◎2007 WD5の火星接近    [From JSGA Web News No. 127]



JSGA Web News No. 127                                             2008 Feb. 16



アモール・アポロ型特異小惑星 2007 WD5の火星接近

  コンピュータのシステム障害が,昨年末より続き,一時期,美星のコンピュータとも

通信が取れなくなった.そのため,すでにJSGA会員へのMLでも取り上げられた2007 WD5

の火星接近について事後報告となるが紹介する.



 この小惑星は,レモン山サーベイで2007年11月20日に下の位置を捜索したサーベイ・

フレーム上に約20等級で発見された(MPEC W52 (2007)).



     K07W05D* C2007 11 20.32096 04 13 54.98 +17 21 28.1          20.2 Vrw9266G96



 小惑星の観測は,2008年1月9日まで44個の追跡観測が報告された.これらの観測

から次の軌道が決定される.小惑星の標準等級はH=24.3等で,その直径は,約47-mと

推測される.なお,下に示した火星接近前と後の元期の軌道を見るとわかるとおり,

火星への接近のために,小惑星の軌道は,Amor/Apollo型からApollo型へと変化した.



    Epoch = 2007 Oct. 27.0         2008 May 14.0 TT

      Mo =   2.03805               53.62464 TT

       ω = 312.72060              309.55361

       Ω =  67.48418               68.50040   (2000.0)

       i =   2.37278                2.42758

       q =   1.0100542              0.9908099 AU

       e =   0.6029122              0.5970618

       a =   2.5436546              2.4589626 AU

       n゚=   0.2429499772           0.2556090222

       P =   4.057                  3.856 年



 この小惑星は,その発見後,2007年11月1.5日UTに月まで0.049 AU,11月1.9日に地

球に0.048 AUまで接近した後,火星に接近したのは,2008年1月30.5日UTで,その接

近距離は,0.000167 AU(約2.5万Km)であった.小惑星は,その直径が50-m足らずと

小さいが,もし,火星に衝突しておれば,小さなクレータは生じただろう.



 火星は,地球より小惑星帯に近く,地球で言う火星のAAA天体は,数多く存在するだ

ろう.小さい天体は,地球から発見される可能性が小さいために,その総数は分らない

が,発見に注意しておれば,今後,いくつかのこのような小惑星が見つかるだろう.

また,将来,火星探査機で得られた新旧の火星のマップを比較すれば,その間に生じた

未知の衝突による新しいクレータが見つかるかも知れない.なお,軌道要素の精度は

低いが,今後,2100年までの間に,地球系と火星に 0.10 AU以内に近づく可能性は,

2080年頃に火星接近が一度あるだけ.



  なお,小惑星は,地球との位置関係上,今後,しばらくは観測できない.





軌道と残差:



2007 WD5

Epoch 2008 May 14.0 TT = JDT 2454600.5                  MPCN

M  53.62464              (2000.0)            P               Q

n   0.25560902     Peri.  309.55361     +0.95012098     -0.30938167

a   2.4589626      Node    68.50040     +0.29756331     +0.86138838

e   0.5970618      Incl.    2.42758     +0.09341411     +0.40285611

P   3.86           H   24.3           G   0.15           U   4

Residuals in seconds of arc 

071108 645  0.2+  0.3+    071121 G96  0.2+  0.0     080102 H01  0.1+  0.1-  

071108 645  0.5-  0.5+    071121 G96  0.1+  0.1-    080102 H01  0.2+  0.0   

071108 645  0.6-  0.1+    071121 G96  0.4+  0.2-    080103 H01  0.1+  0.1+  

071120 G96  0.0   0.5-    071204 291  0.6-  0.8+    080105 696  0.0   0.2+  

071120 G96  0.0   0.7-    071204 291  0.1-  0.5+    080105 696  0.0   0.1+  

071120 G96  0.1-  0.3-    071205 291  0.4-  0.0     080105 696  0.3+  0.5-  

071120 G96  0.3+  0.3-    071205 291  0.5-  0.7-    080105 696  0.1+  0.1+  

071120 G96  0.1+  0.2+    071219 H01  0.2-  0.1+    080105 696  0.2+  0.1+  

071120 G96  0.3+  0.2-    071219 H01  0.2-  0.1-    080105 696  0.2-  0.2+  

071120 G96  0.2+  0.3-    071219 H01  0.3-  0.2-    080106 493  0.0   0.0   

071120 H01  0.6+  0.1+    071219 H01  0.2-  0.1-    080106 493  0.0   0.1-  

071120 H01  0.1+  0.1-    071229 H01  0.4-  0.2+    080107 493  0.0   0.0   

071120 H01  0.3+  0.2-    071231 H01  0.0   0.1+    080108 568  0.0   0.1+  

071120 H01  0.2+  0.2+    071231 H01  0.4+  0.0     080109 568  0.0   0.0   

071121 G96  0.1+  0.1+    071231 H01  0.3-  0.1+                            

 

RunOff= 102".5

 

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