2006年9月8日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2525
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アンドロメダ大星雲の新星 Nova
2006-09a in M31
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,9月3日21時半頃JSTに60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDでアンドロメダ銀河を撮影した捜索フレーム上のα= 00h42m33s.16,δ= +41o10'06".8の位置に急激に増光途中にある16.4等の新星を発見した.板垣氏によると,この新星は9月1日の捜索時には,まだ,20.0等以下で出現していなかった.氏は,その後の新星の光度を9月3日21時23分に16.5等,21時29分に16.4等,21時55分に16.3等,22時12分に16.2等,22時30分に16.1等,22時50分に16.0等,23時20分に16.1等,9月4日00時35分に16.2等,03時59分に16.3等,04時11分に16.4等,20時59分に17.2等,21時54分に17.3等,9月5日03時51分に17.4等,22時37分に17.8等,9月6日01時56分に17.9等,03時05分に18.0等,03時11分に18.1等と観測している.また,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,9月4日00時51分の新星の光度を16.2等と報告している.板垣氏は,2002年10月にアンドロメダ大星雲の伴星雲 M110に15等級の新星,さらに2005年6月に同大星雲に17.5等の新星,今年4月,6月と8月には18.0等の新星を発見している.板垣氏が系外銀河に発見した新星は,これで6個目となる(OAA計算課新天体発見情報90; http://cfa-www.harvard.edu/iau/CBAT_M31.html; CBET 615).
サイディング・スプリング新彗星 C/2006
R1 (Siding Spring)
マックノート(R.
H. McNaught)から,サイディング・スプリングで50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで2006年9月1日にバートン(D.
M. Burton)がつる座を撮影した捜索フレーム上に17等級の新彗星が発見されたことが報告された.発見時,彗星には10"のコマがあって少し拡散していたという.翌9月2日に撮影されたフレーム上では,彗星は,周囲の同程度の恒星より大きく,拡散していた.同じ日にバ−トンが月没後に撮影したフレーム上では,彗星は,わずかに拡散状に見られたという(IAUC
8744).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Sept. 1.49494 22h 51m 49s.46 -53゚ 09' 50".0 17.7
OAA計算課では,2006年9月1日と2日に行なわれた18個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2006 Sept. 3.245 TT ω = 251.187
Ω = 220.611 (2000.0)
q = 1.69969 AU i = 159.844
2006/ α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU , 。 。 。 等
Sept.
7 21 29.47 -56 18.8 0.894 1.700
110.1/265
126.7 28.4 18.1
12 20 23.50 -55 58.9 0.985 1.704
87.4/280
117.6 31.6 18.3
17 19 34.49 -54 01.6 1.097 1.709
68.0/292
108.7 33.8 18.5
22 19 00.68 -51 33.7 1.224 1.718
52.7/301 100.4 35.1 18.8
27 18 37.67 -49 08.4 1.359 1.728
41.0/308
92.9 35.4 19.0
Oct. 2 18 21.91
-46 57.6 1.499 1.741 32.2/314 85.9 35.0
19.3
7 18 10.99 -45 03.9 1.640 1.757
25.4/319
79.4 34.0 19.5
12 18 03.41 -43 26.3 1.781 1.774
20.3/325
73.3 32.6 19.7
17 17 58.17 -42 02.7 1.920 1.794
16.4/331
67.6 30.9 20.0
22 17 54.66 -40 51.1 2.055 1.816
13.3/337 62.1 29.0
20.2
27 17 52.42 -39 49.5 2.186 1.840
11.1/344
56.8 26.9 20.3
Nov. 1 17 51.14
-38 56.2 2.312 1.865 9.3/352 51.6 24.7
20.5
m1 = 16.0 + 5 log △ + 10.0 log r
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YAMAMOTO
CIRCULAR
No.2525
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超新星 2006et
IN NGC 232
続いて,板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,新星2006-9a発見と同じ夜,9月4日03時半頃JSTにくじら座にある系外銀河 NGC 232を60-cm
f/5.7 反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16等級の超新星 2006etを発見した.その後の氏の調査の結果,この超新星は,発見4日前の8月31日01時JSTすぎに撮影した氏の捜索フレーム上に,すでに17.0等で写っていることが報告された.板垣氏は,最近では,8月25日にも,この銀河を捜索している.しかし,その夜の捜索フレーム上の出現位置に18.5等級より明るい星は見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上には,その姿が見られなかったという.なお,この超新星は,銀河核から東に0".3,北に11".0の位置,赤経α= 00h42m45s.82, 赤緯δ= -23o33'30".4に出現している.板垣氏は,これで,21個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報90; CBET 616).
ダモクレス型小惑星 2006
OF2
豪州のブロートン(J.
Broughton, Reedy Creek)が 2006年7月17日に発見した18等級の小惑星は,(5335) Damocles型の小惑星(軌道長半径a=
12 AU,離心率e= 0.87)であることが判明した.この小惑星には,2006年6月23日の発見前の観測が見つかった.
OAA小惑星課では,2006年6月23日から8月24日までに行われた96個の観測から次の軌道を決定した.その結果,この小惑星は,ほぼ,放物線上を動いていることが判明した.小惑星の近日点通過は,2年以上後の2008年9月で,その近日点距離は,q=
2.43 AUであるため,2008年末頃に地球に1.8 AUまで接近し,V等級で12等級まで明るくなるだろう.この族は,もともと彗星型の軌道を動くために,その頃になって,彗星の活動が見られるかも知れない.なお,この小惑星の標準等級は,H=
9.5等ときわめて明るく,その直径は 41.1-Kmほどもあるものと推測される.もし,近日点頃に彗星型の光度変化を示すならば,その活動には大変興味がある.参考のために2008年の接近時の位置予報を掲げる(http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/0081.html).
Epoch = 2006 Sept. 22.0 TT
。
T = 2008 Sept. 15.9401 TT ω =
95.5839
e = 0.999583
Ω = 318.5254 (2000.0)
q = 2.433783 AU i
= 30.1429
2008/2009 α (2000)
δ △ r Daily Motion Elong. Phase V
0h TT h
m
。 ,
AU
AU , 。 。 。 等
Nov.
10 06 45.04 +61 08.0 1.849 2.508 .7/353 121.1 19.7
12.8
20 06 44.92 +61 15.4 1.809 2.537 4.1/248 127.8 17.9
12.8
30 06 39.70 +61 00.0 1.783 2.570 8.0/237 134.2 16.0
12.8
Dec.
10 06 30.71 +60 15.1 1.775 2.607
11.3/227
140.0 14.1 12.8
20 06 19.98 +58 56.7 1.787 2.648
13.8/218 144.2 12.6 12.9
30 06 09.69 +57 05.8 1.822 2.692
15.3/207
145.7 11.9 13.0
Jan. 9 06 01.63
+54 48.6 1.882 2.739 16.0/196 144.1 12.2
13.1
V = 9.5 + 5 log △ + 5.0
log r
アポロ型特異小惑星 2006
QM111
サイディング・スプリングで 50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで,2006年8月31日12時50分 UTに発見された小惑星
2006 QM111が8月31.9日 UTに地球に約17万Km(0.00111 AU)まで接近することが予報された(MPEC 2006-Q68).この小惑星は,8月31日
19.5時 UTすぎまで追跡され,そのとき,14等級まで明るくなった.OAA小惑星課では,その約7時間に行われた55個の追跡観測から次の軌道を決定した.
。
Mo= 354.6707
Epoch = 2006 Sept. 22.0 TT
ω = 256o.5844 e
= 0.729927 H = 27.6
Ω = 155.8016 (2000.0) a = 2.591378 AU G = 0.15
i = 1.4230
n゚= 0.2362697
q = 0.699862 AU
P = 4.17 年
上の軌道によると,この小惑星は,2006年8月31日21時29分UTに地球に 0.00107 AU(= 約15.4万Km)まで接近したことになる.その接近状況と地球上の経過点などは,http://www.spaceguard.
or.jp/ja/mpnews/0085.htmlを参照のこと.
2006
September 8
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Syuichi Nakano
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