2006年11月28日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2533
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カシオペア座の明るい新変光星 Bright
Variable Star 2006 in Cas
津山の多胡昭彦氏(Akihiko
Tago, Tsuyama)は,2006年10月31日夜JSTに北天カシオペア座に7等級の明るい新変光星を発見した.多胡氏は,10月30日夜,キャノンEOS 20 Daデジタル・カメラに70-mm
f/3.2レンズを使用して行なっている新星サーベイで20時15分に撮影したフレーム上に,従来,11.8等星であった恒星が,急に10月30日夜には8.8等星と増光していることに気づいた.氏は,31日の夜,これを確認すると,恒星は,さらに7.5等星まで明るくなっていた.氏の調査によると,この星が10月25日には10.7等,27日には10.5等,そして,30日に8.8等,31日に7.5等と次第に明るくなっていたという.しかし,この星は,従来からあるGSC
3656:1328(=USNO 1425.00229853;α= 00h09m21s.81,δ= +54o39'43".78)という星表にある恒星で,変光星ではなかったとのこと.
水戸市の櫻井幸夫氏(Yukio
Sakurai, Mito)は,10月31日夜,フジFine Pix S2 Proデジタル・カメラにニッコール85-mm f/1.4レンズを使用して,19時48分に撮影した捜索フレーム上にこの新変光星を独立発見した.櫻井氏によると,その光度は8.2等星,10月14日の捜索時には,この星は,11.8等級より暗かったとのこと.この新変光星は,同夜,26時すぎに上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によって,25-cm f/5.0反射で撮影したCCDフレーム上に,その存在と増光が確認された.氏の観測によると,この変光星の光度は,10月31.740日UTに8.2等,31.745日UTに8.3等であった.氏によるその出現位置は,赤経α= 00h09m22s.04,赤緯δ= +54o39'43".8となる.この星は,AAVSO(米国変光星協会)のワーゲン(E.
Waagen)によって,変光星カタログにない新しい変光星であることが確認された.また,山形の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)も,11月1.431日UT(9.4等)の画像から最終桁で21s.98,43".9と測定した(OAA計算課新天体発見情報95, CBET 711, CBET 712, CBET 718).
アンドロメダ大星雲の新星 Nova
2006-10b in M31
精力的に新天体の捜索活動を続けている山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年10月31日23時頃JSTに60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDでアンドロメダ銀河を撮影した捜索フレーム上に,16.6等の新星を発見した.氏によると,この新星は,発見前日30日には,まだ,20等級以下であった.さらに,翌11月1日の観測では,新星は,17.5等に減光していた.板垣氏は,2002年10月にアンドロメダ大星雲の伴星雲
M110に15等級の新星,さらに2005年6月に同大星雲に17.5等の新星,今年4月には同大星雲に18.0等の新星,さらに,6月と8月には18.0等の新星,9月には急激に増光する16等級の新星,および16.6等の新星,さらに10月1日には,さんかく座の系外銀河M33に16.6等の新星を発見している.板垣氏が系外銀河に発見した新星は,これで9個目となった(OAA計算課新天体発見情報96, http://cfa-www.harvard.edu/iau/
CBAT_M31.html).
超新星 2006my
IN NGC 4651
続いて,板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年11月9日早朝JSTにかみのけ座銀河群の中にある系外銀河NGC 4651を60-cm
f/5.7 反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に15等級の超新星2006myを発見した.板垣氏は,最近では,2006年2月24日と6月28日UTにも,この銀河を捜索していた.しかし,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19等級より明るい星は見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかった.板垣氏は,発見翌日11月10日朝にこの超新星の存在を確認した.なお,この超新星は,銀河核から西に27",南に22".5の位置,赤経α= 12h43m40s.74, 赤緯δ= +16o23'14".1に出現している.板垣氏は,これで25個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報96, IAUC 8773).
2 YAMAMOTO
CIRCULAR
No.2533
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オリオン座流星群 Orionids
in 2006
日本流星研究会の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)と住江和博氏(Kazuhiro
Sumie, Kobe)は,宍粟市千種町(標高:1000-m)で,2006年10月21/22日JSTの夜に起きた突発流星群を個別に次のように観測した.観測条件は,雲量が0,極限等級は,それぞれ,6.6等と7.0等であった.出現数から推測すると,その極大は,10月21.8日UTぐらいだったものと思われる.なお,この頃,彗星の位置観測を行なっていた著者のデジタル・カメラにも確認しただけで3個の流星が写っていた.
Observer:
Katsuhiko Mameta
Kazuhiro Sumie
All
All
2006
Oct. 21 UT Meteor Sporadics Orionids
Meteor Sporadics Orionids Taurids
14:30
- 15:00
25 15
10 -
-
-
-
15:00
- 16:00
87 40
47
220
114 98 8
16:00
- 17:00 137
48 89 292 114 172 6
17:05*-
18:00 155
43 112 321 110 206 5
18:00
- 19:00 163
43 120 347 124 220 3
19:00
- 20:00 168
50 118 341 127 214 -
*住江氏の観測開始は17時03分から.
この流星群は,10月に活動するオリオン座流星群によるもので,10月20.0日UT頃から出現があったらしい.ジェニスケンス(P.
Jenniskens, SETI)によれば米国では,10月20.4日から23.3日にかけてZHRで30個〜50個ほどの出現が見られたという.また,西欧では21.1日頃にZHRで50個ほどの出現が見られた.豆田氏も,その後の出現数を10月23.8日頃にHRで20個前後,24.8日のそれを9個と報告している(CBET
698).
クリステンセン新周期彗星 P/2006
U5 (Christensen)
月惑星研究所のクリステンセン(E.
J. Christensen, LPL)は,カテリナ・スカイサーベイの68-cmシュミットで2006年10月27日にふたご座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星には,15"のコマがあり,西に広がった扇形の短い尾が見られた.カンサスのハグ(G.
Hug, Eskridge)の70-cm反射による10月28日の観測では,彗星には西に淡くて広がった尾が見られた.イタリーのソステロら(G.
Sostero & E. Guido, Remanzacco)による45-cm f/4.4反射での10月29日の観測では,拡散した20"のコマと西北に30"の広がった尾が観測された.彗星は,発見直後に多くの観測者によって捕らえられ,西に伸びた広がった尾が観測されている(IAUC
8768).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Oct. 27.39343 06h 42m 08s.03 +27゚ 25' 28".4 18.0
OAA計算課では,2006年10月27日から11月18日までに行なわれた80個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)の観測によると,彗星のCCD全光度は,10月31日に17.7等,11月17日に17.5等であった.なお,彗星は,周期が6年半ほどの新周期彗星であるが,周期は,まだ,不確かである.
T = 2007 Jan. 23.795 TT
ω = 100o.206
e = 0.33734
Ω =
4.866
(2000.0) a = 3.49704 AU
i = 3.425
n゚= 0.150714
q = 2.31734 AU
P = 6.54 年
2006/2007 α (2000) δ △ r Daily motion Elong.
Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Dec.
1 06 49.03 +28 28.3 1.453 2.344 6.8/288 147.3
13.1 17.0
11 06 44.06
+28 48.6 1.392 2.335 9.8/280 158.3 9.0
16.9
21 06 36.71
+29 04.6 1.354 2.328 11.2/275 169.1 4.6
16.8
31 06 28.15
+29 12.9 1.343 2.323 10.9/270 173.4 2.8
16.8
Jan. 10
06 19.86 +29 11.5 1.358 2.319 8.7/264 164.0 6.7
16.8
20 06 13.23
+29 01.3 1.398 2.317 5.4/252 152.9
11.1 16.9
30 06 09.34
+28 44.6 1.460 2.318 2.2/202 142.1
15.1 17.0
Feb.
9 06 08.73 +28 23.9 1.541 2.320 4.3/122 132.0
18.4 17.1
19 06 11.45
+28 01.4 1.637 2.324 8.2/107 122.6
21.0 17.2
Mar.
1 06 17.33 +27 37.6 1.745 2.329 11.8/102 113.9
22.9 17.4
m1 = 12.5 + 5 log △ + 10.0 log r
2006 November 28
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Syuichi Nakano
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