2008年5月1日
山 本 速 報
ISSN
0915-9177
Since 1920
YAMAMOTO
CIRCULAR
2584
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いて座新星 Nova
Sagittarii 2008
福岡県久留米市の西山浩一氏(Koichi
Nishiyama, Kurume)と佐賀県みやき町の椛島冨士夫氏(Fujio Kabashima,
Miyaki)は,共同で行なっている新星サーベイで,2008年4月19日早朝03時49分JSTに いて座を105-mm f/5.6 レンズ+CCDカメラを使用して30秒露光で撮影した2枚の捜索フレーム上に8.4等の明るい新星を発見した.この新星の存在は,発見後,即座に,40-cm反射望遠鏡で確認された.彼らは,最近では4月14日と15日早朝にこの星域を捜索していたが,その捜索フレーム上に,12.5等級より明るい星は,まだ出現していなかった.また,氏らによると,この新星はDigital
Sky Survey(DSS)で過去に撮影されたフレーム上にも,その姿が見られないとのこと.西山氏と椛島氏は,発見1日後の4月20日早朝02時23分JSTに,この新星が光度7.9等まで増光し,存在することを確認した。新星は、赤経α=
18h05m58s.88, 赤緯δ= -27o13'56".0に出現している.また,この新星の出現は,米国とイタリーの観測者によっても確認された.西山・椛島氏は,出現位置のごく近くに18等級の暗い星があったことを指摘している.なお,両氏の4月27日朝JSTの観測によると,この新星の光度は,6.6等まで増光している.
最近では,新星の捜索は,多くの捜索者によって行われている.このため,新星の出現は,多くの同時独立発見が報告される.しかし,4月11日発見のはくちょう座新星
No.2 2008(cf. YC 2583)も,4月19日発見のこの新星も,九州の一部の地域だけが晴天であったのが,西山・椛島氏にとって幸運だったのだろう(OAA計算課新天体発見情報124,CBET
1342).
LINEAR新彗星 C/2008
H1 (LINEAR)
LINEARサーベイから2008年4月18日にこぐま座を撮影した捜索フレーム上の次の位置に発見された18等級の小惑星状天体が報告された.4月19日に25-cmシュミット・カセグレンでこの天体を観測したスペインのレイナ(E.
Reina L., Hospitalet)から,この天体には,CCD全光度が16.6等の25"のコマがあって,西南に43"の尾が見られることが報告された.また,イタリーのギドーら(E.
Guido & G. Sostero)がニューメキシコにある25-cm反射を遠隔操作して観測したところ,天体は,近くにある同程度の明るさの恒星よりも拡散状であった.さらに他の観測者からも,天体には,コマと尾が見られることが報告され,この天体は,彗星であることが判明した(IAUC
8938).
2008 UT
α
(2000) δ
Mag.
Apr. 18.34722 17h 02m 01s.68 +79゚ 15' 56".0 18.1
OAA計算課では,2008年4月18日から26日までに行なわれた68個の観測から次の軌道を決定した.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)は,4月22日のCCD全光度を16.5等と観測している.
。
T = 2008 Mar. 21.236 TT ω = 97.443
Ω = 34.082 (2000.0)
q = 2.78653 AU i
= 75.661
シューメーカ第4周期彗星 P/Shoemaker
4 (1994 J3 = 2008 G2)
カテリナ・スカイサーベイから報告された2008年4月10日の1夜の観測のチェックしていた小惑星センターのスパール(T.
B. Spahr)は,その一群中の一組の観測が1994年に出現して2009年に回帰予定であったシューメーカ第4彗星と同定可能であることを見つけた.さらに,4月1日の1夜の観測群中にも,同定可能な同じ天体が見つかった.天体の光度は18等級であった.これらの観測は,同所でコワルスキ(R.
A. Kowalski)によって行なわれたもので,天体の形状についての報告はなかった(IAUC 8939).なお,その後に4月23日と24日の追跡観測が報告されている.予報軌道(NK 1313 (= HICQ 2007))からの4月10日の検出位置は,赤経方向に+971",赤緯方向に-567"のずれがあり,近日点通過時刻への補正値は儺=-1.68日であった.
-
continued -
2 YAMAMOTO
CIRCULAR
No.2584
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OAA計算課では,1994年から2008年までに行なわれた130個の観測から次の連結軌道を計算した.平均残差は0".72(http://www.oaa.gr.jp/~oaacs/nk/nk1597.htm).
T = 2009 Apr. 9.81527 TT Epoch = 2009 Mar.
30.0 TT
ω = 191o.92179
e =
0.5080505
Ω = 92.94833
(2000.0) a = 5.9668028 AU
i = 24.76194
n゚= 0.067622550
q = 2.9353654 AU
P = 14.58 年
ボアッティーニ彗星 C/2007
W1 (Boattini)
山本速報2582と天文ガイド6月号に続く,各地での眼視全光度観測が4月2日に10.1等(マチアゾ;豪),3日に9.9等(サージェント;豪),8.9等(ゴンザレス;スペイン),7日に8.5等,9日に8.8等(ワイアット;豪),26日に7.3等(サージェント),27日に7.5等(ゴイアト;ブラジル),28日に7.5等(アモリム;ブラジル),29日に7.3等(岩城好高;橋本,星の広場HAL
No.444)と4月下旬には彗星は7等まで増光している.上尾の門田健一氏(K.
Kadota, Ageo)によるCCD全光度も,4月1日に11.6等,3日に11.4等,29日に9.6等と報告された.このままの増光が続けば,5月下旬には4等級まで明るくなるだろう.ただし,下の位置予報のとおり,5月下旬には,彗星は観測しづらくなる.
OAA計算課では,2007年11月20日から2008年4月29日までに行なわれた606個の観測から次の軌道を決定した.平均残差は0".55.軌道改良に使用された最終観測は,上尾の門田氏と八束の安部裕史氏(H.
Abe, Yatsuka)によるもの.
Epoch = 2008 June 23.0 TT
。
T = 2008 June 24.88625 TT ω = 306.55400
(1/a)org.= -0.000034
e = 1.0001917
Ω = 334.52389
(2000.0)
(1/a)fut.= +0.000600
q = 0.8496598 AU i
= 9.88933
( Q = 6 )
2008/ α (2000) δ △ r Daily motion Elong. Phase m1 天文薄明終了時
21h
JST h m 。 , AU AU , 。 。 。 等 h。 A 。
May 1 10 50.59 -21 37.2 0.405 1.290 52.1/260 126.5 38.9 7.1 +32.8 2.7
2 10 46.90 -21 45.7 0.398 1.278 52.9/260 124.8 40.3 7.1 +32.6 5.1
3 10 43.15 -21 54.3 0.391 1.266 53.7/261 123.2 41.8 7.0 +32.2 7.5
4 10 39.34 -22 03.0 0.385 1.253 54.6/261 121.5 43.3 6.9 +31.8 9.9
5 10 35.47 -22 11.7 0.378 1.241 55.4/261 119.8 44.9 6.8 +31.3 12.3
6 10 31.52 -22 20.5 0.371 1.229 56.3/261 118.1 46.4 6.7 +30.7 14.6
7 10 27.51 -22 29.5 0.365 1.216 57.3/261 116.4 48.0 6.7 +30.1 17.0
8 10 23.43 -22 38.4 0.359 1.204 58.3/261 114.7 49.6 6.6 +29.4 19.3
9 10 19.26 -22 47.5 0.353 1.192 59.4/261 113.0 51.2 6.5 +28.6 21.6
10 10 15.02 -22 56.7 0.346 1.181 60.5/261 111.2 52.9 6.4 +27.7 23.8
11 10 10.68 -23 06.0 0.340 1.169 61.8/261 109.5 54.6 6.3 +26.7 26.0
12 10 06.26 -23 15.4 0.334 1.157 63.1/261 107.7 56.3 6.3 +25.7 28.2
13 10 01.72 -23 24.9 0.329 1.145 64.6/261 106.0 58.0 6.2 +24.6 30.3
14 09 57.08 -23 34.4 0.323 1.134 66.1/261 104.2 59.8 6.1 +23.4 32.4
15 09 52.32 -23 43.9 0.317 1.123 67.8/262 102.4 61.6 6.0 +22.2 34.5
16 09 47.44 -23 53.5 0.311 1.111 69.6/262 100.6 63.5 5.9 +20.9 36.5
17 09 42.41 -24 03.0 0.306 1.100 71.5/262 98.7 65.3 5.8 +19.5 38.5
18 09 37.23 -24 12.5 0.300 1.089 73.6/262 96.9 67.2 5.8 +18.0 40.4
19 09 31.89 -24 21.8 0.295 1.078 75.8/263 95.0 69.2 5.7 +16.5 42.3
20 09 26.38 -24 30.9 0.289 1.068 78.2/263 93.1 71.2 5.6 +14.9 44.2
21 09 20.68 -24 39.8 0.284 1.057 80.8/264 91.2 73.2 5.5 +13.2 46.0
22 09 14.78 -24 48.3 0.279 1.047 83.6/264 89.2 75.3 5.4 +11.5 47.9
23 09 08.66 -24 56.3 0.274 1.036 86.6/265 87.3 77.4 5.3 +9.7 49.7
24 09 02.32 -25 03.8 0.269 1.026 89.8/265 85.3 79.6 5.3 +7.8 51.5
25 08 55.73 -25 10.4 0.264 1.016 93.1/266 83.3 81.8 5.2 +5.9 53.2
26 08 48.88 -25 16.2 0.259 1.007 96.7/267 81.2 84.1 5.1 +3.8 55.0
27 08 41.76 -25 20.9 0.254 0.997 100.4/268 79.2 86.4 5.0 +1.8 56.8
28 08 34.35 -25 24.3 0.250 0.988 104.4/269 77.0 88.7 4.9 -0.4 58.5
29 08 26.65 -25 26.2 0.245 0.979 108.5/270 74.9 91.1 4.9 -2.6 60.3
30 08 18.64
-25 26.3 0.241 0.970 112.7/271 72.8 93.5 4.8 -4.9
62.1
m1 = 8.0 + 5 log △ + 10.0 log r
なお,明るい彗星(マックノート彗星(2006 Q1),チェン・カオ彗星(2008
C1),26P/Grigg-Skjellerup,197P/LINEAR)の毎日の予報位置が天文ガイド6月号にある.また,フィンレイ周期彗星(15P/Finlay)も増光してくるので注意.
2008
May 1
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Syuichi Nakano
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