2006年10月30日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2531
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特異な明るい超新星 2006jc
in UGC 4904
山形の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,今から2年前の2004年10月15日UTにやまねこ座にある系外銀河UGC 4904に18.2等の超新星を発見した.この超新星は,発見1日前の10月14日に撮られた捜索フレームにも17.9等で写っているその姿が認められた.板垣氏は,10月23日までこの超新星を18等級で観測したが,この超新星は,11月には19.5等級より暗くなり,氏の捜索フレーム上に認められなくなった.氏は,この超新星の発見と出現位置(α= 09h17m20s.82,δ= +41o54'32".6)を天文電報中央局に報告した.しかし,氏の限界等級に近い発見であったため,その発見が認められず,そのまま,放置された.氏は,2年後の2006年9月23日JSTになって,この銀河を捜索したが,その出現位置には19.5等より明るい星は見当たらなかった.
ところが,2006年10月10日深夜03時JSTに再びこの銀河を捜索した板垣氏は,その出現位置に極めて明るい13.8等の星が輝いていることを見つけた.氏は,翌日11日深夜にもこの星が13.9等で存在することを確認した.しかし,天文電報中央局では,このように小さい銀河に明るい超新星が現れるよりも,我が銀河系にある変光星が銀河に重なって見えている可能性も大きいことを考え,中々,氏の発見を公表しなかった.しかし,10月10日17時JSTの米国のパケット(T.
Puckett & R. Gorelli)らによる独立発見が報告され,ようやく,超新星状天体としてこの発見を公表した(CBET 666).結局,この超新星はミシガン・ダートマス・MIT天文台の2.4-m反射によって,スペクトル観測され,特異な超新星であることが判明した(CBET
672).その状況から「2年前に,一度,超新星爆発の準備をしたものの,途中で何かの理由で死ぬのを思いとどまった星が,気を取り直して,今,超新星爆発をして死んでいった変わった超新星」のように思われる.なお,板垣氏は,この超新星の今回の出現位置を銀河核から西に11",南に7"の位置,赤経α= 09h17m20s.78, 赤緯δ= +41o54'32".7と報告している.板垣氏は,これで,24個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報94, IAUC 8762).
レビー彗星 C/2006
T1 (Levy)
その後の眼視全光度観測は,10月17日に10.0等(レスゼルスキ;ポーランド),19日に10.1等,21日に12.0等(永島和郎;生駒),23日に10.8等,24日に10.9等と観測されている.CCD全光度は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)が10月15日に10.7等,洲本での10月21日のCCD全光度は12.5等であった.発見当時,洲本での観測では,彗星は,透き通るようなブルーであったが,10月21日には,色あせて大きく拡散した(cf.
YC 2529).
OAA計算課では,2006年10月2日から21日までに行なわれた215個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測は,洲本(著者)による.彗星は,周期が5年ほどの新周期彗星であった.編集後に届いた門田氏のCCD全光度は,10月20日に11.6等,25日に11.7等であった.
T = 2006 Oct. 7.440 TT
ω = 179o.466
e = 0.67176
Ω = 279.805 (2000.0) a = 3.01448 AU
i = 18.323
n゚= 0.188316
q = 0.98946 AU
P = 5.23 年
2006/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1 天文薄明開始時
28h
JST h m 。 , AU AU , 。 。 。 等 h。 A 。
Nov. 1 11 23.71 -03 24.9 1.450 1.052 58.2/127 46.5 43.2 10.0 +24.7 294.1
3 11 29.89 -04 35.0 1.460 1.061 57.3/127 46.6 42.8 10.1 +24.5 295.7
5 11 35.98 -05 43.8 1.469 1.072 56.4/127 46.8 42.4 10.1 +24.4 297.2
7 11 41.99 -06 51.5 1.478 1.082 55.5/127 47.1 42.1 10.2 +24.2 298.8
9 11 47.93 -07 57.9 1.488 1.094 54.5/127 47.3 41.7 10.3 +24.1 300.4
11 11 53.79
-09 03.0 1.497 1.106 53.6/127 47.6
41.4 10.3 +24.0 301.9
-
continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2531
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2006/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1 天文薄明開始時
28h
JST h m 。 , AU AU , 。 。 。 等 h。 A 。
Nov. 13 11 59.57 -10 06.8 1.507 1.118 52.7/127 47.9 41.0 10.4 +23.9 303.5
15 12 05.28 -11 09.3 1.516 1.131 51.7/127 48.2 40.7 10.4 +23.8 305.0
17 12 10.92 -12 10.5 1.525 1.144 50.8/126 48.6 40.4 10.5 +23.7 306.5
19 12 16.48 -13 10.3 1.534 1.158 49.8/126 49.0 40.1 10.6 +23.6 308.1
21 12 21.97 -14 08.9 1.543 1.172 48.9/126 49.4 39.8 10.6 +23.5 309.6
23 12 27.40 -15 06.1 1.551 1.186 48.0/126 49.9 39.5 10.7 +23.4 311.1
25 12 32.75 -16 02.0 1.560 1.201 47.0/126 50.4 39.3 10.8 +23.3 312.6
27 12 38.03 -16 56.6 1.568 1.216 46.1/126 50.9 39.0 10.8 +23.2 314.1
29 12 43.25 -17 49.9 1.576 1.231 45.2/126 51.4 38.8 10.9 +23.1 315.5
Dec.
1 12 48.39 -18 41.9 1.583 1.247 44.3/125 51.9
38.5 11.0 +23.0 317.0
m1 = 9.0 + 5 log △ + 10.0 log r (φ= +35o.5)
ジェディク周期彗星 P/1995
A1 = 2006 U2 (Jedicke)
月惑星研究所のスカッチ(J.
V. Scotti, University of Arizona)は,2007年12月に回帰予定のこの彗星をキットピークの1.8-mスペースウォッチU望遠鏡で2006年10月22日に検出し,翌23日にこれを確認した.検出時の光度は20.8等で,彗星には,コマや尾は見られなかったが,そのイメージは周辺の同程度の恒星よりは少し拡散ぎみであったという(IAUC
8764).検出位置は,予報軌道(NK 1059(= HICQ 2005))から,赤経方向に刄ソ= +412",赤緯方向に刄ツ= +28"のずれがあり,近日点通過時刻の補正値にしてT= -0.306日であった.
OAA計算課では,1995年から2006年までに行なわれた88個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".63(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1375.htm).
T = 2007 Dec. 2.94781 TT Epoch = 2007 Dec. 6.0
TT
ω = 295o.45717
e = 0.3078751
Ω = 115.85166 (2000.0) a = 5.9047999 AU
i = 19.87450
n゚= 0.06869044
q = 4.0868589 AU
P = 14.35 年
2006/2007 α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Oct. 22
23 57.60 -23 51.7 3.720 4.493 4.2/277 136.4 8.8
18.4
Nov.
1 23 54.55 -23 46.6 3.804 4.476 3.1/308 127.3
10.2 18.4
11 23 52.77
-23 27.7 3.905 4.458 3.2/351 118.1
11.3 18.4
21 23 52.39
-22 56.3 4.019 4.441 4.5/ 20 109.0
12.1 18.5
Dec.
1 23 53.46 -22 14.1 4.142 4.424 6.2/ 34 100.1
12.7 18.5
11 23 55.96
-21 22.9
4.270 4.407 7.9/ 43 91.5 12.9 18.5
21 23 59.79
-20 24.4 4.400 4.390 9.6/ 48 83.0
12.9 18.6
31 00 04.84
-19 20.1 4.526 4.374 11.1/ 52 74.9
12.5 18.6
Jan. 10
00 10.98 -18 11.3 4.648 4.359 12.4/ 55 67.0
12.0 18.6
m1 = 2.5 + 5 log △ + 20.0 log r
NEAT周期彗星 P/2001
K1 = 2006 U3 (NEAT)
オルティズら(J.
L. Ortiz & A. Mora)は,2008年5月に回帰予定のこの彗星をラパルマの2.5-mアイザック・ニュートン望遠鏡を使用して,2006年10月23日に検出し,翌24日にこれを確認したことがハイデルベルグのストス(R.
Stoss, Astronomisches Rechen-Institut)から報告された.検出光度は22等級であった.この検出は,ストスによって指摘されていた1955年のパロマーでのサーベイ・プレートに写っていた天体がこの彗星の出現であることを確認した(IAUC
8765).彗星の位置は,予報軌道(NK 821 (= HICQ 2006, MPC 43160))からのずれは,赤経方向で刄ソ= +180",赤緯方向で刄ツ= +73",近日点通過時刻への補正値にしてT= -0.370日であった.
OAA計算課では,1955年から2006年までに行なわれた81個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".69.なお,2000年出現の軌道からの1955年の観測のずれは赤経方向で刄ソ= -0o.35,赤緯方向で刄ツ= +0o.20,2000年と2008年の連結軌道からのそれらは,刄ソ= -15",刄ツ= +9"であった(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1376.htm).彗星はこれで3回の出現を記録したことになる.
T = 2008 May 26.70744 TT Epoch = 2008 May 14.0 TT
ω = 94o.91311 e = 0.3576344
Ω =
84.75340
(2000.0) a = 3.8431435 AU
i = 16.91328
n゚= 0.13082001
q = 2.4687032 AU
P = 7.53 年
2006 October 30
Ⓒ Copyright 2006 OAA
Syuichi Nakano
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