2007年10月31日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2570
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超新星 2007kj
in NGC 7803
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2007年10月2日深夜JSTにペガスス座にある系外銀河 NGC 7803を60-cm f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に17.4等の超新星
2007kjを発見した.板垣氏は,最近では,9月20日夜JSTにも,この銀河を捜索していた.しかし,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19.0等級より明るい星は,見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の多数の捜索フレーム上,および,Digital
Sky Surveyにある過去の画像上にも,その姿が見られなかった.板垣氏は,翌10月3日夜にこの超新星の出現を確認した.そのとき,超新星の光度は17.3等であった.この超新星は,銀河核から西に6",南に10"の位置,赤経α=
00h01m19s.58, 赤緯δ= +13o06'30".6に出現している.なお,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)も,25-cm f/5.0 反射で10月3日夜にこの超新星の確認を試みた.しかし,その出現位置が銀河核に近く,分離できなかったとのこと.超新星は,10月3日にチリのラシラにある欧州南天文台の3.6-m
反射望遠鏡でスペクトル観測され,Ib/c型の超新星出現であることが確認された.板垣氏は,これで,34個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した.なお,山形大学は,板垣氏がこれまでに多数の超新星を発見し,天文学のその分野に多大なる貢献をしたこと称し,名誉博士号を贈り,その偉業を称えている(http:/
/yamagata-np.jp/newhp/kiji_2/200708/30/ news20070830_0441.php)(OAA計算課新天体発見情報112,
CBET 1092, CBET 1093).
レモン新周期彗星 P/2007
S2 (Lemmon)
レモン山サーベイの1.5-m反射で2007年9月25日にかに座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された18等級の小惑星状天体が報告された.ルーリンの41-cm反射で9月27日にこの天体を観測したイエ(Q.-z.
Ye)は,天体には,明瞭な5".5のコマと西南の方向に6"ほどの尾が見られることを観測した.10月3日にこの天体を観測したカリフォルニアのヤング(J.
W. Young, Table Mountain)からも,天体には円形の6"のコマがあることを見つけ,この天体は,彗星であることが判明した.ヤングによると,このとき,尾は見られなかったという(IAUC
8876).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Sept.25.49148 08h 21m 53s.89 +19゚ 54' 08".5 18.9
OAA計算課では,2007年9月25日から10月26日までに行なわれた95個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)は,10月6日の彗星のCCD全光度を18.3等と観測している.なお,彗星は,周期が44年ほどの短周期彗星であった.
T = 2008 Sept. 22.9331 TT
ω = 211o.2646 e = 0.552832
Ω = 296.2435 (2000.0) a = 12.386478 AU
i = 16.8808
n゚= 0.02260905
q = 5.538836 AU
P = 43.6 年
マックノート新彗星 C/2007
T1 (McNaught)
マックノート(R.
H. McNaught)は,50-cmウプサラ・シュミットを使用して行なわれているサイデング・スプリングでのスカイ・サーベイで2007年10月9日にへびつかい座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に12等級の彗星を発見した.発見当時,彗星には,少し北に広がった2'.0の集光したコマが見られた.この彗星は,発見直後から多くの観測者によって追跡された.その結果,20"〜30"の集光したコマと北から北東に伸びた40"〜75"の尾が観測された(IAUC
8877).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Oct. 9.42315 17h 18m 17s.19 -09゚ 37' 17".5 12.8
-
continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2570
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OAA計算課では,2007年10月9日から28日までに行なわれた206個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測の一群は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏のCCD全光度は10月20日に12.3等,21日に12.1等,28日に11.9等であった.
。
T = 2007 Dec. 12.5194 TT ω = 233.7256
Ω = 111.4286
(2000.0)
q = 0.968846 AU i =
117.6473
各地で観測された彗星の眼視全光度は,10月10日に11.7等(ヘール;クラウドクラフト),12日に11.3等(マチアゾ;豪),13日に10.4等(カルバハル;スペイン),14日に10.3等(ゴンザレス;スペイン)と報告されている(IAUC
8881).彗星は,今後,12月から1月にかけて9等級まで明るくなるが,下の位置予報のとおり,彗星は,南天へと動き,北半球からは11月中旬以後は観測できなくなる.なお,位置予報にある地平高度は薄暮時(太陽高度が-6o)の値.
2007/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1 薄暮終了時
18h
JST h m 。 , AU AU , 。 。 。 等 h。 A 。
Nov. 1 17 09.20 -24 01.6 1.775 1.198 33.3/184 40.0 32.2 10.5 +16.3 43.2
2 17 09.01 -24 34.9 1.782 1.189 33.1/184 39.0 31.7 10.5 +15.4 43.4
3 17 08.83 -25 07.8 1.790 1.179 32.8/184 38.0 31.2 10.5 +14.5 43.7
4 17 08.67 -25 40.6 1.797 1.170 32.6/184 37.1 30.7 10.5 +13.6 43.9
5 17 08.51 -26 13.1 1.803 1.160 32.4/183 36.1 30.3 10.4 +12.8 44.1
6 17 08.37 -26 45.4 1.810 1.151 32.1/183 35.2 29.8 10.4 +11.9 44.3
7 17 08.23 -27 17.4 1.816 1.142 31.9/183 34.3 29.2 10.4 +11.0 44.6
8 17 08.10 -27 49.4 1.822 1.134 31.8/183 33.4 28.7 10.3 +10.1 44.8
9 17 07.98 -28 21.1 1.827 1.125 31.6/183 32.5 28.2 10.3 +9.3 45.0
10 17 07.86 -28 52.6 1.832 1.116 31.4/183 31.6 27.7 10.3 +8.4 45.2
11 17 07.75 -29 24.1 1.837 1.108 31.3/182 30.7 27.2 10.3 +7.5 45.4
12 17 07.65 -29 55.3 1.842 1.100 31.2/182 29.9 26.6 10.2 +6.6 45.6
13 17 07.55 -30 26.5 1.846 1.092 31.1/182 29.0 26.1 10.2 +5.8 45.8
14 17 07.46 -30 57.5 1.850 1.084 30.9/182 28.2 25.6 10.2 +4.9 45.9
15 17 07.37 -31 28.4 1.854 1.077 30.9/182 27.4 25.0 10.2 +4.0 46.1
16 17 07.28 -31 59.3 1.857 1.070 30.8/182 26.7 24.5 10.1 +3.1 46.3
17 17 07.20 -32 30.0 1.860 1.062 30.7/182 25.9 24.0 10.1 +2.3 46.5
18 17 07.12 -33 00.7 1.862 1.056 30.6/182 25.2 23.5 10.1 +1.4 46.6
19 17 07.04 -33 31.3 1.864 1.049 30.6/182 24.5 23.0 10.1 +0.5 46.8
20 17 06.96 -34 01.9 1.866 1.042 30.6/182 23.9 22.6 10.0 -0.4 46.9
21 17 06.88 -34 32.5 1.867 1.036 30.5/182 23.3 22.1 10.0 -1.3 47.1
22 17 06.81 -35 03.0 1.868 1.030 30.5/182 22.7 21.7 10.0 -2.1 47.2
23 17 06.73
-35 33.5
1.869 1.025 30.5/182 22.2 21.3 10.0
-3.0 47.2
m1 = 8.5 + 5 log △ + 10.0 log r φ= +35o.5
コワルスキ新周期彗星 P/2007
T2 (Kowalski)
コワルスキ(R.
A. Kowalski)は,68-cmシュミットで行なわれているカテリナ・スカイサーベイで2007年10月9日にしし座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に16等級の彗星を発見した.発見当時,彗星には15"のコマが見られた.10月10日にレモン山の1.5-m反射でビショール(E.
Beshore)によって行なわれた確認観測では,彗星には,明るく少し伸びた集光した恒星状のコマと西北西に約20"の尾が見られた.同じ10日に各地で行なわれた追跡観測では,彗星には18"ほどの西北西に伸びたコマと同じ方向に15"ほどの細い尾が観測された(IAUC
8878).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Oct. 9.50984 10h 05m 54s.70 +22゚ 37' 06".5 16.9
OAA計算課では,2007年10月9日から21日までに行なわれた45個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)は,10月20日のCCD全光度を17.3等と観測している.彗星は,周期が5年半ほどの新周期彗星であった.
T = 2007 Sept. 18.985 TT
ω = 358o.486
e = 0.77431
Ω = 3.995 (2000.0) a = 3.08158 AU
i = 9.898
n゚= 0.182198
q = 0.69549 AU
P = 5.41 年
2007
October 31
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Syuichi Nakano
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