2007年2月3日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2541
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こぐま座流星群 Ursids
in 2006
SETI研究所のジェニスケンス(P.
Jenniskens)によると,2006年末にその出現が期待されたこぐま座流星群(cf. YC 2537)の出現が英国のマックビート(A.
McBeath)によって,2006年12月22日18時UTからの1時間で12個の出現,ベルギーのファンデプッテ(M.
Vandeputte)によって,同日17時10分〜21時10分の4時間で7個〜8個の出現が観測された.また,フィンランドのリティネンら(E.
Lyytinen, I. Yrjola, J. Moilanen)も,この出現を捕らえたことが報告されている.
本会流星課長の上田昌良氏(Masayoshi
Ueda, Habikino)は,同氏が行なっている自動TV観測で,12月22/23日JSTの夜にこぐま座流星群の小出現があったことを報告している.氏の広角レンズ(写野56o x 43o)での観測では,出現した流星は2等級ものが多かった.これは、最微星が6.5等の望遠レンズ(写野30o x 22o)での観測でも同様であった.当夜の同群流星の撮影数は,広角カメラで,夜半前と夜半後にそれぞれ4個,望遠レンズでは,19時台に2個,27時以後,29時37分までに8個の同群流星が撮影された.なお,上田氏によると,12月20/21日18時11分〜29時35分JSTの一晩に広角レンズでの自動TV観測で12個の流星が写り、こぐま群は1個(雲量5),23/24日18時13分〜29時50分の一晩に10個の流星が写り,その内、こぐま群は0個(同4)であった.
ジェニスケンスは,これらの観測から,その極大は2006年12月22日17時35分UT±1.5時間(= 26時35分JST)で,その出現数はZHR 15個±5個ほどであったものと推測している(CBET 788, cf. CBET 773).なお,神戸の豆田勝彦氏(K.
Mameda, Kobe)も12月22/23日の夜にこの群の観測を行なったが,晴天であった23時10分からの40分間に1個の同群流星を観測しただけであった.
超新星 SN
2007B IN NGC 7315
精力的に新天体の捜索活動を続けている山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2007年1月5日夕方18時JSTすぎにペガスス座にある系外銀河NGC 7315を60-cm
f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16.7等の超新星 2007Bを発見した.なお,この発見は,氏にとって,今年初めての発見となった.また,今年,世界で発見された超新星では第2番目の発見となる.板垣氏は,最近では,2006年12月25日
UTにも,この銀河を捜索したが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19.0等級より明るい星は,見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかった.板垣氏は,超新星の出現の確認のため,低気圧の接近で天候の悪化した山形を離れ,栃木県高根沢町にある氏の観測所に出向き,同所の30-cm反射で,1月7日夕刻にこの超新星の出現を確認した.そのとき,超新星の光度は16.4等に増光していた.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,1月6日夕方,この銀河を捕らえたが,超新星の出現位置が銀河核に近いため,氏の25-cm反射では,銀河の中心部が分離できなかった.なお,この超新星は,銀河核から西に7",南に6"の位置,赤経α= 22h35m31s.10, 赤緯δ= +34o48'06".6に出現している(OAA計算課新天体発見情報99, IAUC 8792)
超新星 SN
2007C IN NGC 4981
続いて,山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2007年1月5日に発見した超新星2007Bに続き,1月8日早朝JSTにおとめ座にある系外銀河NGC
4981を栃木県高根沢町にある30-cm f/7.8 反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に15.9等の超新星2007Cを発見した.板垣氏は,最近では,2006年12月23日UTにも,この銀河を捜索していたが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に18.5等級より明るい星は,見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかった.板垣氏は,1月9日に同所で,この超新星の出現を確認した.そのとき,超新星の光度は15.8等であった.同日,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,25-cm反射でこの超新星の出現を確認した.氏による超新星の光度は16.0等と報告された.なお,この超新星は,銀河核から東に8".3,南に21"の位置,赤経α= 13h08m49s.30, 赤緯δ= -6o47'01".0に出現している.板垣氏は,これで,29個目の超新星を発見し,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報100, IAUC 8792).
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2541
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LINEAR新彗星 C/2006
XA1
(LINEAR)
LINEARサーベイから2006年12月9日にカシオペア座とペルセウス座の境界近くを撮影したフレーム上に発見された17等級の小惑星状天体が報告され,この天体には2006
XA1の仮符号が与えられた.2007年1月8日になって,同サーベイからこの小惑星の再観測が報告された.この天体は,放物線に近い軌道を動いていたために,天体の追跡観測が依頼された.1月9日と10日に多くの観測者によって天体が追跡された結果,この小惑星には,10"〜30"近いコマと西北に約10"の尾が観測され,この天体は,彗星であることが判明した(IAUC
8790).美星スペースガードセンターでも,1月9日夜にこの天体の追跡確認が行なわれたが,天体が拡散しているという報告はなかった.
2006 UT α (2000) δ
Mag.
Dec. 9.20056 02h 39m 54s.17 +58゚ 47' 10".8 17.6
OAA計算課では,2006年12月9日から2007年1月30日までに行なわれた147個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用した最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏のCCD全光度は,1月10日と12日に15.9等,30日に15.6等であった.彗星は,周期が3950年ほどの長円軌道(a= 250 AU)を動く,長周期彗星であった.
。
T = 2007 July 21.8955 TT ω = 187.4176
e = 0.992777
Ω = 318.6680 (2000.0)
q = 1.804283 AU i
= 30.6283
2007/ α (2000)
δ △ r Daily motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Feb.
9 02 50.84 +48 09.1 2.418 2.688 17.0/121 94.9
21.4 15.2
19 03 05.05
+46 39.5 2.446 2.605 19.3/114 87.9
22.3 15.1
Mar.
1 03 21.77 +45 17.3 2.476 2.522 21.6/109 81.2
22.8 15.0
11 03 40.66
+44 00.2 2.506 2.442 23.9/106 74.8
23.1 14.9
21 04 01.45
+42 45.3 2.534 2.364 26.1/105 68.8
23.1 14.8
31 04 23.87
+41 29.3 2.560 2.289 28.1/105 63.1
22.9 14.6
Apr. 10
04 47.61 +40 08.7 2.584 2.217 30.1/105 57.7
22.5 14.5
m1 = 9.0 + 5 log △ + 10.0 log r
スペースウォッチ新周期彗星 P/2006
XG16
(Spacewatch)
アリゾナ大学のハーゲンローザ(C.
W. Hergenrother, LPL)は,スペースウォッチ・サーベイで2006年12月10日にふたご座を撮影した捜索フレームの次の位置に発見された20等級の小惑星2006
XG16を2007年1月27日と28日に1.54-m反射で観測した.なお,発見位置に記された光度は12月12日のもの.そのとき,この小惑星には,9"のコマと南東に20"の尾が認められ,この小惑星は,彗星であることが判明した(IAUC
8802).なお,小惑星には,レモン山で2006年11月15日に撮影された捜索フレーム上に発見前の観測が見つかっている.
2006 UT
α (2000) δ
Mag.
Dec. 10.41280 07h 31m 13s.50 +26゚ 37' 28".7 19.9
OAA計算課では,2006年11月15日から2007年1月28日までに行なわれた38個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".36.彗星は,周期が7年ほどの新周期彗星であった.
T = 2007 Feb. 9.9478 TT Epoch = 2007 Mar. 1.0
TT
ω = 41o.3063 e = 0.420968
Ω =
78.4540
(2000.0) a = 3.630553 AU
i = 9.0779
n゚= 0.1424771
q = 2.102206 AU
P = 6.92 年
2007/ α (2000)
δ △ r Daily motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Feb.
9 06 58.38 +32 55.2 1.238 2.102 1.3/ 45 141.5
17.0 18.2
19 06 59.10
+33 04.4 1.311 2.103 5.6/ 95 131.8
20.5 18.3
Mar.
1 07 03.57 +32 59.1 1.397 2.107 10.1/ 99 123.0
23.2 18.5
11 07 11.47
+32 41.5 1.495 2.114 14.0/101 114.9
25.2 18.6
21 07 22.33
+32 12.7 1.601 2.123 17.4/102 107.4
26.6 18.8
31 07 35.63
+31 33.5 1.714 2.136 20.1/103 100.6
27.4 19.0
Apr. 10
07 50.79 +30 44.0 1.831 2.150 22.3/104 94.2
27.7 19.1
20 08 07.36
+29 44.4 1.952 2.168 24.0/106 88.2
27.6 19.3
30 08 24.91
+28 35.0 2.075 2.187 25.4/107 82.6
27.2 19.5
m1 = 14.5 + 5 log △ + 10.0 log r
2007
February 3
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Syuichi Nakano
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