2007年9月26日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2567
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マックノート周期彗星 P/McNaught
(2007 N1 = 2000 P3)
山本速報2562でその発見を紹介したこの彗星は,2007年7月10日から8月24日までに行なわれた74個の観測から決定した軌道(周期の平均誤差が儕=±1.12日)から,著者によって,NEATサーベイで2000年8月5日(パーソナル符号KTGGUQ)と11月30日(LZWRM4),LONEOSサーベイで同年8月21日(28L108)に発見されていた17等級の天体との同定が見つけられた.この初期軌道から2000年8月5日の残差は,赤経方向に-1o.7,赤緯方向に-0o.4,近日点通過時刻の補正値にして,儺=
-3.28日であった.この天体には,彗星の新たな出現として,彗星符号2000 P3が与えられた.前回の近日点通過は,T= 2001年1月12日で,彗星は,これで2回の出現を記録したことになる.その連結軌道からドイツのメイヤー(M.
Meyer, Limburg)とオランダのボーマ(R.
J. Bouma, Groningen)によって,2000年9月3日と12月19日にハレアカラで行なわれていたNEATサーベイの観測群中にこの彗星が写っているのを見つけた.彼らによると,このとき,彗星には,約4"のコマがあって拡散状,北東に淡い短い6"ほどの尾が見られた(IAUC
8866).彗星の姿は,さらにLINEARサーベイの2000年8月26日と2002年1月21日の1夜の観測群中にも見つけられている.
OAA計算課では,2000年から2007年までに行なわれた108個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".66.山本速報2562に続く,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)のCCD全光度は,2007年8月10日に17.1等であった(cf. YC 2562).なお,同定を見つけた当時の初期の連結軌道がNK
1532(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1532.htm)にある.
T = 2007 Sept. 13.09792 TT Epoch = 2007 Sept. 17.0 TT
ω = 274o.16702 e = 0.4200724
Ω = 106.52791 (2000.0) a = 3.5313410 AU
i = 8.76114
n゚= 0.14852330
q = 2.0479219 AU
P = 6.64 年
ガラッド新彗星 C/2007
Q1 (Garradd)
ガラッド(Gordon
J. Garradd)は,サイデング・スプリングで50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで,2007年8月21日にくじら座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に19等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星は,やや拡散状であった.この彗星は,8月22日から24日にかけて,複数の観測者によって追跡された.彼らの観測によると,彗星には6"〜10"の拡散したコマがあって,そのコマは南南西の方向に20"ほど尾のように広がっていたという(IAUC
8863).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Aug. 21.65039 01h 33m 57s.81 -17゚ 49' 48".2 19.4
OAA計算課では,2007年8月21日から9月14日までに行なわれた42個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2006 Dec. 10.881 TT ω = 281.869
Ω = 5.929 (2000.0)
q = 2.97889 AU i
= 81.884
ギルモア新周期彗星 P/2007
Q2 (Gilmore)
ギルモア(Alan
C. Gilmore)から,マウント・ジョンの1.0-m反射で2007年8月22日にうお座とみずがめ座の境界近くを撮影したフレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.サーネッキら(K.
Sarneczky & L. L. Kiss)のサイデング・スプリングの1.0-m反射による8月30日の観測では,この天体には,拡散したコマがあって,北西に6"〜8"ほどの尾が認められた.ルーリンの1.02-m
f/8反射でリン(C.-S. Lin)が8月27日に撮ったフレーム上でも,天体には,約2"のコマと北に3"ほどの短い尾が見られ,この天体は彗星であることが判明した(IAUC
8865).
-
continued -
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2567
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2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Aug. 22.58265 22h 44m 16s.31 -00゚ 46' 07".9 19.1
OAA計算課では,2007年8月22日から9月20日までに行なわれた100個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏のCCD全光度は18.9等と観測された.彗星は,周期が13年ほどの新周期彗星であった.
T = 2007 Aug. 23.8838 TT
ω = 163o.1601
e = 0.671962
Ω = 172.2433 (2000.0) a = 5.608829 AU
i = 10.2496
n゚= 0.07419861
q = 1.839910 AU
P = 13.28 年
サイデング・スプリング新彗星 C/2007
Q3 (Siding Spring)
サイデング・スプリングで,50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで,2007年8月25日にエリダヌス座ととけい座の境界近くを撮影した捜索フレーム上の次の位置にバートン(D.
M. Burton)によって発見された17等級の小惑星状天体が報告された.サーネッキら(K.
Sarneczky & L. L. Kiss)がサイデング・スプリングの1.0-m反射を使用して8月30日に行った観測では,この天体には,6"のコマと西北西に12"の尾があることが認められた.また,ティーモら(N.
Teamo & J. C. Pelle)によるタヒチの35-cm反射での8月29日の観測でも,この天体のイメージは,近くにある同程度の明るさの恒星よりも大きいことが報告され,この天体は,彗星であることが判明した(IAUC
8865).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Aug. 25.76023 03h 28m 35s.22 -46゚ 39' 40".7 17.8
OAA計算課では,2007年8月25日から9月18日までに行なわれた49個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2009 Oct. 7.0813 TT ω = 2.1448
Ω = 149.4307
(2000.0)
q = 2.248843 AU i
= 65.6505
ラーソン新周期彗星 P/2007
R1 (Larson)
月惑星研究所のラーソン(S.
Larson, LPL)は,レモン山サーベイの1.5-m反射で2007年9月4日にうお座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見時,彗星には40"のコマがあって,西南に非常に拡散した尾が見られた.この彗星は,発見後の9月8日と9日に多くの観測者によって追跡された.彼らの観測によると,彗星には20"ほどのコマと西南に淡い尾が見られた(IAUC
8867).
2007 UT
α (2000) δ
Mag.
Sept. 4.37126 00h 10m 49s.76 +01゚ 49' 44".7 18.2
OAA計算課では,2007年9月4日から9月19日までに行なわれた71個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が15年ほどで木星の軌道近くを公転する新周期彗星であった.ただし,周期は,まだ,不確かである.彗星のCCD全光度は,9月15日に18.3等(門田健一;上尾),17日に18.4等(浅見敦夫;秦野)と観測されている.
T = 2007 July 4.252 TT
ω = 168o.698 e = 0.29585
Ω = 181.686 (2000.0) a = 6.10881 AU
i = 7.703
n゚= 0.0652783
q = 4.30150 AU
P = 15.1 年
超新星 SN
2007gi in NGC 4161
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2007年8月24日夕刻JSTにおおぐま座にある系外銀河NGC 4161を60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に16.7等の超新星
2007giを発見した.氏は,2月19日にも,この銀河を捜索していたが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19.0等級より明るい星は,見当たらなかったという.板垣氏は,8月20日夜に行なった捜索フレームにこの超新星が,すでに写っていることを見つけた.そのとき,超新星の光度は約17等であった.この超新星は,銀河核から東に9".5,北に1".0の位置,赤経α=
12h11m34s.60, 赤緯δ= +57o44'15".9に出現している.なお,この銀河には,昨年にも,Ib型の超新星2006dkが出現している(CBET
1042).
2007
September 26 Ⓒ Copyright 2007 OAA
Syuichi Nakano
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