2008年2月27日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2579
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マックノート新彗星 C/2008
A1 (McNaught)
マックノート(R.
H. McNaught)は,50-cmウプサラシュミットで2008年1月10日に はと座ととも座の境界近くを撮影したCCDフレーム上の次の位置に15等級の新彗星を発見した.発見当時,彗星には,集光した30"の丸いコマが見られた.カリフォルニアのヤング(J.
Young, Table Mountain)による61-cm反射での1月11日の観測では,12"のコマ,さらに,イタリーのギドーら(E.
Guido & G. Sostero, Castellammare di Stabia)によるニューメキシコにある25-cm f/3.4反射を遠隔操作した同日の観測では,約30"ほどに北東に広がった扇形のコマが見られている(IAUC
8909).
2008 UT
α
(2000) δ
Mag.
Jan. 10.57306 06h 35m 32s.46 -43゚ 45' 47".5 15.2
OAA計算課では,2008年1月10日から2月18日までに行なわれた130個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,発見時には,13等級で観測されている.なお,順調に成長すれば,彗星は,この秋に7等級まで明るくなるだろう.
。
T = 2008 Sept. 29.1399 TT ω = 348.4860
Ω = 277.8694
(2000.0)
q = 1.073101 AU i
= 82.5381
スペースウォッチ新彗星 C/2007
VO53
(Spacewatch)
レモン山サーベイで,2008年1月11日におうし座を撮影したサーベイ・フレーム上の次の位置に発見された20等級の小惑星状天体が報告された.この天体は,小惑星センターのスパール(T.
Spahr)によって,スペースウォッチ・サーベイで2007年11月1日と5日に発見されていた20等級の小惑星2007 VO53と同定された.モンタニ(J.
Montani)からの連絡によると,リード(M.
Read)が1月13日に1.8-mスペースウォッチU望遠鏡で撮影した画像上では,この小惑星には,明らかに3"〜4"ほどのコマがあることが認められ,この小惑星は,彗星であることが判明した.なお,レモン山サーベイで2007年10月20日のサーベイフレーム上に,この彗星が写っていたことが報告されている(IAUC
8911).
2007/2008 UT α (2000) δ
Mag.
h m s 。 , "
Nov. 1.26107 04 05 28.01 +15 09 28.9
20.8
Jan. 11.16648 03 27 00.21
+17 00 48.3 20.5
OAA計算課では,2007年10月20日から2008年2月8日までに行なわれた72個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".40(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1576.htm).
Epoch = 2010 May 4.0 TT 。
T = 2010 Apr. 26.8690 TT ω = 75.0143
(1/a)org.= +0.000255
e = 0.998884
Ω = 59.7364 (2000.0) (1/a)fut.= +0.000283
q = 4.845233 AU i = 86.9948
( Q = 5 )
LINEAR新周期彗星 P/2008
A2 (LINEAR)
LINEARサーベイから2008年1月13日にぎょしゃ座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された20等級の小惑星状天体が報告された.カリフォルニアのヤング(J.
Young, Table Mountain)による61-cm反射での1月16日の観測によると,天体には,明るい中央集光のある5"〜6"のコマが見られた.さらに,同氏の1月19日の観測では,天体には4"のコマが見られ,この天体は彗星であることが判明した(IAUC
8912).
-
continued -
2
YAMAMOTO CIRCULAR
No.2579
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2008 UT
α
(2000) δ
Mag.
Jan. 13.22223 06h 03m 22s.94 +43゚ 46' 02".8 20.1
OAA計算課では,2008年1月13日から2月9日までに行なわれた121個の観測から次の軌道を決定した.彗星は,周期が5.7年ほどの新周期彗星であった.
T = 2008 June 12.0354 TT
ω = 233o.1685 e = 0.591405
Ω = 315.5197 (2000.0) a = 3.194865 AU
i = 19.1601
n゚= 0.1725939
q = 1.305405 AU
P = 5.71 年
SOHO彗星 C/2002
R1 = 2008 A3 & C/2002 R4 = 2007 Y4 (SOHO)
最近発見された2個のSOHO彗星が過去に出現したSOHO彗星との同定の可能性が指摘されている.これらは,いずれも,マースデン群に属する彗星で,OAA計算課では,次の連結軌道を計算した.
C/2002
R1 = 2008 A3 (SOHO)
T = 2008 Jan. 15.7500 TT Epoch = 2008 Jan. 15.0 TT
ω = 33o.9775
e = 0.984090
Ω = 69.8296
(2000.0) a = 3.067225 AU
i = 22.3947
n゚= 0.1834787
q = 0.048800 AU
P = 5.37 年
この同定は,クラハト(R.
Kracht)によって指摘されたもので,連結軌道は,2002年と2008年の出現時に行なわれた43個から計算された.平均残差は9".30.彗星は,2002年には近日点通過後,2008年には,近日点通過前と後に観測されている.前回の近日点通過は,2002年9月2日,もし,同定が正しい場合,SOHO画像のありそうな1997年の近日点通過は,4月19日であった.次回の近日点通過は,2013年6月1日頃となる(MPEC
B61 (2008)).
C/2002
R4 = 2007 Y4 (SOHO)
T = 2007 Dec. 22.1534 TT Epoch = 2007 Dec. 6.0 TT
ω = 22o.5821 e = 0.983520
Ω = 82.0032
(2000.0) a = 3.040832 AU
i = 28.5708
n゚= 0.1858726
q =
0.050112 AU
P = 5.30 年
この同定は,バッタムズ(K.
Battams)によって指摘されもので,連結軌道は,2002年と2007年の出現時に行なわれた29個の観測から計算された.平均残差は9".76.彗星は,2002年には近日点通過後,2007年には,近日点通過前と後に観測されている.前回の近日点通過は,2002年9月3日,もし,同定が正しい場合,SOHO画像のありそうな1997年の近日点通過は,5月15日であった.この回帰の際,彗星は,1997年6月14.8日に地球に0.062
AU,月に0.060 AUまで接近していたはず.次回の近日点通過は,2013年4月13日頃となる(MPEC B49 (2008)).
なお,この彗星は,2007年出現時の光度測光値が公表されている.それによると,彗星の光度は,7等級から8等級であった.これは,彗星の光度パラメータにしてH(10)=
21.0となる.仮にその大きさを求めるとその直径は,約200-mくらい.
いずれの彗星も,今後,2050年までに地球への大接近はないが,2つの彗星とも,その出現時に近日点通過後に観測されているため,次回の近日点通過時に捕らえられる可能性があるだろう.
超新星 2008R
in NGC 1200
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2008年1月27日夕刻,19時55分JSTにエリダヌス座にある系外銀河NGC 1200を60-cm
f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に15.5等の超新星2008Rを発見した.この超新星は,板垣氏が保有する過去の多数の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかった.超新星は,その夜の内に,21時10分に上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によって確認された.氏は,そのときの光度を15.6等と報告している.門田氏の調査によると,1993年と1995年に撮影保存されていたDigital Sky Surveyの画像上にこの超新星の姿はないとのこと.板垣氏からの報告後,国内は悪天候に見舞われたが,この超新星は,イタリーのコレリー(P.
Corelli, Pagnacco)によって,1月28日03時51分と29日04時06分JSTに確認された.そのとき,超新星の光度は,それぞれ,16.4等と14.6等であった.超新星は,銀河核から西に12",南に9"の位置,赤経α=
03h03m53s.70, 赤緯δ= -11o59'39".4に出現している.なお,この超新星は,1月30日JSTにNOT望遠鏡によって,スペクトル確認され,極大近くのIa型超新星の出現であることが報告されている.板垣氏は,これで,36個目の超新星を発見したことになり,氏が持つ我が国での超新星,最多発見数をさらに更新した(CBET
1230, CBET 1232).
2008 February 27
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Syuichi Nakano
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