h 53m 41s.82 -00゚ 16' 27".9 20.1
OAA計算課では,2006年4月7日から19日までに行なわれた45個の観測から次の軌道を決定した.天体は,放物線上を動く,彗星であった(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0067.html).
。
T = 2006 Aug. 22.122 TT ω = 191.527
Ω = 355.321 (2000.0)
q = 3.30185 AU i =
168.682
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Apr. 25
12 09.92 +03 12.8 2.606 3.487 33.6/287 146.2 9.2
19.1
May
5 11 48.36 +04 47.5 2.712 3.459
28.1/285
131.1 12.7 19.2
15 11 30.16
+06 00.4 2.855 3.432 22.4/284 116.8 15.2
19.3
25 11 15.54
+06 52.2 3.025 3.407 17.1/281 103.5 16.8
19.4
June
4 11 04.30 +07 25.4 3.210 3.385
12.4/278
91.1 17.4 19.5
14 10 56.03
+07 43.3 3.398 3.366 8.6/274 79.6 17.3
19.6
m1 = 13.0 + 5 log △ + 7.5 log r
2006 April 26
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Syuichi Nakano
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