2007年12月27日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2576
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ふたご座流星群 Geminids
in 2007
神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko
Mameta, Kobe)は,神戸市北区八多町と加東市東条町で,12月13日,14日,15日夜にこの群の観測を行なった.氏の報告によると,今年のふたご座群は,その極大前から活発に出現し,その出現数は,ZHRにして13/14日に約80個,14/15日に約150個,15/16日に約40個であったものと推測される.特に12月14/15日夜は,1時間あたり70個〜80個以上の同群流星が出現し,そのZHRでは,22時台に170(30分),23時台に130,24時台に110,25時台に120,26時台に120,27時台に120(40分),28時台に120個と,その出現は,かなり活発であった.氏によると,この夜(12月14/15日)の夜半前の活動は,ZHRで140個〜150個と推測され,夜半後より,活動は活発であったという.しかし,翌12月15/16日には,その出現が急速に減少した.氏の観測は,12月13/14日,22:00〜23:00
JST,全流星28個,ふたご群21個,最微光星5.5等,以下同順に,23:00〜24:00,36個,28個,5.5等,24:00〜24:30,21個,16個,5.5等,14/15日,22:30〜23:00,40個,34個,5.6等,23:00〜24:00,87個,71個,5.7等,24:00〜25:00,80個,64個,5.7等,25:00〜26:00,98個,79個,5.7等,26:00〜27:00,99個,80個,5.7等,27:20〜28:00,59個,47個,5.7等,28:00〜29:00,80個,62個,5.7等,15/16日,23:30〜24:00,21個,14個,5.8等,24:00〜25:00,52個,33個,5.8等,25:00〜25:30,24個,13個,5.8等,28:00〜29:00,39個,17個,5.8等であった(cf.
YC 2537).
超新星 2007ss
in NGC 4617
埼玉県比企郡吉見町の市村義美氏(Yoshimi
Ichimura, Saitama-ken)は,2007年12月21日早朝,03時41分JST頃に,りょうけん座にある系外銀河NGC 4617を28-cm
f/8.0 シュミット・カセグレン望遠鏡+CCDを使用して,40秒露光で撮影した2枚の捜索フレーム上に16等級の超新星2007ssを発見した.この超新星は,氏が2005年に撮影した捜索フレーム上には,写っていなかった.市村氏は,天候悪化のため,この超新星を追跡できず,その移動を確認できなかった(超新星の発見には,移動天体ではないことを確認することが必要).OAA計算課では,市村氏の発見画像から,その出現位置を赤経α=
12h41m06s.07, 赤緯δ= +50o23'28".7,その光度を15.2等と測光した.超新星は,その日の深夜,同21日23時半過ぎになって,山形の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)によって,その存在が確認された.氏の確認光度は15.5等であった.この超新星は,銀河核から,東に2".6,南に7".9の位置に出現している.なお,市村氏は,1987年11月22日に新彗星
C/1987 W1 (Ichimura)と2005年に超新星2005lxを発見している.また,板垣氏は,2005年,同一銀河に超新星2005abを発見している(OAA計算課新天体発見情報114,
CBET 1175).
LINEAR新彗星 C/2007
W3 (LINEAR)
LINEARサーベイで2007年11月29日にきりん座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.この天体は,12月1日〜3日にかけて,多くの観測者によって追跡され,天体には,東に伸びた6"〜8"のコマが見られ,天体は,彗星であることが判明した.カリフォルニアのヤング(J.
Young, Table Mountain)が61-cm反射で行なった12月3日の観測では,10"ほどの短い太い尾が南に見られた(IAUC
8901).
2007 UT
α
(2000) δ Mag.
Nov. 29.31590 06h 09m 41s.63 +72゚ 37' 01".9 19.6
OAA計算課では,2007年11月29日から12月20日までに行なわれた78個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)による彗星のCCD全光度は12月4日に18.4等,15日に18.3等であった.
。
T = 2008 June 2.7975 TT ω = 112.6088
Ω = 73.0702 (2000.0)
q = 1.777115 AU i
= 78.6744
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2576
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ヒル周期彗星 195P/Hill
(1993 D1 = 2006 W4)
上尾の門田健一氏(Ken-ichi
Kadota, Ageo)は,2007年1月20日以来,途絶えていたこの彗星の観測に2007年12月1日と3日に成功した.氏の彗星のCCD全光度は18.2等であった.彗星の位置には,1月20日までの観測から計算された軌道(HICQ
2007)から赤経方向に-117",赤緯方向に+60"のずれがあった.氏の両夜の観測は,LINEARサーベイから報告された9月15日の捜索フレームに捕らえられていた天体がこの彗星の観測であることを確認し,彗星の新たな改良軌道が小惑星センターによって計算された(MPEC
X14 (2007)).フォグリアら(S. Foglia et al.)は,この改良軌道から1993年2月と1994年4月に1.2-m
U. K. シュミットに撮影されていた1回帰前の彗星の発見前のイメージを見つけた(IAUC 8902).新しい軌道からの彗星の位置のずれは,赤経方向に-0o.12,赤緯方向に+0o.04で,近日点通過時の補正値にして,儺=
+0.93日であった.この彗星には,新たな彗星の出現として,彗星符号1993 D1が与えられた(cf. YC 2535).
OAA計算課では,1993年から2007年までに行なわれた100個の観測を使用して,次の連結軌道を計算した.平均残差は0".61(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1552.htm).
T = 2009 Jan. 21.09138 TT Epoch = 2009 Jan. 9.0 TT
ω = 249o.61839 e = 0.3148656
Ω = 243.24960 (2000.0) a = 6.4784131 AU
i = 36.36179
n゚= 0.05977246
q = 4.4385834 AU
P = 16.49 年
アンドロメダ大星雲の新星 Novae
in M31
福岡県久留米市の西山浩一氏(K.
Nishiyama, Kurume)と佐賀県みやき町の椛島冨士夫氏(F. Kabashima, Miyaki)は,アンドロメダ大星雲の中に2007年12月5日に18.3等の新星(2007-12a),12月9日に16.1等の新星(2007-12b),さらに12月17日に16.8等の新星(2007-12d)を発見した.また,山形市の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)は,同大星雲に12月14日に16.8等の新星(2007-12c)を発見した(cf. YC 2573; http://cfa-www.harvard.edu/iau/CBAT_
M31.html).
こぎつね座新星 2007
No.2 = V459 Vulpeculae
札幌の金田宏氏(Hiroshi
Kaneda, Sapporo)は,2007年12月25日夕刻,17時30分頃にNikon D40 Digital Camera+105-mm
f/2.5レンズで撮影した3枚の捜索フレーム上に8.7等の新星を発見した.発見3分後に撮影した捜索フレーム上にも,その姿が見つかった.この新星は,氏が10月以後に捜索した9夜の捜索フレーム上,さらに12月10日に撮影した極限等級が10等級のフレーム上には,出現していなかった.津山の多胡昭彦氏(Akihiko
Tago, Tsuyama)は,翌12月26日18時06分頃にCanon 20D Digital Camera+105-mm f/3.2レンズで撮影した2枚の捜索フレーム上にこの新星を独立発見した.氏の光度は,8.3等星であった.OAA計算課では,多胡氏の画像上の新星の位置と光度を測光した.新星は,そのとき,7.8等であった.同日,金田氏は,この新星の存在を確認し,光度が7.7等であることを報告している.山形の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)も,同夜にこの新星を確認し,その出現位置を赤経α= 19h48m08s.84,赤緯δ= +21o15'27".6と測定している.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)と金田氏は,USNO星表には,この新星の出現位置とほぼ同じ位置に20等級の恒星があることを指摘している.新星は,12月26日に日本国内でスペクトル確認された(OAA計算課新天体発見情報115,
CBET 1181).
LINEAR新彗星 C/2007
Y1 (LINEAR)
LINEARサーベイから2007年12月16日にうみへび座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された18等級の小惑星状天体が報告された.12月17日にサーネッキー(K.
Sarneczky, Konkoly)が60-cmシュミットを使用してこの天体を観測したところ,天体には10"のコマと南西に15"の尾が認められた.また,ギドーら(E.
Guido et al., Italy)がニューメキシコにある25-cm反射を遠隔操作して12月17日に観測したところ,天体には,8"のコマと南西に少し伸びた8"のコマが見られた.さらに,彼らの18日の観測では,天体の視直径は約10"であった.リー(J.
G. Ries, McDonald)が76-cm反射を使用して12月18日に行なった観測でも,天体には,南西に伸びた拡散状であることが報告され,この天体は彗星であることが判明した(IAUC
8904).
2007 UT
α
(2000) δ
Mag.
Dec. 16.37807 10h 04m 42s.65 -15゚ 05' 40".6 18.8
OAA計算課では,2007年12月16日から12月19日までに行なわれた32個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)による彗星のCCD全光度は,12月18日に18.4等であった.
。
T = 2008 Mar. 29.181 TT ω = 359.742
Ω = 132.964
(2000.0)
q = 3.28960 AU i =
110.230
2007 December 27
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Syuichi Nakano
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