2008年2月26日                                 ISSN 0915-9177

   Since 1920                   YAMAMOTO CIRCULAR                    2578  

発行:〒656-0011兵庫県洲本市炬口1-3-19  東亜天文学会速報部

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編集:中野 主一   0799-22-3747  Fax: 23-1104   e-Mail address:

Editor: Syuichi Nakano, 3-19, Takenokuchi 1 Chome, Sumoto, Hyogo-Ken, 656-0011 JAPAN

 

お詫びとお願い  Editorial Notice

    最初に,山本速報の発行がこの2ヶ月間も行なえなかったことをお詫びしたい.言い訳にはなるが,今年度になっても新しい維持会員の名簿が届かず,それを待っていた矢先の1月下旬に菊岡秀多理事長の急逝に見舞われ,OAA事務局のその後の事務処理が滞ってしまった.まず,ご関係者とご遺族に,お悔やみを申し上げる.幸いにも,原田昭治副理事長のご尽力により,速報用の名簿は整えていただいた.しかし,菊岡個人名義の口座に入っているOAAの会費等を引き出すことができない状況が続いている.

    今後の山本速報は,前年度よりの繰越金が少し残っているので,このあと,数号の発行が可能である.しかし,その後は,新規の発行費待ちとなる.ただし,最近,新しい情報が多く,その発行に1ヶ月の間が空くと,その後の編集と発行が大変困難になり,編集意欲も完全に減退してしまう.事実,今もその状況に陥っている.そのため,今後,数号分の速報の発行の後,今年度の発行費が,まだ,届かない場合,有料購読者だけにでも,速報の発行を続けたい.維持会員の方は,その間に発行された速報は,上記,ウェッブサイトに掲載されるので,それをご覧いただきたい.これには,マイクロソフト・ワードを立ち上げて,ファイル→開くで,ファイル名としてhttp://www. oaa.gr.jp/~oaacs/yc/ycNNNN.htmNNNNは発行番号)を入力し,リターン・キーを押せば,読み込める.原稿の中間にある2つのブランク行を省き,それをB4紙に2ページ分の印刷を行なえば,お送りしているものとほとんど同じ印刷が行なえる.デフォルトで印刷レイアウト表示となるが,表示が違う場合は,表示→印刷レイアウトを指定のこと.お手数であるが,何卒よろしくお願い申し上げる.

 

  なお,今後,OAA事務局と維持会員,及び,評議委員会委員の方々との連絡とご意見を早急に拝聴するためにe-Mailアドレスのリストを整理・作成したい.そこで,この速報を購読されている維持会員方々でe-Mailアドレスをお持ちの方は,ぜひ,ご自身のアドレスを編集者(nnnn @qqq.qq.qq)にご連絡いただきたい.近々,OAA事務局用にも,連絡用のメイリング・リストを作成したいので,何卒,よろしくお願い申し上げたい.

 

 

超新星 SN 2007uy in NGC 2770

    年が明けてまもない2008年1月1日01時04分JST頃に,神奈川県茅ヶ崎市の広瀬洋治氏(Yoji Hirose, Chigasaki)は,35-cm f/6.8 シュミット・カセグレン望遠鏡+CCDカメラを使用して,やまねこ座にある系外銀河 NGC 2770(光度12等級)を撮影したサーベイ・フレーム上に17.2等の超新星 2007uyを発見した.超新星は,銀河核から東に21",南に15"の位置に出現している.この超新星は, 2007年3月7日と12月18日(極限等級18等級)に,同氏がこの銀河をサーベイしたときには,まだ,出現していなかった.なお,氏の発見は,時刻的には,昨年,最終の超新星発見となっただろう.ただし,12月30日発見の超新星2007uzが報告されている.また,超新星の符号は,まだ,さらに進むことがある.この超新星は,発見同夜03時52分JSTに上尾の門田健一氏(K. Kadota, Ageo),翌1月2日00時37分に山形の板垣公一氏(K. Itagaki, Yamagata)が栃木県にある氏の観測所で,その出現を確認した.門田氏の光度は17.3等,1日後の板垣氏の光度は16.9等であった.両氏の測定による超新星の出現位置は,赤経α= 09h09m35s.31,赤緯δ= +33o07'08".9.超新星は,1月2日06時すぎにイタリーの観測者によっても16.8等で捕らえられている.なお,広瀬氏も,1日23時すぎに,この超新星が17.0等で存在していることを観測し,この出現を確認した.広瀬氏の超新星発見は,これで4個目となった(OAA計算課新天体発見情報116, IAUC 8908).

 

 

シュワスマン・ワハマン第1彗星  29P/Schwassmann-Wachmann 1

    彗星の増光が2008年1月に見られた.2月の彗星の眼視全光度も,2月1日に12.3等(ゴイアト;ブラジル),3日に11.8等(パラドウスキ;ポーランド),7日に11.5等(ゴンザレス;スペイン),12.0等(永井佳実;群馬),10日に11.6等(パラドウスキ)と明るく観測されている.今後の動向に注意が必要であろう(cf. YC 2439, IAUC 8910).

 

 

 

 

    2                              YAMAMOTO CIRCULAR                             No.2578

 

 

マックノート新彗星  C/2007 Y2 (McNaught)

    マックノート(R. H. McNaught)は,50-cmウプサラシュミットで2007年12月31日にとも座とりゅうこつ座の境界近くを撮影したCCDフレーム上の次の位置に19等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星はフレームの端に写っていたが,拡散状で約10"のコマが見られた.1月1日にバートン(D. M. Burton, ANU)がサイデイング・スプリングの1.0-m f/8.0 ANU望遠鏡で撮った画像では,彗星は拡散状で,北北東に3"の尾が見られている.同日,ブラジルのジャッキーら(C. Jacques & E. Pimentel)が30-cm f/3.0反射で撮影した画像では,彗星には,10"の集光したコマが見られたことが報告されている(IAUC 8908).

 

              2007 UT             α     (2000)     δ             Mag.

              Dec. 31.66576   06h 45m 01s.58   -50゚ 45' 51".5      19.0

 

    OAA計算課では,2007年12月31日から2008年1月28日までに行なわれた39個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,南半球で18等級で観測されている.

                                       

   T = 2008 Apr. 7.8140 TT     ω = 257.6047

                                Ω = 303.4949    (2000.0)

   q =   4.211391 AU           i =  98.5180

 

 

超新星 SN 2008A in NGC 634

    昨年末12月21日早朝JSTに超新星2007ss(cf. YC 2576)を発見した埼玉県比企郡吉見町の市村義美氏(Yoshimi Ichimura, Saitama)は,2008年1月2日夕刻,21時54分JST頃に,さんかく座にある系外銀河NGC 634を28-cm f/8.1シュミット・カセグレン望遠鏡+CCDを使用して撮影した多数の捜索フレーム上に17等級の超新星 2008Aを発見した.この超新星は,氏が昨年末の11月18日に撮影した捜索フレーム上には,写っていなかった.また,山形の板垣公一氏(K. Itagaki, Yamagata)が2006年に撮影していた捜索画像上にも,その姿が見られなかった.OAA計算課では,市村氏の発見画像から,その出現位置を赤経α= 01h38m17s.38, 赤緯δ= +35o22'13".7,その光度を16.9等と測光した.超新星は,銀河核から西に15",北に19"の位置に出現している.翌1月3日夕刻になって,この超新星は,板垣氏(光度16.7等),茅ヶ崎の広瀬洋二氏(Y. Hirose; 16.7等),上尾の門田健一氏(K. Kadota; 17.0等),及び,発見者(17.5等)によって,その存在が確認された.なお,この超新星は,今年発見された第1号超新星となる.市村氏は,これで3個の超新星を発見した.また,氏は,1987年11月22日に新彗星 C/1987 W1 (Ichimura)を発見している(OAA計算課新天体発見情報117, CBET 1193, CBET 1198).

 

 

超新星 SN 2008B in NGC 5829

    山形市の板垣公一氏(Koichi Itagaki, Yamagata)は,2008年1月3日早朝,05時16分JSTにうしかい座にある系外銀河NGC 5829を氏の栃木県にある高根沢観測所の30-cm f/7.8反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に,今年2番目の超新星発見となる16.4等の超新星2008Bを発見した.板垣氏は,昨年2月25日JSTにも,この銀河を捜索していたが,その夜の捜索フレーム上の出現位置に18.5等級より明るい星は見当たらなかった.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の多数の捜索フレーム上にも,その姿が見られないという.板垣氏は,翌1月4日朝にこの超新星の出現を確認した.そのとき,超新星の光度は16.7等であった.この超新星は,銀河核から東に23",北に7"の位置,赤経α= 15h02m43s.65, 赤緯δ= +23o20'07".8に出現している.また,上尾の門田健一氏(K. Kadota, Ageo)も,25-cm f/5.0 反射で1月4日朝にこの超新星の出現を確認した.氏の光度は,16.7等であった.門田氏の調査によると,1991年に撮影保存されていたDigital Sky Surveyの画像上にこの超新星の姿はないとのこと.板垣氏は,これで,35個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(OAA計算課新天体発見情報118, CBET 1194).

 

 

しぶんぎ座流星群  Quadrantids in 2008

    神戸の豆田勝彦氏(Katsuhiko Mameta, Kobe)は2008年1月3/4日,4/5日に室戸市と加東市で,住江和博氏(Kazuhiro Sumie, Kobe)とともにこの流星群の観測を行なった.1月3/4日には,同群はZHRで50個の活動を見せた.さらに翌4/5日の観測では,その最盛期(26時50分〜27時30分)にZHRで,150個の出現を見せた.これは,予想以上の出現であったという.豆田氏の観測は,1月3/4日25:00〜26:00 JST,全流星48個,しぶんぎ群3個,最微光星6.7等,ZHR20個,以下同順に26:00〜27:00,48個,8個,6.7等,27個,27:30〜28:00,33個,9個,6.4等,42個,28:00〜29:00,54個,25個,6.2等,56個,29:00〜30:00,72個,39個,6.1等,55個,4/5日26:50〜28:00,48個,24個,5.8等,84個,28:00〜29:00,38個,17個,5.8等,49個(cf. YC 2501).

                                                                                         

2008 February 26                Copyright 2008 OAA                Syuichi Nakano

 

 

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