2006年12月20日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2537
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超新星 SN
2006qp in NGC 5735
精力的に新天体の捜索活動を続けている山形の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2006年11月26日05時半JSTにうしかい座にある系外銀河 NGC 5735を 60-cm f/5.7
反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に17.1等の超新星 2006qpを発見した.なお,この発見は,山本速報2534にある超新星2006ovの発見のちょうど1日後,アンドロメダ大星雲の新星2006-11aを発見した同じ夜に行なわれた.板垣氏は,最近では,2006年8月15日UTにも,この銀河を捜索していたが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に18.5等級より明るい星は,見られなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上にも,その姿がなかった.残念なことに,発見後,冬型の気圧配置となったため,山形には,晴天が訪れず,翌日以降に,その存在を確認することができなかった.また,確認を依頼した太平洋側の各地の天候も優れなかった.しかし,12月1日早朝JSTになって,西はりま天文台の60-cm反射望遠鏡で,その存在が確認され,超新星出現が認められた.そのとき,超新星の光度は17.5等に減光したという.板垣氏は12月20日早朝JSTになって,超新星が,まだ18.5等で見られることを確認している.なお,この超新星は,銀河核から西に35",南に10"の位置,赤経α= 14h42m30s.65, 赤緯δ= +28o43'25".9に出現している.板垣氏は,これで,27個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報98, IAUC 8782).
LINEAR新彗星 C/2006
VZ13
(LINEAR)
LINEARサーベイから2006年11月13日にアンドロメダ座ととかげ座の境界近くを撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告され,この天体には,仮符号2006
VZ13が与えられた.12月1日と2日にカテリナの1.54-mカイパー望遠鏡で,この小惑星を観測したハーゲンローザ(C.
W. Hergenrother, LPL)から,天体には非常に集光した光度が18.6等,視直径8"のコマが見られることが報告され,この小惑星は,彗星であることが判明した(IAUC
8781).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Nov. 13.13467 22h 58m 19s.72 +42゚ 35' 54".0 19.9
次の軌道は,2006年11月13日から12月12日までに行なわれた63個の観測から決定したもの.彗星としての活動が顕著になれば,この彗星は,今年夏頃に9等級まで明るくなるだろう.なお,本会会長の長谷川一郎氏(I.
Hasegawa, Kobe)は,この彗星からの流星群の輻射点を極大日5月28日(λ=66o.15),α= 329o.6,δ=+16o.3,VG=65.9-Km/s,Δ=0.014 AUと計算した.ただし,離心率e≒1.0のため,その出現は,あまり期待できないという(http: //www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/
0093.html).
。
T = 2007 Aug. 11.1933 TT ω = 174.0490
Ω = 66.0726 (2000.0)
q = 1.018832 AU i =
134.8144
しし座流星群 Leonids
in 2006
ジェニスキンス(P.
Jenniskens, SETI)によると,2公転前に放出されたダスト・トレイルによる出現が,スペインで2006年11月19日04時41分UT頃を中心にZHRにして,約110個の出現が見られたという.このトレイルによる出現は,19日04時50分と予報されていた(CBET
710, CBET 767).神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,同市北区八多町で11月14日夜と17日夜にこの流星群の観測を行なった.氏の観測によると,この群の活動はその極大前のためか,低調であったという.氏の観測は,11月14/15日28:00〜29:00
JST,全流星7個,しし群2個,最微光星5.0等,以下同順に,17/18日27:00〜28:00,19個,5個,5.5等,28:00〜28:50,19個,6個,5.6等(cf.
YC 2411, YC 2448, YC 2495).
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YAMAMOTO CIRCULAR No.2537
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LINEAR新彗星 C/2006
X1 (LINEAR)
LINEARサーベイから2006年12月11日にアンドロメダ座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.発見同日に40-cm反射でこの天体を観測した英国のバートホイスル(P.
Birtwhistle, Berkshire)は,天体には,5"の集光部があって,その周囲に12"のコマがあることを認めた.また,12月12日に,レモン山の1.5-m反射でこの天体を観測したギッブス(A. R. Gibbs)は,集光したコマと西に伸びた90"の細長い尾を観測し,この天体は,彗星であることが判明した(IAUC 8783).
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Dec. 11.12465 00h 10m 06s.42 +41゚ 10' 59".8 19.2
OAA計算課では2006年12月11日から15日までに行なわれた49個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2006 May 6.739 TT ω = 107.332
Ω = 255.042 (2000.0)
q = 6.26890 AU i = 42.716
ギッブス周期彗星 P/2006
W1 (Gibbs)
山本速報2535でその発見を紹介したこの彗星は,2006年12月12日までの観測が報告され,周期が12年ほどの新周期彗星であることが判明した(cf.
YC 2535).ただし,周期は,まだ大きく不確かである.OAA計算課では,2006年11月16日から12月12日までに行なわれた47個の観測から次の軌道を決定した.
T = 2006 Mar. 25.7981 TT
ω = 229o.9080 e = 0.687245
Ω = 153.8153 (2000.0) a = 5.438310 AU
i = 19.1010
n゚= 0.07771560
q = 1.700857 AU
P = 12.68 年
カテリナ彗星 C/2006
V1 (Catalina)
山本速報2534でその発見を紹介したこの彗星は,2006年12月16日までの観測が報告され,彗星は,周期が4000年ほどの長円軌道を動く彗星であることが判明した.
OAA計算課では,2006年11月11日から12月16日までに行なわれた71個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2007 Nov. 26.3805 TT ω = 253.5279
a = 270.1 AU
e = 0.990120
Ω = 335.7172 (2000.0) P = 4440 年
q = 2.668896 AU i
= 31.1331
ふたご座流星群 Geminids
in 2006
神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,神戸市北区大沢町で,12月12日,14日,15日夜にこの群の観測を行なった.3夜とも天候が悪く,充分な観測ではないが,氏は,その出現数をZHRにして12/13日に25個,14/15日に90個,15/16日に35個であったものと推測している.氏の観測は,12月12/13日,22:30〜23:00
JST,全流星7個,ふたご群4個,最微光星5.0等,以下同順に,23:20〜24:00,9個,7個,5.0等,14/15日,28:50〜29:35,15個,13個,4.5等,15/16日,23:20〜23:55,12個,10個,5.2等,24:10〜25:00,17個,13個,5.2等であった(cf.
YC 2414, YC 2450, YC 2496).SETI研究所のジェニスケンス(P.
Jenniskens, SETI)によると,母天体(3200) フェトーンの軌道から計算されたこの流星群の極大は,2006年12月14日08時48分UT頃で,出現数(ZHR)は,130個と予報されていた(CBET
773).
こぐま座流星群 Ursids
in 2006 & 8P/Tuttle
ジェニスケンス(Jenniskens,
SETI)からの報告によると,リティネンら(E.
Lyytinen & M. Nissinen, Helsinki)は,母彗星8P/タットル周期彗星から75公転前(AD 996年)に放出されたダスト・トレイルが2006年12月22日19時27分UT(=
23日04時27分JST)頃に地球に遭遇し,地球は,前後約80分の間,その中を通過するという.彼らは,その輻射点をα= 217o.56,δ= +74o.93,VG= 33.83-Km/s,予想される出現数はZHRで約35個と予報している.これは,通常の出現数の3倍くらいだという.このYCが12月22日に到着する地域では,12月23日朝の観測をお願いしたい.また,ジェニスケンスは,今年の極大は12月22日17時38分UTで,出現数はZHRにして39個ほどではないかと予測している(CBET
773).1912年から1992年に行なわれた101個の観測を使用して計算した予報軌道がNK 1103にある.平均残差は1".31(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1103.htm).彗星は,2007年末から2008年初にかけて,地球に0.25
AUまで接近し,5等級まで明るくなるだろう.
Editorial Notice: 年末に次の山本速報を発行する予定.ただし,郵便局の休みとの関係で発行は
来年になるかも知れない.
2006 December 20
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Syuichi Nakano
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