2008年3月28日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2581
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さんかく座M33に出現した新星 2008 Nova
in M33
福岡県久留米市の西山浩一氏(Koichi
Nishiyama, Kurume)と佐賀県みやき町の椛島冨士夫氏(Fujio Kabashima,
Miyaki)は,共同で行なっている超新星サーベイで,2008年2月27日夜20時11分頃JSTにさんかく座にある系外銀河M33(NGC 598)を40-cm f/9.8反射望遠鏡+CCDカメラで撮影した9枚の捜索フレーム上に16.5等の新星を発見した.氏らは,最近では,2月20日と21日夜にこの銀河を捜索していたが,その捜索フレームには,18等級より明るい星は,出現していなかった.また,氏らによると,この新星状天体は,Digital
Sky Survey(DSS)で過去に撮影されたフレーム上にも,その姿が見られないとのこと.西山氏と椛島氏は,この新星は,2月28日夜には光度が16.7等で,存在することを確認した.新星状天体は,M33の中心核から,東に330",南に8"の位置,赤経α=
01h34m16s.47, 赤緯δ= +30o39'28".6に出現している.なお,西山氏と椛島氏は,2007年9月にも,同銀河に新星を発見している(新天体発見情報119,
cf. YC 2569, CBET 1272).
カテリナ新周期彗星 P/2008
E1 (Catalina)
カテリナ・スカイサーベイから,2008年3月2日にエリダヌス座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された19等級の小惑星状天体が報告された.英国のバートホイスル(P.
Birtwhistle, Berkshire)による40-cmシュミット・カセグレインでの3月3日の観測では,天体には9"のコマが北東に12"ほどに広がっていることが観測された.スカッチ(J.
V. Scotti)による1.8-m スペースウォッチU望遠鏡での3月4日の観測では,天体には6"〜8"のコマがあって,コマは,北北東に6"ほどに広がった尾のように見られた.また,同日,レモン山の1.5-m反射で観測したボアッティーニ(A.
Boattini)からの報告では,7"x8"のコマが見られるなど,発見翌日以後に多くの観測者に追跡され,天体には,10"ほどのコマと北東に短い尾が見られることが観測され,天体は彗星であることが判明した(IAUC
8923).
2008 UT
α
(2000) δ
Mag.
Mar. 2.14405 04h 28m 12s.21 -11゚ 26' 17".6 19.2
OAA計算課では,2007年11月13日から2008年3月27日までに行なわれた78個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".56.彗星には,カテリナ・スカイサーベイで行われていた2007年11月の捜索フレーム上に発見前の観測が見つかり,周期が約35年の新周期彗星であることが判明した.
T = 2008 Aug. 11.1061 TT Epoch = 2008 Aug. 2.0 TT
ω = 269o.8870 e = 0.547476
Ω = 189.0360 (2000.0) a = 10.673545 AU
i = 35.0383
n゚= 0.02826448
q = 4.830038 AU
P = 34.87 年
LINEAR周期彗星 197P/LINEAR
(2003 KV2 = 2008 E2)
カテリナ・スカイサーベイから2008年3月3日にへび座頭部を撮影した捜索フレーム上に発見された18等級の小惑星状天体が報告された.イタリーのフォグリア(S.
Foglia, Novara Veveri)は,この天体が2008年5月に回帰予定であるLINEAR周期彗星(2003 KV2)であることを指摘し,中央局に報告した.氏の報告は,当会計算課にも送られた(IAUC
8924).検出位置は,NK 972(= MPC 56801)にある予報軌道から赤経方向に刄ソ= -0o.68,赤緯方向に刄ツ= +0o.71のずれがあり,近日点通過時刻への補正値にして,儺=
+0.77日であった.前回の出現での観測期間が2ヶ月足らずのわりには,予報は,良くあっていたことになろう(cf. YC 2398, YC 2479).
今期の観測が上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)から3月5日に18.5等,7日に18.4等,守山の井狩康一氏(Y.
Ikari, Moriyama)から,3月15日に18.0等と報告されている.なお,彗星は,4月以後,明け方の空を大きく動き,その光度も,15等級にはなるだろう.
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continued -
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YAMAMOTO CIRCULAR
No.2581
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OAA計算課では,2003年と2008年に行なわれた191個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".72(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1582.htm).なお,4月の毎日の予報位置が天文ガイド(p.
144)にある.
T = 2008 May 19.01769 TT Epoch = 2008 May 14.0
TT
ω = 188o.79366
e = 0.6300174
Ω = 66.38896
(2000.0) a = 2.8661758 AU
i = 25.55491
n゚= 0.20311867
q = 1.0604351 AU
P = 4.85 年
超新星 SN
2008ax IN NGC 4490
山形市の板垣公一氏(Koichi
Itagaki, Yamagata)は,2008年3月4日夜,23時46分JSTにりょうけん座にある系外銀河NGC 4490を60-cm
f/5.7反射望遠鏡+CCDで撮影した捜索フレーム上に,氏の今年3番目の超新星発見となる16.1等の超新星2008axを発見した.板垣氏は,昨年2月27日JSTにも,この銀河を捜索している.しかし,その夜の捜索フレーム上の出現位置に19.0等級より明るい星は,見当たらなかったとのこと.また,この超新星は,板垣氏が保有する過去の多数の捜索フレーム上にも,その姿が見られなかった.板垣氏は,同じ夜にこの超新星の観測し,5日4時JSTには,超新星が16.0等とわずかに明るくなったことを報告している.この超新星は,銀河核から東に53",南に24"の位置,赤経α=
12h30m40s.84, 赤緯δ= +41o38'15".4に出現している.なお,この超新星は,KAITO超新星サーベイでも,3月3日と4日に撮影した捜索フレーム上に発見された.そのとき,光度は16.1等と観測されている.板垣氏からの連絡によると,この銀河は,近接銀河の1つで,この超新星の出現には,多くの研究者がその解析に興味をいだいているとのこと.また,その極大光度は,これから先のことのようで,今後,この超新星がどうなっていくのか,楽しみである(新天体発見情報120,
CBET 1286).
ガラッド新彗星 C/2008
E3 (Garradd)
ガラッド(Gordon
J. Garradd)は,2008年3月5日に50-cmウプサラ・シュミットを使用して,いて座を撮影した捜索画像上の次の位置に17等級の新彗星を発見した.3月7日に撮られた確認画像では,彗星には,20"の拡散したコマが見られた.イタリーのギドーら(E.
Guido & G. Sostero, Castellammare di Stabia)が豪州にある25-cm反射を遠隔操作して,3月8日に観測したところ,強い集光の持つ10"のコマと北に18"の広がった尾が見られた(IAUC
8927).
2008 UT
α (2000) δ
Mag.
Mar. 5.77805 19h 35m 19s.03 -41゚ 44' 05".8 17.8
OAA計算課では2008年3月5日から10日までに行なわれた12個の観測から次の軌道を決定した.
。
T = 2008 Aug. 30.822 TT ω = 221.415
Ω =
105.809 (2000.0)
q = 5.46236 AU i =
105.469
はくちょう座新星 V2468 Cygni
= Nova Cygni 2008
札幌の金田宏氏(Hiroshi
Kaneda, Sapporo)は,2008年3月8日早朝,4時12分JST頃にNikon D40 Digital Camera+105-mm
f/2.5レンズで,はくちょう座とこぎつね座の境界近くを撮影した9枚の捜索フレーム上に8.2等の新星を発見した.この新星は,氏が2007年10月5日,2008年1月1日,そして2月18日に撮影した捜索フレーム上には,まだ,出現していなかった.氏は,Digital
Sky Surveyの画像上にも,その出現位置には13等級より明るい星が存在しないことを報告している.なお,金田氏の発見は,パソコン制御の自動サーベイによるもので,氏によると,今回は747枚,249の星域を撮ったという.撮影に要した時間は1時間15分で,そのあとのパソコンの自動サーベイにも同じくらいの時間を要したとのこと.その間,氏は眠っていたが,終わった頃に起きて,すぐに発見を確認した.なお,この新星の発見は,金田氏の発見当夜に,中国と我が国の多くの人々により,報告されている.発見翌日になって,この新星の出現は,上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によって,3月8日02時10分に確認された.そのときの新星の光度は7.4等であった.なお,門田氏は,新星の出現位置を赤経α= 19h58m33s.39,赤緯δ= +29o52'06".5と測定している.また,山形の板垣公一氏(K.
Itagaki, Yamagata)からも,確認の報があった(新天体発見情報121, CBET 1291, IAUC 8927).
2008
March 28
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Syuichi Nakano
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