2007年9月26日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2568
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ギッブス新周期彗星 P/2007
R2 (Gibbs)
ギッブス(A.
R. Gibbs)は,カテリナ・スカイサーベイの68-cmシュミットで2007年9月10日におひつじ座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見時,彗星には7"のコマと西南西に10"の細い尾があった.彗星は,9月11日から12日に複数の観測者によって追跡された.彼らの観測によると,彗星には,30"ほどの集光したコマと西南西にまっすぐに伸びた90"近い尾が見られた(IAUC
8868).
2007 UT
α
(2000) δ Mag.
Sept.10.41401 03h 06m 39s.70 +17゚ 40' 47".3 18.2
OAA計算課では,2007年9月10日から9月19日までに行なわれた79個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が6年ほどの新周期彗星であった.ただし,周期は,まだ,不確かである.彗星のCCD全光度は,9月16日に18.5等(門田),17日に18.3等(浅見)と観測されている.
T = 2007 Aug. 26.573 TT
ω = 352o.968
e = 0.57191
Ω = 8.769 (2000.0) a = 3.41986 AU
i = 1.430
n゚= 0.155844
q = 1.46400 AU
P = 6.32 年
ギッブス新周期彗星 P/2007
R3 (Gibbs)
続いて,ギッブスは,レモン山サーベイの1.5-m反射で2007年9月14日にくじら座とうお座の境界近くを撮影した捜索フレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見時,彗星には,よく集光した8"のコマと西南西に30"の淡くて細い20"〜30"の炎状の尾が見られた.翌15日の観測では,彗星には,10"ほどの集光した10"ほどのコマと西南西に細い40"の尾が見られている.彗星は,9月15日に複数の観測者によって追跡され,同程度のコマと尾が観測された(IAUC
8869).
2007 UT
α (2000) δ
Mag.
Sept.14.29338 00h 41m 55s.38 +01゚ 26' 12".0 18.9
OAA計算課では,2007年9月14日から9月20日までに行なわれた68個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が10年ほどの新周期彗星であった.ただし,周期は,まだ,不確かである.軌道改良に使用された最終観測の一群は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,彗星のCCD全光度は9月17日に18.3等(浅見敦夫;秦野),20日に18.1等(門田)と観測されている.
T = 2007 June 4.971 TT
ω = 290o.818 e = 0.55353
Ω = 34.194
(2000.0) a = 4.86080 AU
i = 3.099
n゚= 0.0919693
q = 2.17022 AU
P = 10.7 年
ガラッド新周期彗星 P/2007
R4 (Garradd)
ガラッド(G.
J. Garradd)は,サイデング・スプリングで50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているスカイ・サーベイで,2007年9月14日にろ座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見時,彗星には,西に伸びた淡い20"の尾が見られた.8月16日にマウント・ジョンの1.0-m
f/7.7でこの彗星を観測したギルモア夫妻(A. C. Gilmore & P.
M. Kilmartin)は,彗星には約5"のコマと西に伸びた25"のくさび型の尾が見られた.17日の彼らの観測では,コマの視直径約9",西に20"の尾が見られた.なお,サイデング・スプリングで2007年8月12日に行なわれていたサーベイ・フレーム上に彗星の発見前の観測が見つかった(IAUC
8870).
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continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2568
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2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Sept.14.60795 02h 15m 02s.73 -26゚ 34' 54".8 18.4
OAA計算課では,2007年8月12日から9月23日までに行なわれた25個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が14年ほどの新周期彗星であった.
T = 2007 Sept. 27.3249 TT
ω = 282o.8991 e = 0.671188
Ω = 87.4913
(2000.0) a = 5.842852 AU
i = 20.2247
n゚= 0.06978575
q = 1.921200 AU
P = 14.12 年
SOHO周期彗星 P/SOHO
(1999 R1 = 2003 R5 = 2007 R5)
山本速報2565で予報した周期が4年ほどのSOHO彗星は,周氏(Bo
Zhou)によって,SOHO LASCO C2カメラで2007年9月10日に撮影されたフレーム上の次の位置に捕らえられたことが報告された.SOHO彗星の3回の出現(1999
R1 = 2003 R5 = 2007 R5)が確認されたのは,これが初めてのこと.これで,近日点距離がq= 0.05 AUと極めて小さい周期彗星の存在が確認されたことになる.山本速報2565にある予報軌道からのずれは,赤経方向に約-168",赤緯方向に約+144",近日点通過時の補正値にして儺=
-0.016日であった(cf. YC 2452, YC 2565).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Sept.10.28755 11h 18m 09s +03゚ 52'.8 8.8
ナイト(M.
Knight, Maryland)による彗星のイメージ解析によると,3回の出現とも,彗星には明瞭なコマや尾は見られないもののその光度は,各々の近日点通過後,数時間後にその極大に達し,天体は,彗星状の光度変化を示しているという.各回帰での光度は,1999年9月5.1日と2003年9月8.4日に6等級,2007年9月11.0日に5.5等であった(IAUC 8871, IAUC
8872).
OAA計算課では,1999年から2007年にSOHO衛星で得られた81個の観測を使用して,次の連結軌道を計算した.平均残差は7".89.ただし,最近のC3カメラの観測は,正しいものから1'ほどのずれがあることが知られているが,ここでは,これを無視した.なお,彗星は,2035年と2039年と2043年の回帰時には,地球に,それぞれ0.27
AU,0.19 AU,0.30 AUまでに接近するだろう(http://
www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1537.htm).
T = 2007 Sept. 11.31922 TT Epoch = 2007 Sept. 17.0 TT
ω = 48o.55248 e = 0.9785894
Ω = 0.00552 (2000.0) a = 2.5161013 AU
i = 12.71290
n゚= 0.24695163
q = 0.0538712 AU
P = 3.99 年
趙(チャオ)新周期彗星 P/2007
S1 (Zhao)
紫金山天文台の趙海斌氏(Haibin
Zhao, PMO)は,シューイ観測所(XuYi)の1.04-m f/1.8シュミットで2007年9月17日にくじら座を撮影したCCDフレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見時,彗星は集光し,コマの視直径は約16"であった.彗星は,9月19日から20日にかけて複数の観測者によって追跡され,彗星には,約25"のコマがあって,西南西に40"近くの尾が見られることが報告されている.なお,9月8日と15日に行なわれていたLONEOSサーベイの1夜の観測群の中にこの彗星の観測が見つかっている(IAUC
8873).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Sept.17.78693 00h 47m 37s.51 -02゚ 00' 44".2 18.2
OAA計算課では,2007年9月8日から9月23日までに行なわれた39個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)による8月21日の彗星のCCD全光度は18.3等と観測されている.彗星は,周期が7年ほどの新周期彗星であった.
T = 2007 Dec. 11.196 TT
ω = 246o.384
e = 0.34453
Ω = 141.841 (2000.0) a = 3.81260 AU
i = 6.011
n゚= 0.132395
q = 2.49905 AU
P = 7.44 年
Editotial Notice: 8月上旬より父の様態が悪く,9月12日に亡くなった.そのため,この2ヶ月間,通常の業務を除き,ほとんど何もできなかった.お詫び申し上げる.なお,父が行なっていた小会社の決算を10月に,それ以後は,経理を見なければいけないので,それらに慣れるまで,もう少し時間をいただきたい.
2007
September 26
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Syuichi Nakano
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