2007年12月3日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2574
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ボアッティーニ新彗星 C/2007
W1 (Boattini)
ボアッティーニ(A.
Boattini)は,1.5-m反射を使用して行なわれているレモン山サーベイで2007年11月20日におとめ座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に18等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星には,西北西に伸びた視直径が約8"のコマが見られた.彼によると11月23日のESOの3.58-m
NTT望遠鏡による観測では,西南西に約9"の非常に淡い尾が見られたという.イタリーのギドーら(E.
Guido & G. Sostero)がニュ−メキシコにある25-cm反射を遠隔操作した観測では,東南東(西南西)に伸びた約12"のコマが見られている(IAUC
8899).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Nov. 20.48331 11h 45m 54s.46 +00゚ 18' 59".7 18.1
OAA計算課では,2007年11月20日から30日までに行なわれた44個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏のCCD全光度は,11月24日に17.8等,30日に17.7等であった.彗星は,順調に成長すれば,2008年夏頃に5等級まで明るくなるだろう.参考のために,その頃の位置予報を掲げる.
。
T = 2008 June 26.418 TT ω = 305.883
Ω = 334.520
(2000.0)
q = 0.86984 AU i
= 9.827
2008/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase
m1
0h TT h
m
。 ,
AU
AU
, 。 。 。 等
Apr.
14 11 47.81 -18 43.4 0.574 1.538 37.7/258 153.6
16.9 10.2
24 11 20.57 -19 57.4 0.485 1.410 43.5/260 139.5
27.6 9.4
May 4 10 49.10
-21 12.4 0.412 1.285 48.7/260 124.1
40.5 8.7
14 10 13.41 -22 38.0 0.349 1.167 56.9/259 108.0
55.5 7.9
24 09 29.95 -24 20.5 0.293 1.060 75.6/261 91.1
72.9 7.1
June 3 08 28.73
-25 45.9 0.242 0.969 112.9/268 72.5
93.8 6.3
13 06 57.06 -24 10.6 0.206 0.904
155.7/282 52.3 117.3 5.6
23 05 11.33 -15 41.6 0.207 0.872
143.2/298
41.5 129.5 5.5
July 3 03 56.31
-04 16.7 0.250 0.878 91.1/310 50.2
117.2 5.9
13 03 16.15 +04 39.2 0.314 0.922
54.8/318
63.7 98.5 6.6
23 02 54.43 +10 53.8 0.383 0.996 36.8/322 76.1
82.0 7.4
Aug. 2 02 39.50
+15 19.0 0.446 1.092 28.8/316 87.7
68.2 8.1
12 02 25.14 +18 26.4 0.502 1.203 26.4/302 99.6
56.1 8.8
22 02 08.60 +20 29.4 0.555 1.324 27.3/287 112.0
45.1 9.4
Sept.
1 01 49.25 +21 32.3 0.611 1.450 29.2/274 125.2
34.7 10.0
m1 = 9.5 + 5 log △ + 10.0
log r
とも座新星 2007 =
V597 Puppis
ポルトガルのペレイラ(Alfredo
Jose Serra Pereira, Carnaxide)は,10-cm双眼鏡で(x14)で,ライフワークとして行なっている眼視捜索中,2007年11月14日05時半UTにとも座に7.0等の新星を発見した.この彼の発見は,2001年にいて座に新星(IAUC
7706)を発見して以来,625.85時間を費やした捜索で発見したという.彼によると,11月6日から11日かけての5夜の眼視捜索中にこの新星の姿は見られなかった.中央局からの要請によって,この新星は,米国のマックガハ(J.
E. McGaha, Tucson)とカリフォルニアのヤングら(J. Young & H.
Rhoades)によって,11月14日10時UTに捕らえられ,マックガハは,その出現位置をα= 08h16m18s.01,δ= -34o15'24".1,R光度が6.5等と観測した.ヤングは,新星のR光度を6.4等と観測している.彼は,また,DSS上に約20等級の暗い恒星があることを報告している(IAUC
8895).なお,2007年11月14日21時UT(15日朝JST)に水戸の櫻井幸夫氏(Yukio
Sakurai, Mito)よりも発見の報があった.
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2574
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しし座流星群 Leonids
in 2007
神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,同市北区八多町で11月16/17日夜と18/19日夜にこの流星群の観測を行なった.氏の11月18/19日の観測によると,この群の活動は,予想より活発で,27時JSTにHRで19個,明るい流星も出現した.氏の観測は,11月16/17日27:20〜28:00
JST,全流星13個,しし群3個,最微光星5.7等,以下同順に,16/17日28:00〜29:00,19個,6個,5.7等,11月18/19日26:00〜27:00,31個,15個,5.8等,27:00〜28:00,39個,19個,5.8等,28:00〜29:00,33個,15個,5.8等(cf.
YC 2537).なお,SETI研究所のジェニスキンスら(P.
Jenniskens et al.)によると,1932年に放出されたダスト・トレイルによる出現が2007年11月18日22時36分〜23時05分UT頃(18/19日08時JST頃)を中心にZHRにして約60個の出現が見られることが予報されていた(CBET
1115).後着のCBET 1153によると,11月18日29時JST頃,ZHR30個の出現が見られたという.なお,豆田氏の観測時にはHR2〜3個のおうし座流星群の出現が見られた.また,豆田氏は,11月22/23日と23/24日の夜に一角獣座流星群の観測を行なったが,同群の流星は出現しなかった.
ウィルド第4周期彗星 116P/Wild
4
2009年に近日点を通過する彗星であるが,この彗星は,ほぼ,その軌道の全周で観測できる.現在,彗星は19等級で観測されている.この彗星の軌道は,過去の観測を連結しずらく,HICQ
2007では,新たな連結軌道を採用しなかった.そのため,NK 1319(= HICQ 2007)の軌道からのずれは,現在,赤経方向に+124",赤緯方向に+29"(儺=
-0.245日)くらいある.
このたび,OAA計算課では,1997年から2007年11月18日までに行なわれた976個の観測から新たな連結軌道を次のとおり計算した.平均残差は0".70.なお,2004年と2006年の観測群は,この連結軌道から省かれている(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1549.htm).
T = 2009 July 18.97395 TT Epoch = 2009 July 28.0 TT
ω
= 173o.60504 e
= 0.3745970 A1
= -2.031
Ω
= 21.03223 (2000.0) a = 3.4776614 AU A2
= +0.49069
i
= 3.61281
n゚= 0.15197534
q
= 2.1749398 AU
P
= 6.49 年
LINEAR周期彗星 P/LINEAR
(2000 B3 = 2007 W2)
ブッジーとルピー(L.
Buzzi & F. Luppi)は,2008年2月に回帰予定のこの彗星を60-cm反射を使用して2007年11月17日に検出し,11月26/27日にこれを確認した.検出光度は19等級であった.検出時,彗星には,8"の集光したコマと西南西に約10"の尾が見られた(IAUC
8900).予報軌道(NK 738(= HICQ 2007))からの検出位置のずれは,赤経方向に-365",赤緯方向に+2"で,近日点通過時刻への補正値にして,儺=
+0.13日であった.
OAA計算課では,2000年から上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)による2007年11月30日の観測まで,93個の観測を使用して,次の連結軌道を計算した.平均残差は0".55(http://www.oaa.
gr.jp/~oaacs/nk/nk1551.htm).門田氏によるCCD全光度は,18.4等であった.
T = 2008 Feb. 26.19171 TT Epoch = 2008 Feb. 24.0 TT
ω = 130o.64104 e = 0.5742096
Ω = 352.06426 (2000.0) a = 4.0131323 AU
i = 11.11809
n゚= 0.12259672
q = 1.7087530 AU
P = 8.04 年
カテリナ周期彗星 P/2007
T6 = 2007 TU149
(Catalina)
山本速報2571でその発見を紹介したこの彗星は,その発見5日前,2007年10月8日と11日にLINEARサーベイで発見されていた18等級の小惑星2007
TU149と同じ天体であることが見つけられた(著者).
OAA計算課では,2007年10月8日から11月20日までに行なわれた121個の観測から次の軌道を決定した.軌道改良に使用された最終観測は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるもので,氏は,その後の彗星のCCD全光度を11月3日に17.4等,20日に17.3等と観測している.
T = 2007 Aug. 19.7107 TT
ω = 335o.8868 e
= 0.503201
Ω = 102.6360 (2000.0) a = 4.493847 AU
i = 22.1524
n゚= 0.1034610
q = 2.232538 AU
P = 9.53 年
2007
December 3
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Syuichi Nakano
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