2006年8月31日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2523
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超新星 2006dy
IN NGC 5587
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年7月25日22時JST頃にうしかい座にある系外銀河 NGC 5587を60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16等級の超新星2006dyを発見した.氏は,6月28日にこの銀河を捜索している.しかし,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19.5等級より明るい星は見当たらなかった.氏によると,発見後,1時間の追跡では,超新星には,移動が認められなかったという.また,この超新星は,板垣氏が保有する2002年1月19日までに同銀河を撮影した捜索フレーム上には,その姿が見られなかった.この超新星の出現は,7月26日14時JSTに撮影されたKAITサーベイの捜索フレーム上にも確認された.なお,超新星は,銀河核から東に10",北に9"の位置,赤経α= 14h22m11s.45, 赤緯δ= +13o55'14".2に出現している(OAA計算課新天体発見情報88,IAUC 8736).
サイディング・スプリング新周期彗星 P/2006
HR30
(Siding Spring)
サイディング・スプリングの50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで2006年4月20日に18等級で発見されたこの小惑星は,初期軌道の段階で,2005年7月と10月の発見前の観測が見つかった.さらに,西欧南天天文台(ESO)の1986年のプレート上にも,その姿が確認された.これら3回での衝の観測を使用した連結軌道が計算された.計算された軌道(軌道長半径a=
7.817 AU,離心率e= 0.84)が彗星型の軌道であるため,しかも,近日点通過がこれからあとの2007年1月2日頃であることから,その頃までに彗星としての活動が見られるのではないかと考えられていた.この小惑星は,最近発見される地球接近小惑星としては,H=
12.2等ときわめて大きく,その直径は 12.4-Kmほどもあるものと推測される.小惑星は,その後も各地で追跡観測され,美星スペースガードセンターでも,7月28日に50-cm反射を使用して捕捉された.また,雄踏の和久田俊一氏(S.
Wakuda, Yuto)も,複数夜の観測を報告していた.
7月下旬になって,欧州南天天文台(ESO)の観測グループ(S. C. Lowry & A.
Fitzsimmons, Queen's University)が 3.5-m NTTで7月29日に撮影したフレーム上では,この小惑星には,北北東5".5に広がったコマが認められることが報告された.さらに,パロマーの観測グループ(M.
Hicks & K. Lawrence, JPL)も,5.0-mヘール望遠鏡で8月3日に撮影したフレーム上に彗星の中央から約10"に伸びた淡いコマが認め,この小惑星は,彗星であることが判明した(IAUC
8735).しかし,ラパルマの3.6-m望遠鏡で7月26日に撮影されたCCD画像では,コマが認められなかったという(IAUC 8737: http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0084.html).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Apr. 20.78181 22h 04m 31s.90 -09゚ 04' 14".9 18.7
OAA計算課では,1986年から2006年8月31日までに行なわれた679個の観測から次の軌道を計算した.平均残差は0".31.1986年の観測は,2005年/2006年の観測のみから決定した軌道から赤経方向にわずかに刄ソ=+1".5,赤緯方向に刄ツ=-1".2のずれしかないが,1夜の観測のため,未確認の観測として扱われる.従って,この彗星の出現は,1回のみとなる.
軌道改良に使用した最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもの.門田氏のCCD全光度は,8月19日に15.1等,29日に15.2等,31日に14.9等であった.なお,彗星としての活動が顕著になれば,下の位置予報のとおり,彗星は,年末・年始に10等級まで明るくなるだろう.
T = 2007 Jan. 2.28160 TT Epoch = 2007 Jan.
20.0 TT
ω = 117o.41377 e
= 0.8431408
Ω = 309.95121 (2000.0) a = 7.8187014 AU
i = 31.88458
n゚= 0.045081892
q = 1.2264351 AU
P = 21.86 年
- continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2523
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2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU , 。 。 。 等
Sept.
2 22 00.14 +23 36.1 1.119 2.039
30.7/301
146.6 15.8 13.8
12 21 40.47 +26 03.4 1.054 1.944
29.7/295
141.3 18.9 13.5
22 21 20.55 +27 56.0 1.011 1.850
26.0/290
133.2 23.3 13.2
Oct. 2 21 02.78
+29 14.0 0.987 1.758 20.2/287 124.3 28.1
12.9
12 20 49.13 +30 06.9 0.975 1.669
13.4/289 115.4 32.7 12.7
22 20 40.72 +30 48.3 0.969 1.583 6.7/308 107.4 36.9
12.4
Nov. 1 20 38.07
+31 32.3 0.963 1.503 5.8/ 22 100.4 40.5
12.2
11 20 41.18 +32 30.7 0.953 1.429
11.9/ 51
94.7 43.7 11.9
21 20 50.08 +33 51.2 0.936 1.364
19.5/ 58
90.2 46.4 11.7
Dec. 1 21 05.08
+35 39.6 0.911 1.309 27.5/ 61 87.2 48.8
11.5
11 21 26.95 +37 57.7 0.877 1.267
36.3/ 63 85.5 50.8 11.2
21 21 57.24 +40 41.4 0.839 1.239
46.3/ 66
85.2 52.3 11.0
31 22 38.40 +43 37.3 0.800 1.227
57.2/ 71
86.3 53.1 10.9
Jan.
10 23 32.99 +46 11.7 0.767 1.231
68.0/ 78
88.5 53.0 10.8
20 00 41.32 +47 27.1 0.750 1.252
76.6/ 88
91.4 51.8 10.9
30 01 57.28 +46 25.1 0.757 1.288
80.0/ 99
94.4 49.7 11.0
Feb. 9 03 09.55
+42 56.7 0.795 1.337 77.1/109 96.7 47.1
11.3
19 04 10.39 +37 57.5 0.867 1.398
69.7/115
97.6 44.5 11.6
Mar. 1 04 59.02
+32 38.1 0.970 1.468 60.7/119 97.0 42.1
12.1
m1 = 10.5 + 5 log △ + 10.0 log r
アンドロメダ大星雲の新星 Nova
2006-08a in M31
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年8月15日22時半JSTすぎに60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDでアンドロメダ銀河を撮影した10枚以上の捜索フレーム上のα= 00h44m32s.45,δ= +41o35'42".7の位置に17.9等の新星を発見した.板垣氏によると,この新星は8月6日と13日の捜索時には,まだ,出現していなかった.その後の氏の観測によると,この新星の光度は,8月16日に17.9等,17日に17.2等,19日に17.2等,20日に17.3等であった.しかし,8月24日には,新星は19.0等に減光したとのこと(OAA計算課新天体発見情報89; http://cfa-www.harvard.edu/iau/CBAT_M31.html).
ガラッド新彗星 C/2006
O2 (Garradd)
サイディング・スプリングのガラッド(G.
J. Garradd)は,50-cmウプサラ・シュミットで2006年7月30日にケンタウルス座を撮影したフレーム上の次の位置に17等級の彗星を発見した.発見時,彗星には東南東に広がった40"の尾が見られた(IAUC
8734).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
July 30.38855 14h 44m 32s.89 -39゚ 39' 31".8 17.4
OAA計算課では,2006年7月30日から8月22日までにまでに行なわれた56個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,多少,長円ぎみの軌道を動いている.
。
T = 2006 Oct. 5.3135 TT ω =
19.9123
Ω = 283.3211 (2000.0)
q = 1.556253 AU i
= 43.0601
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU , 。 。 。 等
Sept.
2 16 00.18 -23 18.6 1.392 1.622
42.3/ 54
83.4 38.2 16.3
12 16 24.22 -19 02.1 1.448 1.589
42.4/ 56
78.4 38.4 16.3
22 16 48.58 -15 02.0 1.511 1.567
42.4/ 59
74.0 38.0 16.3
Oct. 2 17 13.18
-11 16.5 1.580 1.557 42.4/ 60 70.1 37.2
16.4
12 17 37.94 -07 43.2 1.653 1.559
42.3/ 62
66.8 36.1 16.5
22 18 02.86 -04 20.2 1.730 1.573
42.3/ 63
64.0 34.7 16.7
Nov. 1 18 27.93
-01 05.1 1.810 1.599 42.2/ 63 61.7 33.1
16.8
11 18 53.12 +02 03.8 1.893 1.636
42.1/ 64
59.8 31.5 17.0
21 19 18.42 +05 07.8 1.980 1.682
41.9/ 64
58.1 29.9 17.2
Dec. 1 19 43.81
+08 07.9 2.072 1.738 41.5/ 64 56.7 28.3
17.5
m1 = 13.5 + 5 log △ + 10.0 log r
2006
August 31
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Syuichi Nakano
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