◎アポロ型特異小惑星2009 VAの接近 (From JSGA Web News No. 145)
JSGA Web News No. 145 2010 Feb. 27
昨年,2009年11月6日に地球に大きく接近した天体があった.この天体は,
カテリナ・スカイサーベイの 68-cmシュミットを使用して,2009年11月6日06
時11分にアンドロメダ座を撮影した捜索画像上に発見された17等級の小惑星で,
その発見後,同所で約3時間,追跡された.残念ながら,他の観測所からの追
跡観測の報告はなかった.
しかし,軌道計算の結果,発見の約15時間後,11月6日21時35分UT頃に地球
中心(地心)に0.00014 AU(= 約2.1万-Km)まで接近し,12等級まで明るくな
ったことが,2009年11月6日21時27分UT発行のMPEC V22(2009)で公表された.
この小惑星は,すでにその発見時に地心に0.00314 AUまで接近しており,秒速
8.28-kmで地球に向かっていた.最接近は,上記のとおり,11月6日21時35分
UTで,地心まで 0.00014 AU, 地表面まで1万4300-kmまで接近した.その際
の地表面との相対速度は10.29-km/sであった.この小惑星の標準等級は,H=
28.6等で,その直径が約6.5-mと推測される.
その軌道は,次のとおりで,わずか3時間の観測から決定した軌道であるた
めに軌道には,多少の誤差が見込まれる.
2009 VA
Epoch 2009 Nov. 5.0 TT = JDT 2455140.5 MPCN
M 338.21468 (2000.0) P Q
n 0.58079308 Peri. 223.99401 +0.02950844 -0.99537580
a 1.4227276 Node 224.55314 +0.94931548 +0.05653889
e 0.3547204 Incl. 7.48676 +0.31293669 -0.07765548
P 1.70 H 28.6 G 0.15 U 6
Residuals in seconds of arc
091106 703 0.2- 0.0 091106 703 0.1- 0.3- 091106 703 0.1+ 0.0
091106 703 0.0 0.8- 091106 703 0.2- 0.4- 091106 703 0.1+ 0.1-
091106 703 0.0 0.1- 091106 703 0.1- 0.1+
091106 703 0.3- 0.8+ 091106 703 0.3- 0.2+
●その軌道図を以下に示す.
http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/2009va_o.jpg
小惑星は,最近,多く発見される地球軌道の近くを公転する小惑星の1つであ
った.軌道図中,Ωは昇交点,逆Ωは降交点,Tは近日点(通過は2009年12月
12日)で,小惑星は,降交点で接近した.なお,小惑星の軌道で,青で描かれ
ているのは,黄道面より南にある部分,黄色で描かれているのは,北にある部
分で,この軌道面には淡い黄色をつけてある.
●接近図
その接近を以下に示した.小惑星は,その接近約9時間前の12時00分には,
日本海上空29.0万kmを通過し,中国・ロシア上空を移動していった.20時00分
には,スカンジナビア半島上空 5.0万kmを通過して,最接近地点に向かった.
最接近は,北太平洋上空であった.このとき,小惑星は,地表面に 1.4万kmま
で接近し,その後は,太平洋を北南へと横断し,南半球へと動いていった.
http://www.spaceguard.or.jp/ja/mpnews/2009va_e.jpg
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