2007年3月7日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2547
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ガラッド周期彗星 186P/Garradd
(2007 B3 = 1977 O1)
山本速報2545でその発見を紹介したこの彗星は,ドイツのメイヤ−(M.
Meyer, Limburg)が,サイデング・スプリングで撮影された過去のプレート画像を調査した結果,1975年5月と6月,1996年2月の画像上にこの彗星の過去の出現を見つけた.その連結軌道から小惑星センターのウィリアムズ(G.
V. Williams, CFA)は,この彗星が1977年に出現した18等級の彗星(1977 O1)と同じものであることを見つけた.この彗星は,1977年7月18日と19日に1.2-m
U.K.シュミットでけんびきょう座を撮影したプレート上にエバースト(R.
D. Eberst, Edinburgh)によって発見されたもので,発見当時,彗星には,約3'の尾が見られている(IAUC 3247, MPEC
D71 (2007), cf. YC 2545).
OAA計算課では,1975年から2007年までに行なわれた49個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".60(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1449.htm).なお,彗星は,これで3回の出現を記録したことになる.
T = 2008 Mar. 20.50086 TT Epoch = 2008 Apr. 4.0 TT
ω = 278o.74408 e = 0.1184071
Ω = 327.85450 (2000.0) a = 4.8361036 AU
i = 28.84387
n゚= 0.092674590
q = 4.2634744 AU
P = 10.64 年
LINEAR新彗星 C/2007
D1 (LINEAR)
LINEARサーベイから2007年2月17日にろくぶんぎ座とうみへび座の境界近くを撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見された18等級の小惑星状天体が報告された.発見後1日の間にこの天体は,多くの観測者によって追跡された.その結果,天体には,拡散した15"ほどのコマと西北西に20"〜50"ほどの幅の広い尾が認められ,天体は彗星であることが判明した(IAUC
8808).
2007 UT α (2000) δ
Mag.
Feb. 17.28460 09h 45m 25s.25 -06゚ 53' 38".3 18.9
OAA計算課では,2007年2月17日から27日までに行なわれた84個の観測から次の軌道を決定した.彗星の近日点距離がq=
8.71 AUと彗星の近日点距離としては第5番目に大きい.しかし,遠方を動く彗星としては,明瞭なコマと尾が見られている.なお,CCD全光度は,2月19日に18.0等(浅見敦夫;美星),21日に17.3等(門田健一;上尾),24日に18.3等(浅見),26日に17.4等(門田)と観測されている.彗星の光度パラメータは,ICQのグリーン(D.
W. E. Green, CFA)によって,HICQ 2007用に決定されたもの.
。
T = 2006 Dec. 16.378 TT ω = 329.664
Ω = 171.863 (2000.0)
q = 8.70715 AU i
= 40.399
2007/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Mar. 11
09 40.37 -05 27.1 7.827 8.721 5.1/328 152.7 3.0
17.5
21 09 38.60
-04 44.1 7.895 8.725 4.7/337 144.5 3.8
17.5
31 09 37.37
-04 01.0 7.989 8.728 4.3/348
135.4 4.6 17.6
Apr. 10
09 36.76 -03 19.3 8.104 8.733 3.9/
1 126.2 5.3 17.6
20 09 36.81
-02 40.1 8.238 8.737 3.8/ 18 116.8 5.9
17.6
30 09 37.57
-02 04.3 8.386 8.742 3.8/ 34 107.5 6.3
17.7
May
10 09 39.02 -01 32.5 8.543 8.748 4.2/ 49 98.4 6.6
17.7
20 09 41.14
-01 05.3 8.705 8.754 4.7/ 61 89.4 6.6
17.8
30 09 43.88
-00 42.9 8.868 8.760 5.3/ 70 80.6 6.6
17.8
m1 = 6.0 + 5 log △ + 7.5 log r
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2547
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スペースウォッチ新彗星 C/2007
D2 (Spacewatch)
スペースウォッチ・サーベイから2007年2月17日におとめ座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見された20等級の天体が報告された.発見翌日に1.06-m反射でこの天体を観測したクレットのティチら(M.
Tichy & J. Ticha, Klet)から,天体は,拡散しており12"のコマと東に淡い尾が見られることが報告された.さらに2月20日に60-cm
f/4.6反射でこの天体を観測したイタリーのブッジ(L. Buzzi,
Varese)も,東に12"ほど伸びた9"のコマを認め,この天体は彗星であることが判明した(IAUC 8809).なお,スペースウォッチで1月29日に同星域を撮影したフレーム上に発見前の彗星の姿が見つかっている.
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Feb. 17.45924 12h 24m 27s.87 -00゚ 21' 57".1 20.1
OAA計算課では,2007年1月29日から2月28日までに行なわれた54個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2006 Nov. 25.6583 TT ω = 66.2573
Ω = 296.9480
(2000.0)
q = 1.261262 AU i =
178.6194
LINEAR新彗星 C/2007
D3 (LINEAR)
LINEARサーベイから2007年2月20日にうさぎ座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.ブラジルのジャッキーズら(C.
Jacques & E. Pimentel, Minas Gerais)の30-cmシュミット・カセグレンによる2月20日の追跡観測では,天体には,5"の中央集光と東に15"の扇形の尾が見られた.アリゾナのマックガハ(J.
E. McGaha, Tucson)の36-cmシュミット・カセグレンによる21日の観測でも,4"のコマ,また,レモン山の1.5-m反射によるヒル(R.
E. Hill)の観測でも,10"ほどのコマが認められ,この小惑星状天体は,彗星であることが判明した(IAUC 8810).なお,1月25日のLINEARサーベイの捜索フレーム上にこの彗星の発見前のイメージが見つかっている.
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Feb. 20.09455 05h 36m 56s.96 -19゚ 37' 15".5 19.2
OAA計算課では,2007年1月25日から2月28日までに行なわれた44個の観測から次の軌道を決定した.なお,彗星の光度パラメータは,ICQのグリーン(D.
W. E. Green, CFA)によって,HICQ 2007用に決定されたもの.
。
T = 2007 May 31.1464 TT ω = 309.5636
Ω = 148.3393
(2000.0)
q = 5.209740 AU i
= 45.9518
2007/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1
0h
TT h m 。 , AU AU , 。 。 。 等
Mar. 11
05 41.42 -16 28.4 5.094 5.245 11.5/ 31 93.3
10.9 18.4
21 05 45.52
-14 50.3 5.201 5.237 12.1/ 39 86.6
10.9 18.5
31 05 50.71
-13 16.3 5.312 5.230 12.6/ 46 79.9
10.8 18.5
Apr. 10
05 56.87 -11 47.7 5.423 5.224 13.2/
52 73.3 10.6 18.6
20 06 03.87
-10 25.5 5.532 5.219 13.7/ 57 66.8
10.2 18.6
30 06 11.60
-09 10.8 5.637 5.215 14.1/ 62 60.5 9.7
18.6
m1 = 9.5 + 5 log △ + 7.5 log r
超新星 2007af
in NGC 5584
山本速報2546に続き,板垣公一氏(Koichi Itagaki)は,2007年3月2日早朝JSTにおとめ座にある系外銀河NGC
5584を60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に15.4等の超新星 2007afを発見した.板垣氏は,2月25日と26日早朝JSTにも,この銀河を捜索していたが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に18.5等級より明るい星は,見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかったという.板垣氏は,同日夜にこの超新星の出現を確認した.そのとき,超新星の光度は15.3等であった.この超新星は,銀河核から西に40",南に22"の位置,赤経α=
14h22m21s.03, 赤緯δ= -0o23'37".6に出現している.ラス・カンパナスでのスペクトル観測では,この超新星は,その極大前のIa型の超新星出現であるという.板垣氏の超新星発見は,これで30個の大台に乗ったことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報104,CBET
863, CBET 865).
2007
March 7
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Syuichi Nakano
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